2022 兵庫サマークイーン賞 レポート
2022年07月17日
2022年07月15日(金)
◆全国交流重賞『第15回兵庫サマークイーン賞』(園田1700m) ◆
今年最初のナイター重賞として行われた牝馬限定戦、グランダムジャパン古馬シーズンの第4戦「兵庫サマークイーン賞」。
ダートグレードでも良績を残すダノンレジーナやメモリーコウを中心に南関東から4頭、さらに連覇を狙うシーアフェアリー(名古屋)も加わり、今年も遠征馬5頭はいずれも強力な馬ばかり。これを重賞5勝ステラモナークなどの地元馬7頭が迎え撃つ図式となったが、戦前から遠征馬有利と見られていた。

(1ステップシュートに騎乗予定だった木本直騎手は、当日4Rの本馬場入場の際に負傷したため、井上幹太騎手に変更となった。)
1番人気は、ダノンレジーナ(浦和)で単勝1.6倍と1頭抜けた。2020年のJBCレディスクラシック(Jpn1)4着などダートグレードでも結果を残している馬で、ここまで牝馬重賞を4勝。前走の佐賀ヴィーナスカップは長距離輸送を克服しての完勝で、ここでも最右翼と目された。
2番人気はメモリーコウ(大井)で単勝3.0倍。
去年は牡馬に交じって東海SやマーチSで3着に入るなど、ダートグレードで何度も好走があった馬。今年に入ってやや精彩を欠くが、実績を買われて上位人気の支持を受けた。
3番人気はジュランビル(大井)。(単勝11.4倍)
元々は芝のJRA重賞で度々好走歴。3勝クラスはダート戦で勝利してオープン入りした馬。JRAから大井へ移籍し、今回転入初戦でいきなりの園田遠征となった。
去年の兵庫サマークイーン賞の覇者で、秋の兵庫クイーンカップをも制した園田1700m得意のシーアフェアリー(名古屋)が、単勝15.2 倍の4番人気。
今回A2からの格上挑戦となったが、兵庫では去年の兵庫クイーンカップ4着など5着以下が一度もない堅実派のナナカマドカが地元馬の中では最も支持を集めて5番人気(単勝24.0倍)。
来春の繁殖入りの前にもう一つタイトルをと目論む重賞5勝馬ステラモナークが6番人気(単勝25.0倍)で続いた。
記録的に早い梅雨明けで猛暑となった7月上旬から一転、戻り梅雨のようなスッキリしない天気が続く中、週初めの大雨の影響が残って馬場状態は稍重。今年初のナイター重賞ということもあり、通常のナイターデーより2割増しのお客さんが見つめる中でスタートが切られた。
ゲートの飛び出しは横一線に見えたが、ジュランビルとメモリーコウがバランスを崩して出負けの格好に。好スタートから逃げていったのは地元兵庫の重賞5勝馬ステラモナーク。1番人気ダノンレジーナが2番手で続いた。
スタートの出負けから大外一気にポジションを上げて好位に取り付いたメモリーコウに、ステップシュートとロカマドールが並んで3番手集団を形成して1周目のスタンド前を通過。連覇を狙うシーアフェアリーは中団、ジュランビルは後方2番手で末脚を溜める展開となった。
平均ペースで流れる中、2周目向正面からステラモナークがピッチを上げて引き離そうとするが、ダノンレジーナが2番手で離されることなく悠々追走。4コーナーでステラモナークに馬体を併せると、直線で出された本橋騎手のGoサインにダノンレジーナはすかさず反応し、最後は3馬身差の完勝。佐賀ヴィーナスカップからの連勝でグランダムジャパン古馬シーズンの首位をガッチリと固めた。南関東勢が兵庫サマークイーン賞を勝利するのは史上初のこととなった。
2,3着は共に人気薄の兵庫勢。中団のインをピッタリ回ったシークレットローザが2着で、そのすぐ後ろで同じくインでロスなく末脚を溜めていたデンコウハピネスが3着。逃げたステラモナークが4着に粘り、後方から直線だけで猛追したジュランビルが5着。メモリーコウは一旦後退した後、直線再び盛り返すも7着。シーアフェアリーは末脚を伸ばせず10着だった。
上位3頭は1番人気→10番人気→8番人気の決着で、三連単は145,010円というヒモ荒れの結果となった。

ダノンレジーナは、重賞5勝目。
<獲得タイトル>
2020 東京シンデレラマイル(大井)
2021 しらさぎ賞(浦和)
東京シンデレラマイル(大井)
2022 佐賀ヴィーナスカップ(佐賀)
兵庫サマークイーン賞(園田)

