第50回 園田ジュニアカップ(勝ち馬:ガリバーストーム)
年末恒例、2歳王者決定戦の第50回『園田ジュニアカップ』が行われ、断然の1番人気に支持されたガリバーストーム(牡2・尾林幸二厩舎)が優勝。デビューから5連勝で2歳の頂点に立った。騎乗していた広瀬航騎手、管理する尾林幸二調教師ともに、同馬の『兵庫若駒賞』勝ち以来の重賞制覇となった。
揃った飛び出しの中、ダッシュを利かせてハナに立ったのはガリバーストームだった。アンサンが2番手、フセノコーラルが3番手に。ベルレフォーンは中団からレースを進めた。ガリバーストームは折り合いを付けながらも、平均したペースでレースを引っ張った。一旦2番手に上がってプレッシャーを与えに行ったフセノコーラルは失速。そこへベルレフォーンとアンサン、ピロコギガマックスが迫って来る。他馬が詰め寄ると、また突き放すガリバーストーム。内で脚を溜めていたアンサンが2着を確保。3着のベルレフォーンは道中で脚を使った分、直線で余力がなかった。最後は2着以下に3馬身半差をつける楽勝だったガリバーストーム。無傷の5連勝で世代の頂点に立った。
2度目の重賞制覇でガッツポーズで引き揚げる広瀬航騎手。涙は一切なく、笑顔満開のタイトル獲得となった。「自信の仕上げで臨んだ」と尾林師はその言葉通りの完勝で、断然人気のプレッシャーを撥ね退けた。2歳王者となったガリバーストームは、3歳重賞路線も当然主役。クラシック戦線で春の嵐が一層吹き荒れる。
第49回 園田ジュニアカップ(勝ち馬:ツムタイザン)
大晦日の締めくくりに行われる2歳重賞『園田ジュニアカップ』が行われ、1番人気のツムタイザンがその人気に応えて快勝。同馬はこれで『兵庫若駒賞』に続く重賞2勝目。堂々と2歳王者に輝いた。管理する大山寿文調教師も重賞2勝目。騎乗した杉浦健太騎手は、これが14勝目のタイトル獲得となった。
好スタートを決めたのはキングオブハーバー。パールプレミアも前へ。ツムタイザンは控えて好位からレースを進める。一旦、パールプレミアが前へ出て最初のコーナーを迎える。結局、キングオブハーバーが逃げ、パールプレミアが2番手で落ち着き、新子厩舎の2頭が引っ張る形に。ツムタイザンは3番手。人気の一角シェナキングは最後方からとなった。スローで流れたが、2番手のパールプレミアが折り合いに苦労シーンが見られる。その後ろからジワっと接近するツムタイザン。シェナキングが動き始める。4コーナー手前で前を捉えたツムタイザン。直線に向いたところでパールプレミアが脱落。抜け出すツムタイザンと粘るキングオブハーバー。そこへシェナキングが猛然と追い上げる。それでも1馬身半の差をつけてツムタイザンが優勝。最後方からよく追い上げたシェナキングが2着。こちらも力を十分に示した。
これで若駒賞に続く重賞2勝目で、堂々と2歳王者の座に輝いたツムタイザン。初距離を克服し、2021年はさらに飛躍する。ダービージョッキーに輝いた今年、最後の重賞も見事に締めくくった杉浦健太騎手。重賞初出走、初制覇の偉業を達成し、さらに重賞2勝目となった大山寿文調教師。新年は、ツムタイザンを中心に三冠路線が繰り広げられる。
第48回 園田ジュニアカップ(勝ち馬:イチライジン)
年末恒例、2歳王者決定戦『園田ジュニアカップ』は、4番人気の伏兵イチライジンが3番手から抜け出して快勝!デビュー6戦目で3勝目。重賞は初制覇となった。騎乗した吉村智洋騎手は同レースは初制覇で、通算20勝目の重賞勝ち。管理する田中範雄調教師は、実に同レースは8勝目の制覇となり、通算では58勝目となった。
好スタートを切ったのは8番人気のキクノウイング。断然前有利の馬場でハナを奪い切った。ディアタイザンは先手を取れず2番手、ピスハンド(2番人気)は3番手の外側。3番手のインに潜り込んだのがイチライジン。一番人気のエイユーキャッスルは後方からのレースとなった。レースは淀みなく流れ、勝負どころの3コーナーでは、イチライジンが抜群の手応えで前を睨む。案の定、直線では弾けるように突き抜けた。2番手は逃げていたキクノウイングがしぶとく粘る。3番手には後方にいたコスモピオニールが追い上げてくる。それらを尻目に7馬身の差をつけて余裕のゴールとなったイチライジン。
