第55回 楠賞(勝ち馬:イグナイター )
『楠賞』は、3年前に条件を変更して再スタートした。全国交流の1400m戦として生まれ変わり、これまで他地区の強豪が常に制していたが、今年は地元のイグナイター(牡3・新子雅司厩舎)が優勝。兵庫移籍後4戦目で重賞初制覇を成し遂げた。騎乗していた田中学騎手は、今年に入って8度目の重賞制覇で、通算65勝目。管理する新子雅司調教師は43度目のタイトル獲得となった。
逃げると思われていたトミケンシャイリとジョーロノが揃って出遅れとなる波乱の幕開け。逆に好スタートを切ったのがイグナイター。労せずハナに立った。2番手にリュウノシンゲン、ジョーロノが巻き返して3番手まで浮上。エイシンビッグボス、エイシンリボーンと続き、ワールドリングは後方からの展開となった。引き付けるのではなく、速い流れを作りながら逃げるイグナイター。後続も追い上げ態勢に入るが、なかなか前との差が詰まらない。4角ではさらに突き放すイグナイター。2番手はリュウノシンゲン、そのあとからエイシンビッグボス、エイシンリボーンが続く。ようやく追い上げるワールドリングはまだ5番手争いで伸びあぐねている。直線でも独走状態のイグナイターは、半ばで既に勝利を確信できるほどの着差がついていた。懸命に粘ったリュウノシンゲンが2着、エイシンビッグボスが3着に。そして最後に差を詰めたワールドリングが4着に食い込んだ。
勝ち時計の1分28秒2は、いまの馬場を考えるとかなり優秀で、過去の勝ち馬と比較しても遜色のない力量だと想像がつく。仮に他地区の馬が出遅れていなくても、楽勝したのではないかと思わせる強さだった。「ハナに立った時点で勝ったと思いました」と自信に満ちあふれたコメントの新子師。次の目標に『兵庫ゴールドトロフィー(JpnⅢ)』(12月22日)を予定。地方馬初、地元馬初の優勝を叶えてくれそうな期待感が大きく膨らむ。
第54回 楠賞(勝ち馬:サロルン )
全国交流の3歳重賞『楠賞』が行われた。今年から1着賞金が2000万円に倍増!全国から強豪が集い好メンバーで争われた。勝ったのは1番人気のサロルン(船橋)だった。これで同馬は7戦7勝となり無傷の重賞制覇を成し遂げた。管理する岡林光浩調教師は、兵庫で初めての重賞勝ち。騎乗した高知の赤岡修次騎手は、兵庫ではこれが6勝目の重賞勝ちとなった。
ハナを切ると思われていたサロルンがスタートで後手に回るまさかの展開!労せずハナを奪ったのは兵庫ダービー馬ディアタイザンだった。2番に重賞5勝馬ステラモナークがつけ、地元勢がペースを握る。3番にニュータウンガール。サロルンは好位の内で初めて揉まれる形でレースを進めた。有力遠征馬ヴァケーション、ティーズダンクは中団からの競馬。ティーズダンクが3コーナーで進出を開始して先頭を奪っていく。このときステラモナークは大きく後退…。ディアタイザンも苦しくなる。直線で抜け出したティーズダンクに食い下がるのは笠松のニュータウンガール。そこへ外に切り替えたサロルンがなんと差しに回って追い上げてくる。さらに後ろからはハナブサが接近!脚色は衰えず、そのまま差し切るサロルン。ティーズダンクが2着を粘り、地元のハナブサが3着と健闘を見せた。
「スタートで滑るのは想定済みでした」と振り返った赤岡修次騎手。差しに回ることは十分シミュレーションができていた、さすがの名手!岡林光浩調教師は「一瞬ダメかと思ったが勝てて良かった。距離は延びても大丈夫だと思っていた」と語った。スタートで後手に回り、初めて控えて馬群に揉まれる展開。初距離、初のコーナー4つのレース。と初物づくしでも克服し快勝したサロルン。今後どこまで連勝が伸びるのか、どんな舞台を歩むのか、非常に興味深い。
第53回 楠賞(勝ち馬:リンゾウチャネル )
昨年復活した『楠賞』は、全国交流の3歳重賞。昨年に続き今年もホッカイドウ勢がレースを制した。単勝元返しの断然の支持を集めた道営三冠馬リンゾウチャネルが余裕の勝利。今年に入って7連勝で、通算の重賞タイトルは5勝目。管理する堂山芳則調教師、騎乗した五十嵐冬樹騎手はともに2005年モエレソーブラッズ(兵庫ジュニアグランプリ)以来の園田での重賞勝ちとなった。
予想通りアヴニールレーヴがハナに、ジンギが2番手。リンゾウチャネルが3番手につけた。名古屋のアンタエウス、大井のフォルベルスは中団から、コウチノアルネゴーが後ろから2頭目のポジションから追いかける展開に。3コーナーで仕掛けたジンギが先頭に替わる。そこへ並びかけるリンゾウチャネルの手応えは抜群!持ったままでジンギを捉えるリンゾウチャネル、ムチを一発も使わず先頭に立つ。1馬身半差でも大楽勝のリンゾウチャネル。ジンギが2着、フォルベルスが3着。アンタエウス、アルネゴーとそのあと続いた。
力の違いを見せつけた道営三冠馬。「遠くまで帰らないといけないので」と余力残しの圧倒的な勝利。今後のリンゾウチャネルの活躍が注目だ。
第52回 楠賞(勝ち馬:ソイカウボーイ )
6年ぶりに復活となった重賞タイトル『楠賞』。3歳限定、全国交流の短距離戦(1400m)として生まれ変わってレースが行われた。
トウケイタイガーの前走は出遅れ、外を追い上げてかかってしまい折り合いを欠く。相手のペースに合わせて直線を迎えたところ、思ったほどの伸びが見られず、一度負かしたエルウェーオージャにあしもとを掬われた。その反省から、「スタートが良ければハナに行こうと思ってました」の言葉通り、ハナを奪って主導権を握った。もうこの時点でレースはほぼ決していた。
勝ったのはホッカイドウ競馬のソイカウボーイ。『兵庫JG』でも3着していた実績馬、力の違いで2番手から楽々と抜け出しての快勝だった。同馬に とって2つめの重賞タイトル。騎乗していたのは兵庫の川原正一騎手。これが通算113勝目の重賞勝ち。管理する田中淳司調教師は、兵庫での重賞は4勝目と なった。
生まれ変わった楠賞がスタート!アンナラヴェリテがハナを奪い、ソイカウボーイが2番手をガッチリマークする。3番手には大井のツルマルパラダイス。差がなくワークアンドラブ、クリノヒビキが続く。その後ろにオータムヘイロー、浦和のツーエムアリエス。3コーナー手前でアンナラヴェリテが脱落。ソイカウボーイが馬ナリで抜け出して行く。クリノヒビキ、オータムヘイローの地元2頭が2番手、3番手に押し上げる!直線を迎える各馬を楽々と突き離していくソイカウボーイ。初の短距離戦で追い上げに後れを取ったワークアンドラブが、内から2番手に浮上する。最後は2馬身半差で快勝となったソイカウボーイ。
「1、2コーナーを巧く回れて安心しました。3コーナーでも余裕がありました」と川原騎手。
復活初戦の『楠賞』は、ホッカイドウ競馬所属のワン・ツーフィニッシュで幕を閉じた。