本橋孝太騎手は、地方重賞通算29勝目。
今年は東京ダービーをカイルで制するなど大舞台でも好調で、今年重賞5勝目。
初の兵庫遠征でいきなりの重賞勝利となった。

小久保智厩舎は、地方重賞通算71勝目。東京ダービーを含め、今年重賞4勝目。
兵庫での重賞制覇は、2014年の兵庫ジュニアグランプリをジャジャウマナラシで制して以来2度目。

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)
◆出走馬

1 ステップシュート(森沢) 井上幹太騎手 11番人気

2 シークレットローザ (玉垣) 吉村智洋騎手 10番人気

3 ステラモナーク (新子) 下原理騎手 6番人気

4 (名)シーアフェアリー (安部幸夫) 岡部誠騎手 4番人気

5 ナナカマドカ (田中範) 川原正一騎手 5番人気

6 (大)ジュランビル (福永敏) 落合玄太騎手 3番人気

7 デンコウハピネス (尾林) 田中学騎手 8番人気

8 (川)ロカマドール (山崎尋美) 山崎誠士騎手 9番人気

9 ギルランディーナ (高馬) 広瀬航騎手 7番人気

10 (船)ダノンレジーナ (小久保智) 本橋孝太騎手 1番人気

11 ユウキラフェール(碇) 杉浦健太騎手 12番人気

12 (大)メモリーコウ(鷹見浩) 吉原寛人騎手 2番人気
◆レース
1日曇りがちのお天気で、夜になって日中の蒸し暑さからは少し解放された中、馬場状態「稍重」でスタートを迎えた。

【スタート】 ゲートの飛び出しはほぼ一線だったが、3ステラモナークが抜群のスタートダッシュを決めてあっという間に逃げていく。2完歩目で12メモリーコウがややバランスを崩し、6ジュランビルは躓いて遅れた。

【1周目3コーナー】逃げた3ステラモナークを追って、1番人気の10ダノンレジーナが外から2番手に上がると、1ステップシュートは内で3番手に抑えた。スタートで一旦遅れた12メモリーコウが大外から一気にポジションを上げ、間の8ロカマドールも加わって3番手グループは3頭固まった。

【1周目スタンド前①】 インコース6番手に2シークレットローザ。連覇を狙う4シーアフェアリーは中団馬群の中。その後ろから7デンコウハピネス、5ナナカマドカが並び、後方から3頭目に11ユウキラフェール。さらに6ジュランビル、9ギルランディーナと続いた。

【1周目スタンド前②】馬群全長は12~3馬身と少しバラけて、極端にペースは落ちることなくミドルペースでスタンド前を通過した。

【2周目1~2コーナー】 3ステラモナークはペースをそれほど緩めず、得意の形に持ち込む。コーナーを回る間にずっと外を回っていた12メモリーコウが5~6番手の中団まで下がった。

【2周目向正面】3ステラモナークが少しずつスピードを上げて引き離しにかかるが、 10ダノンレジーナも軽く促され2馬身差でしっかり付いていく。3番手以下が少しずつ離れ始めた。

【2周目3~4コーナー】 逃げる3ステラモナークとの差を10ダノンレジーナが余裕の手応えで詰めにかかる。始終インを進んでいた2シークレットローザが内から3番手に上がった。

【4コーナー】 10ダノンレジーナは余裕の手応えのまま、鞭が入る3ステラモナークに並びかける。単独3番手に2シークレットローザが上がると、その後ろで同じコースを通って来た7デンコウハピネスが4番手に上がってきた。12メモリーコウは後方に下がり、6ジュランビルもまだ後方馬群の中。

【4コーナー~最後の直線】 3ステラモナークに並んだ10ダノンレジーナは、本橋騎手からGoサインが出ると一気にスピードを上げて先頭に立っていく。

【最後の直線①】直線半ばで10ダノンレジーナが完全に抜け出し焦点は2着争い。内で粘る3ステラモナークに外から2シークレットローザが迫る。

【最後の直線②】2シークレットローザが2番手に浮上した後、3ステラモナークを目掛けて7 デンコウハピネスが迫り、さらに中から6ジュランビルが凄い末脚で一気に3着争いに加わる。

