logo

クローズアップ ホースマン達の勝負に懸ける熱き想い
01

つくづく自分は遠征中毒にかかってるなと(笑)

これまで国内の地方競馬8ヶ所に遠征経験を持つ寺地誠一は、園田競馬では特異な存在だ。
デビュー17年目を迎えた今年、5月1日からソウル競馬場で彼の新たな挑戦が始まっている。
初の海外武者修行に挑む寺地騎手に出発直前の心境を聞いた。

  • image
    profile

ぼくは遠征中毒者

―― 韓国遠征は5年ほど前から考えていた、と言う。期間限定騎乗とは言え海外遠征の手続きは煩雑だったようで、
韓国側の申請書をパソコンで検索し個人で作成した。申請書を提出すること3回。ようやく3度目の正直で実現した。

「いまはワクワクするより不安のほうが大きいですね。何が起こるか想像できないことが不安で…、
逆に想像できないのが楽しいことでもあるんです。つくづく自分は遠征中毒にかかってるなと(笑)。
遠征って、行かなければ何も始まらない。で、行くといつも楽しい気分になれる。
遠征先ではこれまでにない経験ができる。ぼくが一番イヤなのは「やっとけば良かったな」と、
あとで悔やむことなんです。
やって後悔するんならいいんですけど、「あぁ、あのときやっとけば良かった…」と、
あとになって後悔するのが一番イヤなんです」

笠松~高知~金沢

初めて武者修行に出かけたのは2007年4月、福山競馬が始まりだった。
以来、笠松、金沢、岩手、北海道、佐賀、荒尾、高知と経験。2008年9月には高知競馬の重賞『黒潮菊花賞』で優勝し、
自身初の重賞制覇を遂げている。昨年は勝ち鞍41勝のうち園田では4勝のみ。
残り37勝は金沢(8ヶ月間)
で挙げた勝利だった。そもそも期間限定騎乗にトライしようと思った理由は何なのか。

「園田にいると、よその競馬場で乗る機会ってないですよね。
あの時期(2007年)、ちょうど騎手の流動化というのができだして、いいチャンスだったので福山へ行った。
その福山での競馬がすごく楽しかったんです。まったく知らないところで乗るというのが。
じゃあ、もっと違うところに行ってみようと思い始めて…、それから中毒になって(笑)。
遠征が多いときは笠松から高知に行って、そのあと金沢に廻ったことがありました。
それで1年ほど帰ってこなかったですね。
どうせ行くなら、行ったり戻ったりするよりかは遠征先を廻って帰ってきてリセットしてから乗るほうがいいと思ったんです。
最初の福山遠征から帰ってきたときは、園田でレースをしていたころの状態に戻すのに半年ぐらいかかりましたからね。
一度離れると、乗り馬は簡単に帰ってこないものなんです。半年かかってやっと元の状態に戻したのに、
また行きたいという気持ちが強くなるんです。まぁ、(所属する)先生が行かせてくれるという環境が良かったんですけど…」

クローズアップbacknumber