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マルトクスパート、二年越しの瞬撃戦制覇!~園田FCスプリント~

820mの瞬撃戦、第7回『園田FCスプリント』が行われ、1番人気のマルトクスパートが5番手から差し切り、一昨年2着の無念を晴らした。同馬は重賞3勝目。これまでは他地区で挙げた勝利ばかりで、ようやく地元での初重賞制覇となった。管理する田中範雄調教師は通算48勝目の重賞勝ち。鞍上の田中学騎手は、通算43勝目のタイトルとなった。調教師、騎手ともに同レース初制覇。

 

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◆出走馬

 


 ①ニシノビークイック 大柿一真 12番人気

 


②スマイルヴィジット 松本幸祐 10番人気

 


③マルトクスパート 田中学 1番人気


④タガノグランパ 下原理 5番人気

 


⑤ドリームコンサート 吉村智洋 3番人気

 


⑥マイアリエス 川原正一 8番人気

 


⑦ シーズアレインボー 杉浦健太 6番人気

 


⑧カッサイ 永森大智 7番人気

 


⑨ハタノキセキ 大山真吾 4番人気

 


⑩カイロス 佐原秀泰 2番人気

 


⑪クインズハリジャン 笹田知宏 11番人気

 


⑫ルミナス 廣瀬航 9番人気

 

瞬く間に勝負が決まる“瞬撃戦”は、何よりスタートが命。それだけにスタートの速い馬が今年も顔を揃えた。格や人気よりもスピード優先で、これまでも波乱を演出して来たのは格下と思われていた人気薄の逃げ馬だった。

 

1番人気はマルトクスパート。一昨年の2着馬で、当時は逃げてレースを引っ張った。ところが齢を重ねてズブさが出てきて、以前のようなテンのスピードは感じられない。それでもこのところの3連勝の勝ちっぷりをファンは支持した。

 

遠征馬が多く活躍するレースでもあり、遠征馬の高知2頭にも注目が集まる。福山競馬出身のカイロスは、当地が廃止後大井に転厩したが、強豪南関東勢相手に、A2クラスでも勝ち鞍を挙げた実力馬。

 

高知に移籍後もスピードを活かして重賞勝ちを収めるなど、トップクラスの活躍を示している。スタートの巧さにも定評があり、2番人気の支持を得た。

 

一方カッサイは昨年の2着馬。同距離実績で優位だが、近走の内容がイマイチで、人気では7番人気と意外な評価となった。

 

園田に移籍後着外になったのはダートグレードだけという実績馬、ドリームコンサートが3番人気。差し馬だが、決め手を買われてハタノキセキが4番人気に続いた。

 

誰もが注目するスタート。好発を決めたのは7番人気のマイアリエスだった。

 

 

 

昨年ランドクイーンで優勝した盛本調教師は、今年は重賞クラスでは格下たが、速さではヒケを取らないと見て同馬を送り込んだ。

 

逃げた馬は格下であろうがなんであろうが、この時点で馬券に絡む可能性が大きい。

 

今年の穴馬はこの馬だったか…。

 

 

先頭に並びかけて行ったのは、昨年2着だった高知のカッサイ。

 

カイロスが3番手、マルトクスパートはその後ろに続いた。

 

先行争いは激しく続き、息をつかせない流れが4コーナーでも落ち着かないでいる。

 

 

展開的には差し馬の流れだが、それでも前が粘ってしまうのが820m戦。

 

挑戦でも前の2頭の激しい争いがまだ続いている。

 

満を持して並びかけるマルトクスパートが一完歩ずつ差を詰める。

 

 

ようやく先行争いを制して抜け出したカッサイがゴールを目指すところへ、マルトクが迫って来た。

 

もつれたゴール前ではほとんど並んで微妙な態勢。

 

 

 

ところがマルトクスパートの田中学騎手はすぐさま左こぶしを握り締め勝利を確信した。

 

「もし負けていたらすごく恥ずかしいことでしたけど」と冗談めかしたが、あの着差で確信が持てたあたりはさすがのベテラン勝負師。

 

2着のカッサイは2年連続の2着と、今年もあと一歩が届かなかった。

 

マイアリエスの3着は持ち味を十分に発揮して逃げたからこそ。やはりこの距離は逃げると馬券に絡む確率がグンと上がると再認識した。

 

勝ったマルトクスパートは、年齢を重ねてズピードが落ちたが、展開に融通がきくようになった。

 

7月25日に船橋競馬場で行われる『習志野きらっとスプリント』の優先出走権を得たが、出否はいまのところ未定。

 

できればその権利を行使してもらいたいが…。

 

820m戦は、一見スピードだけを求められていると思われがちだが、実は騎手や馬にとっても、最後の直線でしっかり息を保たせるスタミナが必要なのだ。

 

7歳となったマルトクスパート、43歳ベテランの田中学にも、まだまだ若々しいスタミナが溢れている。

 

 

 

写真:斎藤寿一

文:竹之上次男

7月号更新、玉垣 光章 調教師インタビュー、等

7月号更新しました。
(1日10:00)

クローズアップ 玉垣 光章 調教師
タイトル:足もとをみつめ、一歩、また一歩…。
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コラム 乗峯栄一
タイトル:ついに兵庫ダービー馬に
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混戦ダービー、ブレイヴ逃げ切る!