年間勝利数の兵庫県記録を塗り替えた吉村騎手が、今年の最後を重賞勝ちで締めくくった。「(3番手の内を)取れた時点で勝ったと思いました。理想通りのポジションで、想像通りの走りでした」と振り返った。吉村騎手は334勝目で今年を終えた。管理する田中範雄調教師は、これが地方通算1988勝目。前人未到の2000勝が目の前だ。
第47回 園田ジュニアカップ(勝ち馬:テンマダイウェーヴ)
2018年大晦日に第47回『園田ジュニアカップ』が行われ、1番人気に期待に応えてテンマダイウェーヴが優勝!鞍上の渡瀬和幸騎手と共に、重賞連勝を果たした。管理する新井隆太調教師は、今年はこれが6勝目のタイトル。1月3日の『新春賞』のマイタイザンで始まり、大晦日も重賞勝ちで締める素晴らしい活躍となった。
リリコ、テンマダイウェーヴが好スタート! 結局、テンマダイウェーヴがハナに立つ。デビュー2戦目のミネラルデポジットが2番手。リリコは3番手の内側を進む。2番人気のテツは中団からの競馬となった、3角手前で2番手グループが密集して先頭に迫って来る。それらに2馬身差をつけてテンマダイウェーヴが4角を迎える。直線に向いて、さらにその差が広がる、2番手にはリリコが浮上、3番手に中団から追い上げたオオエフォーチュンが食い込む。最後は4馬身の差をつけてテンマダイウェーヴが圧勝。
渡瀬騎手がプレッシャーをはねのける見事な勝利を挙げた。騎手人生20年目、10月の若駒賞に次ぐ2度目の重賞勝ちとなった渡瀬騎手。
新井調教師は、一年で重賞6勝と荒稼ぎした。
第46回 園田ジュニアカップ(勝ち馬:コーナスフロリダ)
年末の締めくくりとなる2歳王者決定戦『園田ジュニアカップ』は、実績より素質を期待されて1番人気となったコーナスフロリダが、その期待に応えて快勝。一気に2歳王者に上り詰めた。同馬はこれで4戦3勝となり、重賞初勝利。管理する田中範雄師は昨年に続いて連覇達成で、同レース7勝目(アラブ含む)。通算では51勝目となった。騎乗した大山真吾騎手は同レース3勝目で、通算9勝目のタイトル獲得となった。
最多勝の4勝馬アゼツライト、唯一の重賞勝ち馬トゥリパを抑えて、コーナスフロリダが1番人気に支持された。同馬主、同厩舎のマジックカーペットが昨年優勝していた背景も手伝ったのかも知れないが、前走で格下相手とは言え、10馬身差を付けた快勝劇が後押ししたようだ。
逃げて『若駒賞』を制したトゥリパがハナを奪いに行ったが、1番枠ならと休み明けのセイヴァーベナが譲らずダッシュを利かせて先頭を奪い切った。やむなく2番手に控えるトゥリパ。そこへアゼツライトが並びかけて3番手。コーナスフロリダは4番手につけた。正面スタンド前に入ってペースが落ち着いたところで、後方にいたミネオラチャンが先団まで一気にポジションを上げて行った。この動きで落ち着きかけた流れに乱れが生じ、先行グループは息を入れるタイミングを逸してしまう。その後ろで控えることができたコーナスフロリダにとっては絶好の流れとなった。向正面に入って、一団と先行グループ。勝負所で2番人気のアゼツライトが早々と脱落してしまう…。逃げていたセイヴァーベナも休み明けのハンデがあってか、苦しくなって後退。そこで抜け出していくトゥリパ。さらに仕掛けたコーナスフロリダが並びかけて行く。レースを動かしたミネオラチャンもしぶとく3番手で食らいつく。追い出しのタイミングで後れを取ったが、道中は終始コーナスフロリダと同じような位置でレースを進めたテクノマインドが脚を伸ばして4番手まで迫ってきた。直線に向いて堂々と抜け出したコーナスフロリダ。一方で、前半落ち着かない流れで脚を使わされたトゥリパは失速して行く。そこへミネオラチャンとテクノマインドが迫る。それでも余裕の脚色でコーナスフロリダが1着でゴールを決め、2歳王者に君臨した。テクノマインドは1馬身半差まで詰め寄ったが2着に敗れた。それでも2走前にコーナーフロリダに勝った力は十分に示した。ミネオラチャンは、自ら動いて厳しい流れを作りながら、よく辛抱した3着だった。4着となったが、トゥリパも牝馬では最上位の力で、1月18日の『園田クイーンセレクション』では当然主力となるだろう。
