ダービー馬復活の末脚ノブタイザン!~六甲盃~
2018年03月2日
第55回『六甲盃』は、ノブタイザンが鮮やかな差し切りを見せ、2年前の『兵庫ダービー』以来となる重賞勝ちで幕を閉じた。
同馬はこれで通算3勝目のタイトル獲得。騎乗した杉浦騎手は通算7勝目の重賞勝ち。管理する新井隆太調教師は6勝目。ともに今年は『新春賞』以来の2勝目の重賞制覇となった。
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◆出走馬
①キクノソル 田中学 1番人気
②エイシンホクトセイ 吉村智洋 2番人気
③マークスマン 竹村達也 8番人気
④アサクサポイント(名古屋) 大畑雅章(名古屋) 5番人気
⑤キングルアウ 大柿一真 7番人気
⑥メイショウヨウコウ 池田敦 10番人気
⑦ヴァーゲンザイル 中田貴士 11番人気
⑧アルカナ 川原正一 6番人気
⑨アサクサセーラ 大山真吾 3番人気
⑩マルカライン 下原理 9番人気
⑪ノブタイザン 杉浦健太 4番人気
⑫エイシンイースト 永島太郎 12番人気
新春賞は+28kgの馬体で仕上がり途上だったキクノソルはそれでも3着と好走。2走目でJRA相手に『佐賀記念』で4着と健闘。元々JRAのオープン馬として活躍した実績もあり、当然の1番人気に支持された。ただ、絞れていると思われていた馬体は、逆に+18kgと『新春賞』当時より増えていた。
『新春賞』で惜しい2着だったエイシンホクトセイが2番人気。中距離に転じてから成長が著しく、昨年の同レースも4着で、その後に『兵庫大賞典』でも3着と好走していて、タイトル獲得間近を思わせる。
昨年の2着馬アサクサセーラが3番人気。骨折があって休養を余儀なくされたが、前走で10ヶ月ぶりに勝利を挙げて完全復調。長距離戦では逃げるというだけで当然注目される存在となる。
一昨年の兵庫ダービー馬ノブタイザンは、ようやく駆け上がったオープンで3着。それでも5頭立てでのもので、古馬オープンではまだ不安が付きまとう。
3年連続連対中の名古屋からはアサクサポイントが参戦。長距離実績があり魅力十分。鞍上は昨年の優勝ジョッキー大畑雅章が務める。
レースは予想通りアサクサセーラが逃げ、長距離特有の超スローペースに持ち込む。
マルカライン、マークスマンが続き、エイシンホクトセイは中団。その後ろにアサクサポイントがつけ、キクノソルは後方グループ。ノブタイザンは末脚勝負に徹し、後方待機策となった。
1周目はほぼ隊列が変わらず進んだが、2周目に入ってキクノソルが道中で包まれるのを嫌い外に出して、さらに正面スタンド前では3番手までポジションを上げた。
2コーナーを迎えるとマイペースで逃げているアサクサセーラのペースを嫌い、田中騎手がキクノソルにゴーサインを出す。
スパッと切れる脚を使うタイプではないので、上がり勝負というより持久戦に持ち込んだ格好だ。
中団のエイシンホクトセイ、後方にいたノブタイザンも追い出しにかかってレースが激しく動き出す。
3コーナーで先頭に躍り出たキクノソルが、4コーナーでは4、5馬身の差を付けた。
早めにマクられてしまったアサクサセーラは苦しくなり、そこへエイシンホクトセイ、アサクサポイント、ノブタイザンが並びかける。
直線に向いて、もうセーフティーリードかと思ったキクノソルの末脚が意外にも鈍る。
+18kgの馬体が堪えたのか、押切りを狙った早めの仕掛けで、逆に持久力をなくしてしまった。
「キクノソルの脚が止まって差が詰まって来たので、これなら行けると思って頑張って追いました」と杉浦騎手が溜まりに溜まったノブタイザンの末脚を爆発させる。
最後は外から内に潜り込むようにして1馬身差し切って優勝。杉浦騎手はゴール前に早々と手が上げ、ダービー以来の勝利に歓喜した。
キクノソルはなんとか2着は確保。エイシンホクトセイがクビ差の3着。アサクサセーラがしぶとく食い下がり4着となった。
