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重賞レースデータ 竹之上編集長によるデータ戦略

 例年通り、JRA勢が優勢なのは変わらないでしょうけど、今年はちょっと楽しみな馬が園田に誕生! 市場取引価格3150万円(税込)と地方馬としては超破格値で購入されたトーコーヴィーナス(牝2・吉行厩舎)。デビューから5連勝。これまで圧勝続きかというとそうではなく、最大でも2馬身半の着差。それでも馬が真剣に走っていないとのことで、主戦の木村騎手は「(実力の)50%ぐらいしか使っていない」と言います。前走の『兵庫若駒賞』でも、レース後ケロッとしていたように、対戦相手に不足している印象。「速いペースで引っ張って行ってくれる方がレースがしやすいと思いますよ」と管理する吉行調教師は、相手強化はむしろプラスに働くとみています。

データ面(※右表参照)でもダートで3勝以上、連対率100%、前走勝利という好走条件を満たしているのは地方馬では同馬だけ。過去、一度も果たせていない地元馬による制覇を、この馬なら実現してくれる!!そう思わせる奥の深さを感じる。

JRAでは門別の『エーデルワイス賞』を勝ったウィッシュハピネスが実績上位。その前走では鞍上が直線半ばで後ろを振り返るほどの余裕の勝利。スタートセンスが良く、小回りコース対応に必要な先行策も難なく取れる。一本調子の逃げ馬というのではなく、距離延長にも対応できそうなタイプ。ダート2勝で前走勝ち。1、2番人気は確実で、データからも当然主役扱い。

デビューからダートで2連勝のキャプテンシップも本命候補。1400mの距離経験があるのは強み。好スタートから楽々逃げ切った新馬戦、スタート後手に回りながら直線豪快に差し切った2走目。自在性のある大人びたレースぶりは2歳馬とは思えない内容。何より直前でGⅠを制し、園田を知り尽す岩田騎手が鞍上というのも心強い。3連勝でのタイトル奪取は十分。

トーセンラークはオープン特別を含む芝で2勝、タケデンタイガーは1勝馬ながも『函館2歳S』で2着と2頭とも立派なオープン馬だが、初ダートというのはどうしても割り引きが必要。力は認めるも、ダート2勝の上記2頭には敵いそうにない。

地方他地区では、好走例が多く見られる北海道勢のオヤコダカ。前走の『北海道2歳S』で2番人気に支持されたように、実力は折り紙つき。5着に敗れはしたが、差し馬台頭の流れで、先行して粘った脚は立派。このメンバーでも上位に食い込むだけの力はある。

浦和のジャジャウマナラシは南関東重賞の『平和賞』と『ハイセイコー記念』でいずれも5着。南関東2歳の上位クラスであるのは間違いないところ。ただ、これまで南関馬のこのレースでの実績(【0-0-0-4】全て大井所属)は乏しく、前走からの間隔が詰まっているのも気になるところ。

トーコーヴィーナス以外の地元馬は、さすがに厳しそう。それでもこの経験を活かして、今後に繋げようとする各陣営の考えは素晴らしいと思う。

編集長 竹之上次男

【出走予定馬】

ウィッシュハピネス
デビュー2戦目の小倉ダート1000mでは2着馬に6馬身差で圧勝。タイムも58秒5と好タイム。
前走のエーデルワイス賞も好スタートから先手を奪い、直線では後続馬を突き放し最後は持ったままで3馬身差の完勝。
これでダートは2戦2勝と底を見せていない。スタートセンスの良さや二の脚の速さはメンバーで一番だろう。レース振りから距離延長も問題な無さそう。
キャプテンシップ
新馬、500万下と連勝し2戦2勝の負け知らず。前走のヤマボウシ賞はスタートダッシュがあまりつかずに後方から。勝負どころでは少しもたつく場面があったが、直線に入ると阪神の急坂も全く問題ないくらい力
強く伸びて最 後はキッチリ差し切った。姉には2012年の兵庫ダービーを制したメイレディがいる血統。
姉のいた園田で初重賞制覇なるか注目。
タケデンタイガー
デビュー2戦目の函館芝1200m戦でスンナリ先手を奪うと2着に2馬身半差をつけて快勝。その後の函館2歳Sでは中団からレースを進め、直線では馬群を縫うようにして2着に追い込んできた。前走のいちょう
Sは最後の伸びを欠いて9着。今回が初めてのダートだが洋芝で好走しているので案外合うかもしれない。
ただ、距離延長は微妙な感。
トーセンラーク
2戦目の東京芝1600mの未勝利戦を勝利後、函館2歳Sへ駒を進めたが距離が短すぎたのか4着に。その後札幌芝1500mのクローバー賞では一転して先行する競馬。それが功を奏 し快勝。前走の東京芝1600mの重賞アルテミスSでは最後まで渋太い伸びで3着に入った。
この馬も初ダートだが血統的にダートが合っていそう。一発あってもおかしくない。
傾向と対策






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