【ゴールイン】3馬身差で10ダノンレジーナが優勝のゴールイン。このレース、南関東勢初優勝となった。2着2シークレットローザ。3着争いは3頭接戦となったが、7デンコウハピネスが外から3着に届いた。地元兵庫の人気薄2頭が2,3着に飛び込む波乱。3着馬とクビ差の4着に3ステラモナーク、そこからさらにクビ差で6ジュランビルが5着。
「自信はありました。ハナか2番手か3番手と思っていたのでイメージ通りだった」と本橋騎手が話した通りのレースぶりで、グランダムのレースで連勝を飾ったダノンレジーナ。
レース後、小久保師はインタビューで「まだ佐賀の遠征の影響かなというのがある・・・」と吐露した。浦和から佐賀への長距離遠征によるダメージが少なからず残っていたようで、それは「頭が下がる思いです。よく頑張ってくれた」(小久保師)、「暑い中、本当によく頑張ってくれている」(本橋騎手)という言葉の中に滲み出ていた。
決して状態面が万全ではなかった中でこのパフォーマンス。ダノンレジーナの強さ、タフさにただただ脱帽だ。

<本橋孝太騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)
<小久保智調教師 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)
ダノンレジーナとずっとコンビを組む本橋騎手は、「真面目で指示にすぐに応えてくれる。自在性も根性もあるし、気性的にも大人になっている」と愛馬の成長をひしひしと感じているようだ。
これでグランダムジャパン古馬シーズンの首位をガッチリと固めたダノンレジーナ。次走は、疲労をケアしながら、第8戦となる9/2(金)の秋桜賞(名古屋1500m)に照準を合わせて調整されるとのことだ。

初めての園田競馬場での騎乗に「また乗りたいと思う綺麗な競馬場だった」との感想を残した本橋孝太騎手。ダノンレジーナとのコンビで再び遠征してくることがあれば、兵庫勢にとってまた大きな脅威となるだろう。その時に堂々と渡り合える地元馬が誕生していることを期待したい。
グランダムジャパン古馬シーズンは4戦が終わって、残り5戦。首位に立つダノンレジーナは、このまま地方の古馬最強牝馬の道をひた走る。
写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと
2022 園田FCスプリント レポート
2022年06月24日
2022年06月23日(木)
◆近畿四国交流重賞『第12回園田FCスプリント』(園田820m) ◆
2011年、地方競馬スーパースプリントシリーズ(SSS)のスタートと共に、1400m重賞の「園田フレンドリーカップ」から「園田FCスプリント」に名前と距離を変えて12回目。SSSのファイナル「習志野きらっとスプリント」へと続くワンターンの一戦だ。一年で唯一の820m重賞に、今年も高知から去年の覇者ダノングッドと3着馬ダノンジャスティスという強豪馬が遠征してきた。地元馬も重賞2着2回の実績があるメイプルグレイト、下級クラスとはいえ820mで4連勝中のイズジョードリーム、昨年2着ブランオラージュと4着ブレイクフリーも参戦するなど、今年もスピード自慢が集う一戦となった。

単勝1番人気は、去年の優勝馬ダノングッド(高知)で2.0倍。8歳で高知に移籍してから重賞6勝した遅咲きの古豪。今回、園田FCスプリント3度目の出走で、一昨年2着、昨年は6馬身差で優勝と抜群の相性を誇る。この1年で820m~1600mのあらゆる距離で重賞を5勝したが、直近の2走は人気に応えられず。10歳という年齢のため、やや衰えもあるかと囁かれる中、連覇を狙っての出走となった。
2番人気はメイプルグレイト。(単勝3.0倍)。
昨年の摂津盃と兵庫ゴールドカップで2着に入った実力馬。船橋からの復帰戦となった前走初めて820m戦に出走、他馬より重い58kgを背負いながら快勝。初重賞制覇に期待が集まった。
3番人気はイズジョードリーム。(単勝6.1倍)
C1クラスでなかなか勝てない日が続く中、2月にスーパースプリント戦へシフトしてから覚醒。その初戦姫路800mは2着に敗れたものの、園田820mで4連勝と覚醒。C1C2→C1→B1B2→B2C1と下級クラスでのもので、今回一気の相手強化とはなるが、4連勝の勢いが人気を押し上げた。
今回初の820mとなるが、1230mでは安定感抜群の走りを披露していたスマートメイスが、単勝11.6倍の4番人気。
昨年1番人気で3着だったダノンジャスティス(高知)が、今年は単勝14.2倍の5番人気に甘んじていた。
火曜から水曜早朝にかけて梅雨らしいお天気となり、今週の開催は不良馬場でスタート。
しかし、水曜木曜は時に日差しが射し込むお天気で連日30℃超え、馬場は稍重まで回復した。
820m戦で何より大事なのはスタート。しかし、バラバラの飛び出しとなってしまった。メイプルグレイトは躓き加減にバランスを崩し、スマートメイスはジャンプしながらのスタートで出遅れた。他にも何頭か立ち遅れる馬がいた中で、ゲートオープンとほぼ同時に抜群のスタートを決めたのは、ブレイクフリー、ダノンジャスティス、ダノングッド、イズジョードリームの4頭だった。
そこから100mでイズジョードリームが一旦半馬身前に出て逃げたが、外からグングン加速したブレイクフリーが3コーナー入口で先頭に立ち、ダノングッドが3番手。その外にダノンジャスティスが並ぶ展開。メイプルグレイトとスマートメイスは、中団より後ろという厳しい展開。
連覇を狙うダノングッドは、3~4角で砂を被ったことで進みが悪くなり、一旦前との差が4馬身と広がったが、直線外に持ち出されると今年も段違いの末脚を披露。悠々ブレイクフリーを差し切り、5馬身ちぎって2年連続スーパースプリント王の称号を手にした。2着はダノンジャスティスが上がり、高知・別府真司厩舎のワンツー。逃げたブレイクフリーがスマートメイスの追い上げをアタマ差振り切って3着を確保した。メイプルグレイトは7着。
高知のダノングッドは重賞7勝目。園田FCスプリントの連覇は史上初の快挙となった。
兵庫での10歳以上馬の重賞制覇は、2015年摂津盃を11歳で制したダイナミックグロウ以来2頭目。(記録が残る1973年以降)
上位3頭は1番人気→5番人気→7番人気の決着で、三連単は15,530円。

