第14回 兵庫若駒賞(勝ち馬:ガリバーストーム)
地元馬限定2歳馬重賞『兵庫若駒賞』が行われ、1番人気のガリバーストーム(牡2・尾林幸二厩舎)が2番手から抜け出して優勝!デビューから3連勝、土つかずでタイトルホースに輝いた。騎乗していた広瀬航騎手には、これがデビュー20年目にして、念願の重賞初制覇となった。管理する尾林幸二調教師も開業16年目の嬉しい初タイトル獲得となった。
逃げて結果を残してきた各馬。その中でトップスピードを見せたアンサンがハナに立った。ガリバーストームは逆らわず2番手からの競馬。ベラジオボッキーニは3番手に。メイプルシスター、ピロコギガマックスがそのあとに続いた。ウーニャ、ラッキーライズなどは中団。ダイヤモンドダストは最後方。逃げるアンサンと2番手のガリバーストームが抜け出した格好で迎えた向正面。3コーナー付近からは後続が迫り、前との差を詰める。4コーナーではガリバーストームが先頭に替わり、アンサンは後退。好位の内で脚を溜めたベラジオボッキーニが差を詰め、さらに外からはピロコギガマックス迫る。直線半ばで完全に抜け出したガリバーストーム。そこへピロコギガマックスが急追。ベラジオボッキーニは3番手。それでもガリバーストームがクビ差凌いで優勝。ピロコギガマックスはわずかに2着。ベラジオボッキーニが3着に。最後に良い脚を見せたウーニャがハナ差で4着。最後方から追い上げたダイヤモンドダストが5着に食い込んだ。
デビューから20年目、広瀬航騎手にとって大願成就、涙の重賞初制覇となった。尾林幸二調教師も16年目の嬉しい重賞初制覇。騎手時代は“重賞男”の異名を取るほど大舞台に強かった勝負師がようやく目覚めた。ガリバーストームはこれで3戦3勝。次走は『兵庫チャンピオンシップ』も視野に、さらなる活躍をが期待される。
第13回 兵庫若駒賞(勝ち馬:ツムタイザン)
2歳重賞『第13回 兵庫若駒賞』が行われ、2番人気のツムタイザンが2着以下に8馬身の差をつけて圧勝した。同馬はこれで3戦3勝となり、無敗で重賞ウイナーに輝いた。騎乗した杉浦健太騎手は同レースをマイタイザン以来5年ぶりに制覇。通算では13勝目の重賞勝ちとなった。管理する大山寿文調教師は、重賞初出走で見事に重賞制覇を成し遂げた。
スタートでストークが落馬で競走中止となる波乱の幕開け。注目の先行争いは、2番人気のツムタイザンが逃げ、1番人気のアイルビーゼアが2番手につける展開に。フセノチェリー、マルカフォルトゥナがそのあとに続き、人気どころが上位を占めた。スマイルサルファー、ナットグレースワンは中団からの競馬。人気2頭が速い流れを作りペースは緩まない。それでも軽快に先頭を譲らないツムタイザン。逆にプレッシャーをかけていたアイルビーゼアが後退。その後ろにいたフセノチェリーに展開が向いたが、意外にも伸びあぐねる。益々快調に逃げ脚を伸ばすツムタイザン。最後は8馬身の差をつける大楽勝!2着には中団から追い上げたスマイルサルファーが食い込み、アイルビーゼアはなんとか3着には踏みとどまった。
2歳重賞で8馬身差をつけたのは兵庫県競馬では最多着差。ツムタイザンは、3戦3勝で2歳王者の座をグッと引き寄せた。杉浦健太騎手は、マイタイザンに続く5年ぶりの同レース制覇となった。開業2年目の大山寿文調教師は、初めての重賞挑戦であっさり重賞タイトルを手にした。現時点で同馬に対抗できる地元馬は見つからず、来年のクラシック戦線まで中心的存在となるのは間違いないところだ。
第12回 兵庫若駒賞(勝ち馬:エキサイター)
2歳重賞『兵庫若駒賞』が行われ、断然の1番人気に支持されたエキサイターが快勝。前走こそJRA遠征(芝1800mで3着)で敗れていたものの、園田では5戦5勝とし、重賞初制覇を成し遂げた。管理する長南和宏調教師は、これが通算2勝目のタイトルで、園田では初重賞制覇。騎乗した吉村智洋騎手は通算19勝目の重賞勝利で、同レースは一昨年のトゥリパ以来の2勝目となった。