勝ったノブタイザンは兵庫ダービー以来の重賞勝ち。それどころか、古馬のオープンでは、これが初勝利となった。
「この馬らしい良い切れ味で勝てたので、嬉しくて(早めのガッツポーズが)出ちゃいました。能力はあるのは分かっていましたし、オープンでもやれると思っていたんですが結果が出せなくて悔しかったですけど、重賞でもやれることを見せられて嬉しいです」と杉浦騎手は笑顔で振り返った。
末脚勝負しかできない不器用さはあるが、常に上がり最速を叩き出す確実性はさすがだ。また、その愚直さが今回の勝利に結びついたのだから、これからもスタイルを崩さず、頑固一徹末脚勝負に懸けてもらいたい。
同厩舎、同馬主のマイタイザンがまったく脚質が逆に逃げ馬だというのも面白い。ともに古馬のタイトルホースとなっての対決(過去はマイの2勝1敗)が楽しみだ。果たしてそのとき、杉浦はどちらを選択するのか!?
写真:斎藤寿一
文:竹之上次男
3月号更新、高馬元紘 調教師インタビュー、等
2018年03月1日
3月号更新しました。(1日5:00)
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クローズアップ 高馬 元紘 調教師
タイトル:めざすは「実力の底上げ」。
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コラム 乗峯 栄一
タイトル:春が来て、キミはきれいになった
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ドリームコンサート&柏原師、遂に念願の重賞初制覇!~園田ウインターC~
2018年02月9日
昨年創設された重賞『園田ウインターカップ』が今年も行われ、昨年の2着馬だったドリームコンサートが2番手から抜け出して優勝!9歳にして遂に念願の重賞初制覇を成し遂げた!管理する柏原誠路(まさみち)調教師にとっても、これが初めての重賞勝ち。鞍上の川原正一騎手は、同レースは前年に続いての連覇達成。通算111勝目の重賞勝ちとなった。
レース結果はコチラ>>>
◆出走馬
①チーフアセスメント 永島太郎 5番人気
②ナチュラリー 下原理 2番人気
③バズーカ 板野央 4番人気
④ドリームポリーニ 杉浦健太 6番人気
⑤ビッグリバティ 吉村智洋 8番人気
⑥ハタノキセキ 大山真吾 3番人気
⑦キングルアウ 大柿一真 10番人気
⑧ベルサリエーレ 松本幸祐 7番人気
⑨エイシンアトロポス 田中学 1番人気
⑩ドリームコンサート 川原正一 9番人気
⑪エイシンイースト 青柳正義 11番人気
⑫ダイリンエンド 廣瀬航 競走除外
短距離の巧者は揃ったものの、エイシンヴァラーやトウケイタイガーなどの横綱不在で大混戦メンバー。加えて、格上挑戦ながら15戦12勝3着3回のパーフェクト連対中のダイリンエンドが当日のパドックで放馬して除外になるアクシデントがあり、いよいよ混迷を極めた。
1番人気に支持されたのは紅一点のエイシンアトロポス。スピード上位で先手を奪っての逃げ切りをファンは支持した。また古馬の重賞勝ちというのも同馬とバズーカだけという実績も買われた。
4歳世代の代表格ナチュラリーが2番人気に。短距離路線で安定して活躍。時折見せる直線で遊ぶクセを前走は見せずに快勝。成長ぶりは目を見張る。
昨年の秋の新設重賞『兵庫ゴールドカップ(GT)』(1230m)で1番人気に支持されながら6着に敗れていたハタノキセキ。汚名返上をかける闘いだ。
その『兵庫GT』を勝ったバズーカが4番人気。前走が不完全燃焼だったチーフアセスメントが5番人気、オープン初挑戦のドリームポリーニが6番人気に続いた。
大方の予想通り、ダッシュを利かせたエイシンアトロポスがハナを奪い行く。すると他の各馬も抵抗を見せずすんなりと1番人気ハナを譲った。