ダノングッドは、重賞7勝目。
<獲得タイトル>
2020トレノ賞(高知)
2021 園田FCスプリント(園田)
ゴールド争覇(名古屋)
笠松グランプリ(笠松)
2022 ゴールドスプリント(佐賀)
だるま夕日賞(高知)
園田FCスプリント(園田)

多田羅誠也騎手は、重賞8勝目(今年4勝目)。
大阪府高槻市出身の4年目(24歳)、関西凱旋となったレースで兵庫重賞初制覇。

別府真司厩舎は、今年だけで重賞5勝目。
兵庫重賞は園田FCスプリント連覇で通算2勝目となった。

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)
◆出走馬

1 メイショウメイリン(田村) 永井孝典騎手 11番人気

2 ブランオラージュ (中塚) 佐々木世麗騎手 10番人気

3 ワシヅカミ (新子) 笹田知宏騎手 6番人気

4 コスモビスティー (栗林) 竹村達也騎手 12番人気

5 ダウンタウンスピカ (田中道) 長尾翼玖騎手 9番人気

6 (高)ダノングッド (別府真司) 多田羅誠也騎手 1番人気

7 イズジョードリーム (小牧) 長谷部駿弥騎手 3番人気

8 トゥリパ (栗林) 鴨宮祥行騎手 8番人気

9 スマートメイス (有馬) 吉村智洋騎手 4番人気

10 (高)ダノンジャスティス (別府真司) 上田将司騎手 5番人気

11 メイプルグレイト(大山) 田中学騎手 2番人気

12 ブレイクフリー(高馬) 下原理騎手 7番人気
◆レース
午後から青空が広がり、気温は実況席の温度計で33℃。強い日射しの中、馬場状態「稍重」でスタートを迎えた。

【スタート】 どの馬もまずはしっかり決めたいスタートだったが、ゲート出はバラバラ。11メイプルグレイトがややバランスを崩した他、9スマートメイスはジャンプしながらの発馬で出負け。1メイショウメイリン、2ブランオラージュ、4コスモビスティー、5ダウンタウンスピカ、8トゥリパも遅れてしまった。

【向正面①】 抜群のスタートを決めたのは、12ブレイクフリー、10ダノンジャスティス、6ダノングッド、7イズジョードリームの4頭だったが、ダッシュが一番速かった7イズジョードリームが先頭に立つ。

【向正面②】 6ダノングッドが2番手。外から12ブレイクフリーがスピードを上げて3番手。その内に10ダノンジャスティス。3ワシヅカミが5番手。後方はスタートで後手を踏んだ馬達が一団で追走。

【3コーナー】 12ブレイクフリーが外から7イズジョードリームを抜いて先頭に立つ。高知のダノン2頭が3,4番手で続く。

【3~4コーナー】 7イズジョードリームのキックバックにより砂を被ったことで3番手の6ダノングッドはスピードが鈍り、一旦は前と4馬身離されてしまう。

【4コーナー】逃げる12ブレイクフリーが7イズジョードリームを2馬身突き放す。3番手の6ダノングッドはここから外目に持ち出していく。9スマートメイスは中団で、11メイプルグレイトはその後ろ。