勝ったコーナスフロリダはレースをするたびに成長を見せ、あっという間にスターダムへのし上がった。これからのさらなる成長が楽しみだ。『園田ジュニアカップ』は兵庫生え抜き限定のリミテッド戦。いまは以前とは違い移籍や交流が盛んになっている時代となっていて、2歳王者の名はただの一区切りとなっている。コーナスフロリダに求められるのは、今後の3歳重賞路線で移籍馬に屈することなく中心を担い、『兵庫ダービー』で防衛を果たすこと。生え抜き馬は過度な期待を課せられがちだが、ファンや関係者からの愛情だと思って欲しい。
第45回 園田ジュニアカップ(勝ち馬:マジックカーペット)
2016年の掉尾を飾る重賞、2歳王者決定戦の『園田ジュニアカップ』は、1番人気のマジックカーペットが中団から差し切って優勝。3戦無敗の2歳王者となった。管理する田中範雄調教師は重賞47勝目。同レースは2014年インディウムで勝って以来の6勝目。騎乗した田中学騎手は重賞42勝目。同レース5勝目となった。2戦2勝で重賞勝ちのあるナンネッタが早々と戦線離脱。好素質馬ホープクリスエスも追い切り後に不安が発生して回避。やや小粒な印象が否めなかった。ところがふたを開けてみれば、既成勢力の『兵庫若駒賞』勝ちナチュラリー、デビューから3連勝したブレイヴコール。それらに加えて新馬戦圧勝のあと、休み明けのレースでも圧勝したマジックカーペット、重賞2勝の兄を持つイオタイザンも参戦して、なかなかの好メンバーが集った。
スタートで出遅れてしまったのは、1番人気に支持されたマジックカーペット。それでもすぐさま中団馬群に取り付く。逃げを打ったのはブレイヴコールだった。ナチュラリーが2番手に付け、イオタイザンは前走同様末脚にかける戦法で後方に控えた。ペースは落ちつき、スローで流れて行く。この緩やかなペースを利用して、マジックカーペットの田中騎手は徐々にポジションを上げて行く。勝負どころでは、いつのまにか3番手グループにまで押し上げていた。前走鮮やかなマクリ脚で快勝していたイオタイザンが、向正面から動きを見せて進出を開始していくが、やはり相手強化の今回は思ったように先頭立つことができないでいる。スローな流れは当然、前にいる各馬に有利に働いて、追い上げ各馬にとっては苦しい展開に。逃げていたブレイヴコールが遂に追い出し逃げ込みを図る。2番手で前を睨みながらも、後ろからの追い上げを警戒していたナチュラリーも勝負に出る。ところが、すぐ後ろまで迫っていたマジックカーペットが鋭い反応を見せて、一気に先頭に並びかけて直線を迎える。ナチュラリーはこの時点で脱落。あとはブレイヴコールとマジックカーペットの一騎打ち。3勝馬の意地を見せ懸命に粘るブレイヴを、最後はキッチリ1馬身捉えて、マジックカーペットが差し切って優勝した。ナチュラリーは6馬身離されての3着。イオタイザンは伸びきれず4着に敗れた。
マジックカーペットはデビュー前から素質を見込まれていた期待馬。2戦目の前の能力検査で、ゲートでトラブルを起こし不合格になっていた。そういった不安を抱えながら圧勝した前走で、評価はさらに高まった。これで3戦3勝となり、一躍来年の重賞戦線での主役候補に名乗り上げることになる。スタートの甘さが現在の課題だが、名門田中範雄厩舎が当然解消してくれるだろう。デビューから川原、下原、田中とトップジョッキーばかりに乗り替わっているが、今後どの騎手と歩んで行くのかも楽しみのひとつとなる。
第44回 園田ジュニアカップ(勝ち馬:ノブタイザン)