第18回『兵庫ダービー』は昨年とは打って変わっての好天のもと行われ、3番人気のブレイヴコールが逃げ切って悲願の重賞タイトルが、ダービー制覇となった。管理する諏訪貴正調教師も初重賞がビッグタイトル。騎乗した川原正一騎手は109勝目の重賞制覇。『東海ダービー』は3度制しているが、『兵庫ダービー』は初勝利となった。

 

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◆出走馬


①セカンドインパクト 吉村智洋騎手 10番人気

 


②ナチュラリー 下原理騎手 3番人気

 


③イオタイザン 杉浦健太騎手 5番人気

 


④スリーピーアイ 大山真吾騎手 6番人気

 


⑤キョウトブッサ 竹村達也騎手 12番人気

 


⑥ホープクリスエス 木村健騎手 4番人気

 


⑦アグネスフォース 鴨宮祥行騎手 9番人気

 


⑧ジンバイッタイ 田中学騎手 1番人気

 


⑨スダチチャン 永島太郎騎手 8番人気

 


⑩オレハツライヨ 田野豊三騎手 11番人気

 


⑪ブレイヴコール 川原正一騎手 2番人気

 


⑫エアラコメット 岡部誠騎手(名古屋) 7番人気

 

誰もが本命候補に支持したマジックカーペットが、直前追い切りのあと脚元に不安が発生。検査の結果『左前肢管骨亀裂骨折』ということが判明した。

 

一強ムードでしかたないと思われていた今年の『兵庫ダービー』が、一転大混戦の様相を呈した。

 

前走マジックカーペットに敗れはしたが、3着馬に大差(10馬身以上)をつけたジンバイッタイが当然主役に繰り上がる。単勝1.8倍と抜けた人気となった。

 

2番人気はブレイヴコール。マジックカーペットに重賞で2度の2着と後塵を拝していて、宿敵がいないとなれば勝利も見えてくる。

 

唯一の重賞勝ち馬ナチュラリーが3番人気。マジックカーペットを欠いた田中範雄厩舎が送る二の矢のホープクリスエスが4番人気。昨年の西日本ダービー制覇のマイタイザンを兄に持つイオタイザンが5番人気で続いた。

 

 

逃げると思われたブレイヴコールが抜群のスタートを切った。一方、そのハナを奪わんとしたナチュラリーは若干の出負け。

 

すんなりブレイヴコールがハナを制した。エアラコメット、オレハツライヨがそこへ続き、ナチュラリーは5番手に控える形。ジンバイッタイは6番手につけた。

 

 

先行争いがすぐに決着がつき、ペースが落ち着く。このままスローで流れて行くと思った正面スタンド前、後方にいた格上挑戦で臨むアグネスフォースが一気にポジションを上げて行く。

 

 

 

一周目のゴール板前では先頭並びかけて行くが、コーナーワークで先行集団が盛り返し、馬順は変わらず1コーナーから2コーナーへ。

 

向正面に入ってナチュラリー、イオタイザンがジワッと前へ接近。それを見てジンバイッタイも仕掛けて行く。

 

 

 

残り600の地点では2番手に押し上げたジンバイッタイ。そのままマクり切りたかったが、呼吸を合わせるようにペースアップするブレイヴコールがそれを許さない。

 

その間に、最後方にいたスリーピーアイがいつの間にか3番手まで進出していた。

 

道中の溜めが効いていたブレイヴコールが追い出すと、ついて行けなくったジンバイッタイ。

 

 

替わって追い上げて来たのがスリーピーアイ。大山騎手が渾身の追い上げを見せる。

 

粘るブレイヴコールに迫るスリーピーアイ。

 

 

 

「勝ったのは分からなかった」と川原騎手が振り返るように、もつれたゴールだったが、わずかにアタマ差、ブレイブコールが凌いで第18代兵庫ダービー馬に輝いた。

 

 

わずかの差に泣いた大山騎手は、ダービージョッキーの称号を得られず悔しがった。

 

6馬身差の3着にジンバイッタイ。そこ迫っていたイオタイザンは、残り100m付近で故障発生。4着でゴールしたが、入線後に杉浦騎手が下馬。重度の骨折で予後不良となった。兄以上の活躍を期待していたファンも多く、本当に悔やまれる…。

 

勝ったブレイブコールは、重賞で2度、マジックカーペットの2着に泣いていた。今回は対戦を避けて今年から全国交流となった『高知優駿』(6月18日)に出走予定だった。

 

ところが宿敵の戦線離脱で急きょ矛先を変えての出陣となっていた。直前の目標変更で、かなり調整が難しくなっただろうが、そこを巧く調整した陣営は見事だった。

 

カルストンライトオ産駒で距離不安が常に付きまとっていたが、それも克服した。

 

何より、父と姿は似ているが、レースぶりは一目散に逃げる父とは違い、同じ逃げでもスローの上がり勝負が得意。折り合いもつきやすく、テン乗りで結果を出したように、乗り難しさもないようだ。

 

父の種牡馬としての価値を高める大きな勝利だったとも言える。

 

 

 

兵庫ダービー馬は、オオエライジン(2011年)が全国的な活躍をしたのを最後に、その後は古馬のオープン特別ですら勝ち鞍を挙げた馬はいない。条件戦で負けを繰り返す馬さえいる。

 

ブレイヴコールには、このジンクスを破るような活躍を見せ、ダービー馬の嫌な流れを断ち切ってもらいたい。

 

 

大本命視されていた馬が直前の回避。いかに強くとも、出走にこぎつけられなければダービー馬の称号は得られない。

 

目標から逆算してローテーションを作って来てもこうなってしまうのだから、馬づくりは本当に難しいと思わせた今年の『兵庫ダービー』だった。

 

写真:斎藤寿一

 

文:竹之上次男

6月号更新、その金ナイター見て歩き、等

6月号更新しました。
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クローズアップ その金ナイター見て歩き
タイトル:ゴールデンウィークは大盛況!
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コラム 青木るえか
タイトル:こう見えても、お宝箱
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