【4コーナー~最後の直線】 粘る12ブレイクフリーに6ダノングッドが迫る。7イズジョードリームが3番手に後退し、間から10ダノンジャスティスが伸びてくる。内に3ワシヅカミがいて、外に出された9スマートメイスも追い上げ態勢。

【最後の直線①】 一気に6ダノングッドが12ブレイクフリーに並ぶ。3番手争いは、内から順に7イズジョードリーム、3ワシヅカミ、10ダノンジャスティス、9スマートメイスの4頭が広がる。

【最後の直線②】残り100mであっという間に6ダノングッドが差し切って先頭。2着争いは、一気に10ダノンジャスティスが伸びて12ブレイクフリーに襲い掛かる。

【最後の直線③】6ダノングッドが抜け出すと、あっという間にリードを広げていく。残り40mで10ダノンジャスティスが2番手に上がった。内ラチ沿いで粘る7イズジョードリームに大外から9スマートメイスが迫って3着争い。

【ゴールイン】今年は5馬身差で6ダノングッドが優勝のゴールイン。高知の古豪10歳馬が連覇を果たした。10ダノンジャスティスが2着で高知勢のワンツーフィニッシュ。3着争いはアタマ差で12ブレイクフリーが粘った。
「距離が短いのでスタートだけは確実に出せるように」と多田羅騎手の言葉通り、いいスタートを決めたダノングッド。「行き脚も良かったが、砂を被ったところで嫌がって後退してしまった。でも、空いた所で外に出せたので良かった。コーナーで外に出した時には他の馬とは脚が違ったので自信を持って追った」結果、後続を5馬身突き放す完勝だった。
連敗時には少し調子落ちもあったようだが、今年春には黒船賞(Jpn3)の3着もあった馬。得意の舞台で衰えがないことを証明して見せた。
このレース高知勢は、2013エプソムアーロン、2015サクラシャイニー、2018カイロス(同着優勝)、2021ダノングッドに続く5勝目となった。
多田羅騎手は、大阪府高槻市出身で、言わば地元関西での初勝利。
実は奇跡的にこのレースに騎乗が叶っての勝利だった。
レース当日の午前中には、別府調教師、上田騎手と共に高知発伊丹行の飛行機に搭乗し、1時間足らずのフライトの後、13時前には園田競馬場に到着するはずだった。しかし、突然の機材トラブルで離陸寸前に欠航が決まり、急遽2時間遅れの神戸行に変更しての移動となった。神戸空港到着後は急いでタクシーに乗り、祈る思いで園田に到着したのがタイムリミットの2分前。レーススタート時刻までは1時間を切っていた。
もし間に合っていなければ、高知の2頭は兵庫の騎手に騎乗変更となり、自らの手綱での勝利はなかったのだ。
家族や友人は応援に来ていたかと訊かれ、「一番デカい声援が聞こえたので………母親の声援が聞こえました」と照れ笑いを浮かべた。運も味方につけて、母の見つめる前での勝利。最高の親孝行をも叶えた。

<多田羅誠也騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)
<別府真司調教師 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)
「このレース目標に調教を進めて、良い状態で挑戦できた。10歳になりましたがまだ現役バリバリです」別府師。ダノンジャスティスとのワンツーも決め、「空港でトラブルがあり、みんなバタバタした中でこれだけの結果が出せて嬉しいです」と喜んだ。
「不器用なところもあるが、スムーズに運べば確実に脚を使ってくれる」と多田羅騎手が言えば、「レースになると入れ込みが無くなって落ち着いて走ってくれる賢い馬」と別府師。
ただ、レース後はいつものように興奮状態。
ジッと立っていられないため、西ウィナーズサークルでの記念撮影は危ないと本馬場での口取りに切り替えられた。
しかし、ここでもなかなか関係者と並んで駐立してくれないダノングッド。最終的には関係者の周りを何周もぐるぐる歩いて回っている所を、いいタイミングの一瞬を切り取って写してもらうスタイルの記念撮影という珍しい光景となった。