いつものように出が甘かったエキサイター。2番人気のディアタイザンが逃げる展開に。エキサイターは5番手からレースを進めた。早め早めの競馬で前を捕まえに行くエキサイター、スタートで後手に回ったピスハンドもグングン差を詰める。4コーナーで抜け出したエキサイターにただ1頭迫ってきたのがピスハンド。それでも最後は3馬身の差をつけて快勝したエキサイター。まずは最初の重賞勝ちをゲット。デビュー2戦目で2着になったピスハンドも立派!園田では敵なしの5戦5勝となった。
「スタートは想定内でした」と振り返る吉村騎手。次走は11月9日の『デイリー杯2歳ステークス』を予定している。
第11回 兵庫若駒賞(勝ち馬:テンマダイウェーヴ)
『第11回兵庫若駒賞』は、2年連続未勝利馬が優勝していたが、今年も未勝利馬のテンマダイウェーヴが優勝。騎乗していた渡瀬和幸騎手にとっても初の重賞制覇となった。管理する新井隆太調教師は、3年前のマイタイザン以来の同レース2勝目、通算では8勝目のタイトルとなった。
3番人気のアヴニールレーヴがスタートでハナを奪い、4番人気のテツが2番手に、2番人気フセノピュアが3番手の外側に付け、そのインコースにテンマダイウェーヴが並んだ。『園田プリンセスカップ』を勝ち、1番人気に支持されたリリコは中団から末脚に懸ける展開。先行争いが白に決着がつき、前が有利の展開でレースは進む。それを見越してリリコは3コーナーでは5番手までポジションを上げた。直線に向いて逃げ込みを図るアヴニールレーヴにテツが迫る。しかし、その間を突いて、未勝利馬のテンマダイウェーヴが抜け出していく!。未勝利馬とは思えぬ末脚で突き抜けたテンマダイウェーヴ、最後は3馬身の差をつけて快勝した。
20年目のベテラン渡瀬騎手は、嬉しい重賞初制覇となった。今年は自身初めて、ケガによる長期離脱もあっただけに会心の勝利となった。
同レースは実に、3年連続未勝利馬による制覇となった。
第10回 兵庫若駒賞(勝ち馬:トゥリパ)
今年で10回目を迎えた『兵庫若駒賞』は、昨年に続いて未勝利馬が制覇!7番人気だったトゥリパが堂々逃げ切っての優勝だった。管理する平松徳彦調教師は重賞12勝目。騎乗した吉村智洋騎手は10勝目のタイトル獲得となった。平松師、吉村騎手ともに同レースは初優勝。
秋雨前線、さらに台風の影響で長雨となった今秋。久しぶりに雲ひとつない青空の広がる下、飛躍を誓う若駒重賞『兵庫若駒賞』が行われた。デビューから3連勝のアゼツライトが1ヶ月前は大本命候補として挙げられていたが、前走でまさかの3着と敗れ、一転混戦模様となった。それでも同馬の巻き返しに期待するファンは1番人気に押し上げた。そのアゼツライトを鮮やかに差し切ったフセノランが2番人気に。2歳牝馬らしからぬ根性と、鋭い決め脚が武器。連勝で重賞制覇を目論む。3番人気のセイヴァーベナは『園田プリンセスカップ』で1番人気に支持されながら道営勢のスピードに屈し9着と大敗。地元馬同士なら当然見直しが効く。デビュー戦で大差勝ちしたイチノフリオーソが2戦目でも期待を背負い4番人気。過去にも2戦目で同レースを制覇したのが2頭いるのも後押しする。
2歳戦はスピード重視の流れが一般的だが、どの馬も他の出方を窺うような出脚で、若駒らしからぬ先行争いとなった。抜け出していったのは意外にも、これまで未勝利馬のトゥリパだった。2番手でピッタリマークしたのはセイヴァーベナ。3番手にアゼツライトが付けて、4番手にイチノフリオーソ。フセノランは中団の内側からレースを進めた。スローでレースは始まったが、2コーナー付近から、前の2頭がやや3番手以下を突き放すように淀みなく流れて行く。アゼツライト、イチノフリオーソは向正面中間では早くもムチが入る。この間にフセノランがインコースを進みながらロスなく前との差を詰めて来た。4コーナー手前では、3番手以下に5馬身差を付けたトゥリパとセイヴァーベナ。3番手に外に切り替えたフセノランが上がり、その後ろにアゼツライトが続く展開。イチノフリオーソはこの時点で上位争いから脱落してしまう。直線に入って2番手にいたセイヴァーベナを振り切って、単独ゴールを目指すトゥリパ。そこへフセノランが2番手に追い上げ、アゼツライトが3番手に上がる。それでも脚色鈍らないトゥリパが、2着以下に2馬身差を付けて、堂々逃げ切って優勝した。フセノランが2着でアゼツライトが3着。直線失速したセイヴァーベナが4着となった。