ドリームコンサートは良いスタートから労せず2番手の絶好位に取り付く。内側でナチュラリーが控えて3番手。チーフアセスメント、ベルサリエーレらが続き、バズーカ、ドリームポリーニは中団に。その後ろをハタノキセキが追走する形になった。
重賞としては決して速くないペースで、勝った川原騎手も「速くもなく遅くもなく絶好のペース」だと言った。
そうなると差し脚を活かす各馬も黙って見てるわけにはいかなくなる。
中団の後ろにいたハタノキセキが意を決して追い出しにかかった。
軽快に逃げるエイシンアトロポスに、ぴったりマークしながら、良い手応えで並びかけるドリームコンサート。
そこへハタノキセキが迫り、ナチュラリーは4番手に下がってしまう。
4コーナーではベルサリエーレやチーフアセスメント、ドリームポリーニが迫る。
そこで迎えた直線、堂々と抜け出したのがドリームコンサート。エイシンアトロポスは敢え無く後退してしまう。
ハタノキセキが迫って、ベルサリエーレ、チーフアセスメントも追い上げる直線の攻防となった。
それでも、これが9番人気馬かと思えるほどの貫録で突き放し、最後は1馬身3/4差を付けてドリームコンサートが快勝した。
2着にハタノキセキで、3着にはベルサリエーレが食い込んだ。追い込みのビッグリバティが4着。
ナチュラリーが直線失速して7着。良いペースで逃げていると思われていたエイシンアトロポスは8着に敗れた。バズーカはいいところなく10着と大敗した。
2着のハタノキセキはやや遅いペースと思って大山騎手が早めの仕掛けに打って出たが、これは当然の策。それでも2着に食い下がったのだから立派!
ベルサリエーレは敢えて先行争いを避けて、控える形でレースを進めたが、内容としては悪くない3着だと言える。脚質に幅が出たなら、これからはハナにこだわらなくていいだろう。
先行した人気のエイシンアトロポス、ナチュラリーは上がり勝負よりも、追走各馬へなし崩しに脚を使わせる速めのペースが合うのだろう。2頭ともに、あれほど直線で失速するような馬ではないだけに、次の一戦での巻き返しを期待しよう。
勝ったドリームコンサートは太目解消が叫ばれ、この日も-1kgだった馬体重は、一気の良化を求めづらかった。
管理する柏原師も「5、6着ぐらいかなと思っていた」と振り返ったように自信はなかったようだ。
そんな中、鞍上の川原騎手だけは、前日に「去年(2着)のリベンジをします」と決意を語っていた。
勝ったあとも前日に宣言したことを合う人、合う人に確認を求めていた。
いや去年は、あなたがトウケイタイガーで勝ったから負けたんですけど…。
とにかく川原騎手のテンションはいつになく高かった。
KKコンビと言われた柏原師と川原騎手。しかし近ごろ、このコンビでの活躍が薄れていただけに喜びを爆発させたのだろう。
「いつもの勝利と変わらないのですが、いろんな人におめでとうと言われ、いつもと違うなと感じています」と実感を持てず、たどたどしく話すかつてのリーディングトレーナー柏原師。余りにも対照的な表情の川原騎手とのギャップを微笑ましく感じた。
さて、園田七不思議のひとつに数えられていた『柏原師の重賞未勝利』は、これで消えることになった。
あとの六つは誰も知らない…。
写真:斎藤寿一
文:竹之上次男
2月号更新、田中一巧 調教師インタビュー、等
2018年02月1日
2月号更新しました。(1日5:00)
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クローズアップ 田中 一巧 調教師
タイトル:三代目勝負師のつくり方
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コラム 青木るえか
タイトル:ワシは休んどく
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