次走については、「年齢も重ねているので馬の回復次第」としながらも、順調ならば昨年同様「習志野きらっとスプリント」への遠征を考えているとのことだ。
「馬が元気で丈夫なので、このまま無事に1年走れたらまた来年も挑戦したい」と11歳での3連覇への意欲も見せた別府師。
もしかすると、来年を待たずこの秋にも昨年2着の「園田チャレンジカップ」などでその雄姿が見られるかもしれない。兵庫勢にとっては強力な遠征馬だが、再来を待ちたい。
写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと
2022 兵庫ダービー レポート
2022年06月10日
2022年06月09日(木)
◆3歳重賞『第23回兵庫ダービー』(園田1870m) ◆
兵庫三冠の最終戦、3歳馬の頂上決戦「兵庫ダービーが」地方競馬ダービーシリーズの第4戦として行われた。
昨年の2歳王者ガリバーストームが故障で戦線離脱。
代わってこの世代の主役に躍り出たのは、ゴールドジュニア(笠松)、兵庫ユースカップを続けて圧勝したバウチェイサーだった。しかし、菊水賞では断然の1番人気ながら3着、兵庫チャンピオンシップは10着に敗れたことでダービー戦線は一転して群雄割拠の戦国ムードとなった。

混戦ムードの中1番人気はバウチェイサー。朝からずっと3番人気に甘んじていたが、投票締切に向けて一気に票を伸ばして最終的に単勝3.3倍で最も期待を集めた。ラスト一冠に向けて万全の仕上げを施された重賞2勝馬がリベンジを期す。
2番人気は菊水賞馬ベルレフォーン。(単勝3.9倍)。
僚馬バウチェイサーに勝ったことも評価され、兵庫チャンピオンシップではバウチェイサーよりも上位人気の評価を受けての6着。二冠制覇を目論む。
3番人気は菊水賞2着のエイシンクエーサー。(単勝4.1倍)
門別から兵庫転入後4連勝した馬。菊水賞まで使い詰めだったが、ダービーへの出走権利を取れたため一旦休養へ。兵庫チャンピオンシップはパスして、ダービー一本に照準を合わせてきた。
兵庫チャンピオンシップで地元再先着の5着に好走し、1870m戦の経験も豊富なローグネイションが、単勝6.7倍の4番人気。
デビュー当初から素質が高く評価されていた菊水賞5着馬ベラジオボッキーニが5番人気。(単勝10.1倍)
兵庫クイーンセレクションとのじぎく賞を制した牝馬重賞2勝馬ニネンビーグミが6番人気。(単勝11.1倍)
重賞2着3回とタイトルにあと一歩のレースが続いている牝馬のニフティスマイルが7番人気。(単勝15.7倍)
その他は、単勝47倍以上となっていた。
今週初めには関東甲信から先に梅雨入りの便りが届いたが、関西はまだ先の様子。
ダービーDayも好天に恵まれ、強い日差しで気温が30℃前後まで上がる中、良馬場で3歳No.1を決める戦いが始まった。
ほぼ横一線のスタートから逃げたのはニネンビーグミ。そして出脚良くバウチェイサーが2番手につけた。3番手集団の内にエイシンクエーサー、中にベラジオボッキーニ。菊水賞馬ベルレフォーンは中団後ろのイン回りで脚を溜め、後ろから2頭目にローグネイションとなった。展開はすぐに落ち着き、スローペースのまま2周目の向正面へ。
各馬ピッチを上げるも、大きな順位変動はないまま3~4コーナーへ。激しく手が動くニネンビーグミの外から楽な手応えでバウチェイサーが並びかけていく。エイシンクエーサーが中団に後退し、代わってニフティスマイルが3番手に接近。
最後の直線に向く手前で一気に先頭に立ったバウチェイサーがそのまま後続を4馬身離して優勝、一部で囁かれていた距離不安も払拭し、第23代ダービー馬の称号を手にした。
中団から伸びたニフティスマイルは重賞4度目の2着。3着は4角から大外に持ち出されたローグネイションが追い込んだ。菊水賞馬ベルレフォーンは伸びを欠いて7着、エイシンクエーサーは9着と奮わなかった。
春に兵庫三冠の主役と目された中、菊水賞3着、兵庫チャンピオンシップ10着と辛酸を舐めたバウチェイサーが三冠の最後を飾り、重賞3勝目を挙げた。
上位3頭は1番人気→7番人気→4番人気の決着で、三連単は33,130円。