「元々スタートが良い馬で、きょうも抜群のスタートだったので(ハナに)行けるなら行こうと思いました」と吉村騎手。道中はセイヴァーベナにマークされながら「先頭に立ってフワフワするところがあったので、かえって(マークされて)良かったかも知れません」と気を抜かずにレースができたことが勝因のひとつと分析した。
2年連続未勝利馬が勝利した『兵庫若駒賞』だったが、昨年のこのコーナーで「(未勝利馬の重賞勝ちは)必然と言っていい事象で、このままの番組体系なら、また起こりうることだろうと思う」と記していたが、すぐさま翌年に同じ事が起きるとは…。掘り下げて言うのは昨年までとして、同馬のオーナーは元調教師の橋本忠男氏。今年の春に調教師を引退したばかりの“新米”馬主だ。愛弟子の吉村騎手が今年の『新春賞』で恩師の花道を飾ったが、今度は馬主となった恩師に初の重賞をプレゼントした。「プレゼントしてもらってるというより、こちらがプレゼントしてもらってる方です」と謙遜する弟子を、隣で照れくさそうに頷きながら、最後は大きな拍手を送った橋本忠男氏だった。
第9回 兵庫若駒賞(勝ち馬:ナチュラリー)
10月27日、2歳重賞『兵庫若駒賞』が行われ、デビューから2戦未勝利だったナチュラリーが優勝。初勝利が重賞制覇という、兵庫県競馬にサラブレッドが導入されて以来初の快挙を成し遂げた。管理する新子調教師は、2歳重賞は初制覇で、通算13個目のタイトル獲得。騎乗した下原騎手は同レース7年ぶり3度目の制覇、通算では44勝目の重賞勝ちとなった。 有力馬のナンネッタ、ブレイヴコールの回避で、一転小粒なメンバー構成となった今年の『兵庫若駒賞』。そんな中、人気を集めたのがホッカイドウ競馬から移籍初戦を快勝した3勝馬のスターレーン。そのとき2着だった1勝馬のキューティハーバーの2頭だった。3、4、5番人気はいずれも未勝利馬で、手薄なメンバーを物語る人気となった。
人気薄のキョショウとコパノアーデンが競り合い、速い流れを作る。その後ろにナチュラリーが続き、スターレーンがその直後。いつものようにスタートで後手に回ったキューティハーバーは中団から競馬となった。人気各馬にとっては絶好の流れとなったが、最初に動きを見せたのはナチュラリーだった。3コーナーのカーブ付近で前の2頭に並びかけると、そのまま先頭立って4コーナーを迎える。「(先頭に立つのが)ちょっと速かったかなぁ」と鞍上の下原騎手は思ったそうだが、それを直後で見ていたスターレーンの田中騎手は勝機を感じたことだろう。このときさらに後ろにいたキューティハーバーは、素早く反応できず、一旦置かれてしまう。替わってセカンドインパクトが追い上げて3番手に上がる。直線に向いてもしぶとく粘るナチュラリー。外から懸命に並びかけるスターレーンだが、なかなか差が詰まらない。内側からセカンドインパクト詰め寄り、3頭の争いに。ようやく捉えたかに見えたゴール前では、ナチュラリーがハナ差でスターレーンの追撃を凌いでいた。さらに半馬身差でセカンドインパクトが3着。キューティハーバーは4着に敗れた。
未勝利馬による重賞制覇は、兵庫県競馬にサラブレッドが導入された1999年以降初めての快挙。アラブ時代を通じても初めての可能性が濃いと思われる。未勝利馬が優勝した背景には、有力視されていた馬の回避も大きな要因のひとつだが、兵庫県競馬組合の番組体系も大きな要因だ。2歳戦は賞金でクラスを(一組、二組、三組…)区切ってしまうため、入着賞金だけで一組に編入されることがある。今回しんがり負けを喫したキョショウは1勝馬。道営でデビューし移籍直前のレースで3着した以外は、ほとんどしんがり負けという成績。それが前走で兵庫の2歳三組(この時点での最下級)に編入され、あっさり勝利を手にしていた。もし、ナチュラリーが同じレースに同じ未勝利馬として出走していたら、おそらく楽勝していたことだろう。兵庫県の競馬では、2歳未勝利戦は組まれず、賞金を稼いでいる未勝利馬は、一番強いクラスで闘わざるを得ない。