デビューから4連勝で重賞『若駒賞』を制したマイタイザン、同世代最多の5勝を挙げているスマイルプロバイド、デビュー前から評判の高かったノブタイザンが現2歳馬のトップスリー。これらが一堂に会する『園田ジュニアカップ』ならば人気も分散し混戦となっていたはず。ところがここへ駒を進めたのはノブタイザンだけで、あとの2頭は早々に回避を表明していた。実はこの3頭の主戦は、すべて杉浦騎手。彼に身体が三つあれば全馬が顔を揃えたかと言うとそうではなく、マイタイザンはノブタイザンと同馬主(厩舎は別)で、最初から路線を分けて使われていた。スマイルプロバイドは牝馬なので、年明けの1月22日『園田クイーンセレクション』へ照準が合わされた。自ずとノブタイザンに注目と人気が集まるのは当然のことだった。2番人気になったブルーウィザードは、2連勝中で期待がかかるが、同レースと同距離の1700mで、3走前に完敗を喫しているのが気がかり。3番人気はエクスペクトパレス。同馬はノブタイザンとデビュー戦でぶつかり、人気を二分するほどの注目を集めた。しかし気性の悪さを露呈して3着に敗れていた。その後も気性の難しさが付きまとう。リーディングトレーナーをこの時点で確定させていた新子調教師が送るシュエットが4番人気。400kgを切る馬体ながら、渋太さが魅力のハルカカナタが5番人気で続いた。
注目のスタートは揃った飛び出しに見えたが、わずかにノブタイザンが遅れて一瞬最後方になり場内がざわつく。そんな中、ダッシュを利かせてブルーウィザードがハナに立つ。それを追ってエクスペクトパレスが2番手。ハルカカナタは4番手。ノブタイザンは後ろから4番手に付ける形となった。ペースが一旦落ち着いた2コーナー、動きを見せる馬はおらず、向正面に入って行く。ここで後方からノブタイザンが進出を開始するが、思ったほどの伸びを引き出せないでいる。人気馬が伸びあぐねているのを見てチャンスと感じたか、アサクサセーラやトウケイヘイゾウの人気薄各馬が先んじて動いて行く。また反応も良かった。3コーナーで満を持して逃げ込みを図るブルーウィザードが追い出しにかかる。エクスペクトパレスも2番手で必死に食らいついて行く。ノブタイザンはようやくエンジンがかかったが、それでも4コーナー手前ではまだ5番手。大ピンチのまま直線を迎える。ブルーウィザードが2番手にいたエクスペクトパレスをまずは突き放す。そこへノブタイザンがやって来るのだが、思ったほどの勢いがない。なんとか2番手に上がったところへアサクサセーラが加わってくる。その瞬間スイッチが入ったか、ビュンとひと伸びを見せて、粘るブルーウィザードをゴール寸前に捉えきった。スタートで後手に回り、道中も反応が鈍い。直線もあっさりとは言い難かったが、最後は決めてしまうのだから、やっぱりなかなかの役者だ。
「ヒヤヒヤしました。嬉しいよりもホッとしました」と口にするものの、表情は極めて明るかった。2着のブルーウィザードはデビュー当初から大事に使われ、今回も1ヶ月以上間隔があった。完敗した1700m戦で2着と奮闘したのだから、成長力と厩舎陣営の努力が実った結果と言える。今後も重賞戦線で注目される1頭になるだろう。3着には10番人気のアサクサセーラ。こちらは逆に使われて力を少しずつつけてきた。メンバー中最多の16戦目のキャリアを活かし重賞でも結果を残した。まだ未勝利で勝ち切れないが、初勝利も近い。エクスペクトパレスは気性面から来るスタミナロスがやはり課題。最後の追い比べで見劣り4着となった。今後は折り合いがつきやすい短距離路線に絞るか、このままクラシック路線を歩むのか、選択が迫られる。思えば2歳戦は杉浦騎手のひとり舞台だった。ノブタイザン(3勝)、マイタイザン(4勝)、スマイルプロバイド(5勝)とオープン馬3頭の主戦を務め、これだけで12勝も稼いだ。初重賞制覇も達成、JRA初遠征も経験し、充実しきった一年であったに違いない。これらを擁して3歳クラシック戦線で中心的存在になっていくのだが、今後は目標が絞られていくので、使い分けが難しくなる。騎乗馬の選択に頭を悩ますことにもなるだろう。 いやが上にも彼の判断に注目が集まる。プレッシャーもあるだろうが、注目される存在になったことを誇りに思ってもらいたい。