バウチェイサーは、ゴールドジュニア(笠松)、兵庫ユースカップに続く、重賞3勝目となった。

笹田知宏騎手は、重賞9勝目(今年3勝目)。
兵庫ダービーは6度目の挑戦で初制覇。
36歳にしてついに悲願のダービージョッキーに。

新子雅司厩舎は、重賞50勝目(今年7勝目)。
兵庫ダービーは2013年にユメノアトサキで制して以来、9年ぶりとなる2勝目。

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)
◆出走馬

1 ローグネイション(田中範) 杉浦健太騎手 4番人気

2 ベルレフォーン (新子) 下原理騎手 2番人気

3 シェナパリ (山口浩) 大柿一真騎手 12番人気

4 ニネンビーグミ (松平) 広瀬航騎手 6番人気

5 バウチェイサー (新子) 笹田知宏騎手 1番人気

6 ニフティスマイル (田中一) 井上幹太騎手 7番人気

7 エイシンクエーサー (橋本) 田中学騎手 3番人気

8 サヨノハッピー (有馬) 田野豊三騎手 8番人気

9 ウーニャ (盛本) 赤岡修次騎手 9番人気

10 ダイヤモンドダスト (雑賀) 松木大地騎手 11番人気

11 ベラジオボッキーニ(坂本) 吉村智洋騎手 5番人気

12 アンサン(木村) 大山真吾騎手 10番人気
◆レース
よく晴れて気温は30℃前後。強い日差しが降り注ぐ中、良馬場で3歳頂上決戦はスタートした。

【スタート】 ほぼ横一線のスタートも、1ローグネイションと9ウーニャが若干出負け気味。

【1周目向正面】 4ニネンビーグミが内からスッとハナを奪い、軽く気合いをつけられた5バウチェイサーが楽に2番手を取る。

【1周目3コーナー】 11ベラジオボッキーニと12アンサンがやや口を割りながら3番手を進み、その内から7エイシンクエーサーが並んでいく。2馬身差の中団に6ニフティスマイル、10ダイヤモンドダストが追走する。

【1周目スタンド前①】 中団後方から2ベルレフォーンと9ウーニャで、後方3番手に8サヨノハッピー。やや折り合いを欠く1ローグネイションがいて、最後方3シェナパリと続いた。馬群全長は10馬身ほど。

【1周目スタンド前②】 スタンド前では大きな動きはなく、スローペースの流れとなってあと1周。

【2コーナー~向正面】 向正面に入ったところから徐々に各馬がスピードを上げていくが大きな順位変動はなく3コーナーに向かう。

【3~4コーナー】 広瀬騎手の手が激しく動く4ニネンビーグミに対し、笹田騎手は始終楽な手応えで5バウチェイサーが先頭に並んでいく。前2頭が後続を突き放していく中、3番手にいたエイシンクエーサーが後退。代わって中団から6ニフティスマイルが馬群の間を縫うようにポジションを上げていく。

【4コーナー~最後の直線】 直線に向く手前で、楽な手応えのまま5バウチェイサーが4ニネンビーグミを抜いて先頭に立つ。6ニフティスマイルは11ベラジオボッキーニの後ろで一瞬前が詰まってブレーキ。2ベルレフォーンは反応が鈍く、3角で一旦最後方に下がった1ローグネイションが勢いを付けながら大外に進路を取る。

【最後の直線①】 直線入口で先頭に立った5バウチェイサーが後続を突き放す。2番手4ニネンビーグミ、3番手11ベラジオボッキーニが粘る。再び勢いついた6ニフティスマイルが4番手に上がる。

【最後の直線②】残り100mで5バウチェイサーが3馬身とリードを広げ、内で苦しくなった4ニネンビーグミと11ベラジオボッキーニに、外から6ニフティスマイルが勢いよく迫る。大外からは1ローグネイションも猛追を見せる。

【最後の直線③】5バウチェイサーは独走。2番手に6ニフティスマイルが浮上。さらに大外から1ローグネイションも2着争いに加わる。

【ゴールイン】4馬身差で5バウチェイサーが優勝のゴールイン。第23代兵庫ダービー馬の座に就いた。ダービー初制覇の笹田知宏騎手はゴール後大きなガッツポーズを見せた。6ニフティスマイルが2着で、ここにクビ差迫った1ローグネイションが3着。
2015年にインディウムが1番人気で勝利して以降、1番人気馬の連敗が6年続いていたが、バウチェイサーがその連敗を止めた。

「この2走を踏まえて、今回はかなりしっかり仕上げられたので自信を持って送り出せた。1870mの距離も心配なかった」と新子師が話せば、鞍上の笹田騎手は「前走でしっかりと出していったことが今日の出脚のスムーズさに繋がった。先生がしっかりと仕上げてくださって、馬も落ち着いていた。道中の手応えもすごく良く、馬を信じて乗った。4角でも手応えが良すぎるくらいだった」と振り返った。
ゴール後には大きなガッツポーズでダービー初制覇の喜びを爆発させた笹田知宏騎手は、祖父が伊藤雄二元JRA調教師、父が笹田和秀JRA調教師という生まれた時から競馬界に身を置く“日本競馬界のサラブレッド”。いつもは冷静な笹田騎手だが、「この業界に生まれ育って、ダービーの重みはよく分かってるんですが、勝たせてもらうと嬉しくて頭が真っ白です」とこの時ばかりは興奮交じりにインタビューに答え、笑顔をはじけさせた。