これではなかなか勝つのも難しくなり、未勝利のまま重賞を迎えることも不思議ではなくなる。強いメンバーと闘っていくうち、徐々に力を付け、遂に勝利を手にする瞬間がやって来る。それが重賞であってもなんら不思議ではない。必然と言っていい事象で、このままの番組体系なら、また起こりうることだろうと思う。ただ、やっぱり改善してもらいたい。実際、賞金獲得額で言えば、このレース前の時点で、キョショウは54万5000円(内、道営で4万5000円)で、ナチュラリーは44万円だった。2歳時はクラス分けなどせず、強い馬が勝ち上がるレース体系を作ってもらいたい。未勝利戦というふるいにかけて、強い馬を抽出して欲しい。今も実力がありながら埋もれている未勝利馬がいるのだから。
第8回 兵庫若駒賞(勝ち馬:マイタイザン)
2歳重賞第二弾『兵庫若駒賞』が10月29日に行われ、1番人気に支持されたマイタイザンが2番手から抜け出して快勝。デビューから4連勝で重賞タイトルを射止めた。鞍上の杉浦健太騎手は、デビューから5年6ヶ月で嬉しい重賞初制覇。管理する新井隆太(たかひろ)調教師にとっても、開業3年で初のタイトルゲットとなった。
新馬戦の820mから、2戦目の1400m、3戦目の1700mとそれぞれ違う距離をいずれも逃げったマイタイザン。道中のペースの違いに戸惑うことなく、折り合いもスムーズで完成度の高さを感じさせる。当然1番人気に支持されることになった。2番人気のウメマツサクラは2走前にマイタイザンに敗れている。3番人気のエイシンシンタも前走で後塵を拝している。つまり勝負付けが済んだと思われているが、成長伸びやかな2歳馬のこと、各陣営も逆転を狙う。初対戦となるのは、道営出身の移籍初戦リラフェスタ(4番人気)。未勝利ながら、レベルの高い道営で2着回、3着2回の成績を挙げていて不気味な存在。JRAから移籍後3戦目のキサナドゥー(5番人気)は、移籍初戦は3着と敗れたが、良い脚は披露していた。前走はキッチリ勝って上昇ムードで臨む。好スタートを切ったのはエイシンシン。前走ではマイタイザンを前に見る形でレースを進めたが、今回は逃げの手で勝機を見出す作戦。すんなり控えたマイタイザンが2番手に取り付く格好となった。スマイルプロバイド(6番人気)が3番手折り合いを付ける。スタートで躓いたウメマツサクラは、すぐさま立て直して4番手の位置。リラフェスタが5番手、キサナドゥーは8番手で末脚に賭ける。かなり早い段階から手綱を動かし、追っ付て行くエイシンシンタの大山騎手。それをから余裕の手応えで並んでいくマイタイザンの杉浦騎手。この時点で2頭の勝負は決着がついた。あとは後ろから何が来るか。3コーナーからしきりに後ろを気にする、初重賞制覇を狙う杉浦騎手。その後ろのには重賞を100勝以上もしている大ベテラン川原正一騎手のウメマツサクラが迫っていた。馬体を併せられてから追い出したのでは勢いで負けてしまう。十分に相手との間隔を確認しながら、タイミングを計って追い出す杉浦騎手。展開的にはウメマツが有利だったが、追い上げても差が詰まらない。結局のところ底力が違った。最後は1馬身差も、鞍上が左手を大きく挙げられるほど余裕を持ってマイタイザンが人気に応えて勝利。マイタイザン、鞍上、調教師すべてが初の重賞制覇となった。3着に、末脚を活かしたキサナドゥーが食い込み、スマイルプロバイドがしぶとく4着。逃げたエイシンシンタは5着に敗れた。リラフェスタは6着。
レベルの高い道営出身といえども、未勝利馬に兵庫県の有力馬が負けるはずはなかった。表彰式の壇上、初重賞の新井調教師、杉浦調教師には涙などなく、笑顔満開だった。表彰後にその訳を訊いてみると、新井師は「次があるからね~、泣いてられへん。もっと大きいところを獲ったら泣くかも知れんけどね」とはにかみながら答えてくれた。次走はJRAや他地区から強豪集う『兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ)』(11月25日・園田1400m)。ここで勝てば、涙を見せないはずはない。うん、涙が見たい!
