“トーコー軍団”の勢いが園田を席巻している―。トーコーガイア、トーコーポセイドン、トーコーニーケの3歳馬3頭、
つづく2歳馬にトーコーヴィーナスとトーコーファラオがいる。今年の3歳馬の活躍ぶりはめざましく、
ポセイドンが昨年の2歳チャンピオン、ガイアは世代王者を決める『兵庫ダービー』を制し、
ニーケは3歳女王に輝いた。しかも、3頭すべて他地区で重賞勝ちをおさめているのだからすごい(3頭合わせて重賞9勝)。
3歳馬の活躍をうけ2歳馬も(ヴィーナス2戦2勝、ファラオ2戦2着2回)と
デビュー以来順調の滑り出しを見せ軍団の基盤はより強固なものになっている。
軍団を率いる吉行調教師は「3歳馬があれだけ走るなんて、いや、出来すぎ」と予想以上の結果に目を細める。
で、その要因をたずねると、馬主である森田藤治氏の競馬観の話になった。良い馬を買わないと回収できない、
というのが森田氏の持論だ。高額馬(たかうま)を買えば回収も早い。安物にいいモノはない。
「だけど、実際やる側(管理する側)から言えば怖いよね。
セリで馬を見ただけで走る馬になるかどうかなんて誰もわからない。森田さんとセリに行ったら、
とにかく1000万以下は走るわけがない、そういう眼で馬を見てる。
ふつうは安い馬の中からええ馬を探せと考えるもんやけど、そうやない。
高額馬に眼をつけて見るから、こっちも自然と目が肥えてくる。
そういう意味でもええオーナーにめぐりあえたと思っています」
身も蓋もない話だが「ここまで結果が出ているのはそういうこと。
単純なハナシ、高額馬だから。高額馬イコール血統なんや」と笑うが、当然それだけではないはずだ。
走る馬に高い馬が多いけれど、高い馬がすべて走るとは限らないのだから。
いまの状況は出来すぎだと語る吉行師だが、その言葉の裡(うら)には多分に謙虚さがひそんでいると見るべきだろう。
厩舎の実力、吉行師の手腕が躍進のベースになっていることは間違いない。