第43回 園田ジュニアカップ(勝ち馬:インディウム)
園田競馬2014年を締めくくる重賞レース『園田ジュニアカップ』は、絶対王者として君臨していた7戦6勝トーコーヴィーナスを、デビューからわずか54日目で臨んだインディウムが差し切って勝利しま
した。同馬はこれで4戦4勝、重賞は初制覇。管理する田中範雄厩舎は重賞36勝目。鞍上の川原正一騎手は、なんと通算99個目のタイトル。2015年に大台の重賞100勝を目指すことになります。
トーコーヴィーナスが負けたレースは、JRAや他地区の強豪が集う『兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ)』だけ。しかも逃げた2番人気のウィッシュハピネスを追ってハイペースを作り、同馬を4着に潰してしま
うほどプレッシャーを与える走り。さすがに自身も苦しくなって7着に敗れたが、4コーナーで前をカットされる不利も痛かった。続く認定レースでは別定重量で57kg。2歳の牝馬が背負うには、あまりに
も重いと誰もが思う酷量。それでも勝ってしまうのだから凄い。重賞レースは他地区との交流重賞『園田プリンセスカップ』と地元デビュー限定の『兵庫若駒賞』を勝っている。今回は地元デビューの限定戦、
王座防衛は間違いないと思ってなんら不思議のないこと。当然のように断然の人気になって単勝1.6倍。しかし3戦3勝の無敗で出走する挑戦者、インディウムにも期待をかけるファンも多く、無敗であるとい
うのは強みと、年末独特の夢を求める想いがそうさせるのか、2.5倍と思ったほど突き放されずに続く2番人気。抜群のスタートを切ったトーコーヴィーナス。ダッシュも効かせて2番手以下を少し突き放すよ
うにしてペースを上げます。一方、これまでの3戦、いずれもスタートが巧く決まらなかったインディウム。加えて初めて立つ1700mのスタート地点、戸惑いを見せるかと思いきや、これまた見事にスター
トを決め、すぐさま3番手に取り付きます。ややペースを落ちた正面スタンド前で、インディウムが2番手まで押し上げる。これまでインディウムの主戦を務めていたからこそ、木村騎手は想定済みとばかりに、
余裕で待ち受ける先頭のトーコーヴィーナス。残り600m付近からこの2頭が動き出すと3、4番手に付けていた3番人気のポッドライジングもついて行けなくなる。こうなると完全にマッチレースの様相に。
手応えに余裕が感じられたトーコーヴィーナスに対し、懸命に追って迫るインディウム。それでも追い比べになると突き放されてしまうのではと思っていたら、執拗に食い下がりを見せる。デビュー戦で2着馬
に4秒4の大差をつけた好素質馬は並ではない。それどころか、直線ではトーコーヴィーナスを掴まえてしまうのですから。最後は1馬身1/4の差をつけて快勝。デビューから54日目、4戦4勝で無敗の2歳
王者が誕生したのです。2着に敗れたものの、3着のポッドライジングには6馬身差をつけているわけで、やはりトーコーヴィーナスも相当強い。スタート後に多少速い脚を使ったことが影響したか、追い出し
てから思ったほど伸びず、地元馬に初めて黒星を喫してしまった。それも「相手のペースに合わせたくない」という陣営の思いがあってのことで、悲観する内容ではなさそう。今回は思った以上に相手が強かっ
たというだけのこと。勝ったインディウムはデビュー戦もさることながら、その後も9馬身、6馬身と圧勝続き。ただ、強い相手にもまれていない経験不足が、一気の相手強化で面食らうというのはよくあるこ
と。それを真っ向勝負で女王を破った能力は只者ではない。トーコーヴィーナス一強と目されていた、明けて3歳となる世代。これで二強。いや、このインディウムより素質は上と田中範雄調教師が言うダイリ
ンエンドもいる。デビュー戦で2着馬に2秒1の大差をつけて圧勝。同馬も加わるとなれば、園田の3歳戦線が厚みを増していくことになり、益々楽しみが増える!年の括りに味わったどよめきが、春の期待感
へと変わって行く。