第7回 兵庫若駒賞(勝ち馬:トーコーヴィーナス)
2歳の重賞第2弾は牡馬も参戦できる『兵庫若駒賞』。しかし、今年は牝馬だけの9頭で争われることになりました。断然人気(単勝1.1倍)に支持されたトーコーヴィーナス(牝2・吉行厩舎)が 楽勝して、デビューからの連勝を「5」に伸ばしました。戦前からトーコーヴィーナス一色。対抗格と目されていたショウリが金沢に移籍。フセノダイヤは前走快勝後に蹄骨を骨折して戦線離脱。 ただ、この2頭もトーコーヴィーナスには完敗しており、出走していても1強ムードには変わりなかったでしょう。
レースはスタートを決めてトーコーヴィーナス(木村騎手)がハナに立った時点で、勝負は決していたようなもの。対戦メンバーから見ると格上となる相手に競りかけることなどできず、 手も足も出ない。向正面で各馬が動き出し、騎手たちも激しく躍動する。それでも涼しい表情のヴィーナスと木村騎手。
そんな2番手集団から抜け出してきたのは2番人気のポムショコラ(川原騎手)。4コーナーで大外から勢いをもって先頭に並びかけて来る。それをチラッと見た木村騎手がすぐさま反応して 突き放しかかる。後続が来ればまた伸びると言った感じで、馬は余裕で遊んで走っているように思わせる。実際木村騎手も「50%ぐらいじゃないですかね」と言うほど、 スパーリングのようなレースぶり。結果は1馬身半差でも、着差以上の強さであるというのは明白。
2着のポムショコラも3着馬には7馬身の差を付けているように、水準以上の能力を示してはいます。それでも格の違いは歴然でした。管理する吉行調教師は「馬が(スピードを上げて)行かない んもね。やめてしまう。もっと前で速い馬が引っ張ってくれないと行こうとしない。だから強い馬とやる方がレースはしやすくなると思う」と振り返り、 次走となる『兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅢ)』への期待を含ませました。牝馬牡馬問わず、間違いなく兵庫2歳No.1で、あとは全国に打って出るだけ。『兵庫JG』のあとは、 年末に大井競馬場で行われる『東京2歳優駿牝馬』を目指して調整されます。今後もますます力を付けて、全国でも暴れまわって欲しい。
今年の3歳の”吉行トーコー軍団”は豊作でニーケ、ガイア、ポセイドンの3頭で重賞9勝と荒稼ぎ。しかし「それ以上の器」と師が言うほど惚れ込んでいるヴィーナス。 園田競馬の関係者として、ワクワクせずにはいられません。そんな中、この快勝劇を鋭い視線で見つめる男が…。田中範雄調教師がその人。
500kgを優に超える雄大な馬体。浦河の育成牧場の坂路でビシビシ鍛えられ、好時計を連発してる馬が遂に園田に入厩。プリサイスエンド産駒のダイリンエンド。 「トーコーヴィーナスを倒すためにやって来たんですから」リーディングトレーナーの並々ならぬ闘志に気圧されながらも、またもワクワクが止まらなくなってきた。