バウチェイサーはエスポワールシチーの産駒。同馬の産駒には、ダートグレード2勝のイグナイターをはじめ、ステラモナーク、パールプレミアといった重賞ホースがズラリ。この4頭はいずれも新子厩舎の管理馬だ。
「エスポ産駒を多くやらせていただいていて、その特性を自分なりに掴めてきている」と以前の取材(2022年4月号クローズアップ)で話していたが、調教で負荷をかけると気の乗りやすいタイプが多いだけに、仕上げを加減しないといけない難しさがあったという。
しかし今回は大一番の兵庫ダービー。調教で負荷をかけ、しっかりと仕上げたことで、持てる素質が遺憾なく発揮されたダービーとなった。

<笹田知宏騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)
<新子雅司調教師 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)
新子師は二度目のダービー制覇だったが、笹田騎手にとっては初めてとなるダービーの勲章。「笹田をダービージョッキーにできたというのが一番嬉しい」と愛弟子の大手柄を喜んだ。

距離不安も払拭したダービー馬の今後については、「強いところもやりたい。ジャパンダートダービーや楠賞があるので、そこを目指してしっかりと仕上げていきたい。適正距離は、今後色々と使いながらを確認したい」と話した。
まさに「捲土重来」という言葉がピッタリだったバウチェイサーの兵庫ダービー制覇。
目標は高く、イグナイターに続くダートグレードホースへ。早くも指揮官の目は県外での戦いを見据えている。
写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと
2022 六甲盃 レポート
2022年06月3日
2022年06月02日(木)
◆古馬重賞『第60回六甲盃』(園田2400m) ◆
馬場を2周少し走るマラソンレース、兵庫県競馬唯一の2400m重賞「六甲盃」。今年は、船橋、大井、川崎からの遠征馬5頭を加えた11頭。昨年の1~4着馬が全て顔を揃えての戦いとなった。

1番人気の支持を集めたのは、地元兵庫の絶対王者ジンギ。(単勝1.7倍)
前走兵庫大賞典連覇で重賞タイトルを大台の10勝に乗せ、今年も六甲盃に駒を進めてきた。昨年地元戦で唯一2着に敗れたレースでリベンジを期す。
2番人気は、前走オグリキャップ記念を快勝して重賞2勝目を挙げた船橋のトーセンブル(単勝3.5倍)。
六甲盃連覇を狙っての出走となった。昨年は下原騎手の手綱だったが、今年は杉浦騎手とのコンビ。
3番人気は少し開いて、単勝9.9倍のエメリミット(船橋)。
一昨年の東京ダービー馬がそれ以来となる重賞制覇を狙う。
その東京ダービー2着馬で、大井の2600m重賞「金盃」など重賞2勝の実績を持つマンガン(川崎)は半年ぶりで-24kgの馬体、単勝11.3倍の4番人気。そして、去年の六甲盃3着馬ホーリーブレイズが単勝14.4倍の5番人気で続いた。
快晴で日中30℃近くまで上がった蒸し暑さがまだ少し残る夕方18時前、良馬場に乾いたダート2400mでの戦いが始まった。
若干ゲートの出が甘かったジンギだが、二の脚で先頭へ。一旦は逃げるかに思われたが、内からタイサイが並びかけると1周目の1~2コーナーでこちらがハナを奪い、ジンギは2番手外の位置に。エメリミットが好位の外回り、連覇を狙うトーセンブルは好位の一団を見ながら7番手に構えた。マンガンは最後方。
大きな動きがないまま迎えた2周目の向正面。逃げるタイサイが少しペースを上げて後続を突き放しにかかると、ジンギも遅れまいと鞭を入れてピッタリついていく。3コーナーで一旦2馬身近く離されるもここからがジンギの真骨頂。
最後の直線、馬体を離した外から一歩一歩タイサイに詰め寄ると、直線半ばで差し切り、最後は3/4馬身差でゴール。絶対王者の底力を見せつけた。
昨年2着のリベンジを果たし、2400mのタイトルも手中にしたジンギはこれで重賞11勝目。
2着は大井のタイサイが粘り、3着には最後方から追い込んだ川崎のマンガンが入った。
連覇を狙ったトーセンブルは5着、エメリミットは8着と奮わなかった。
上位3頭は1番人気→6番人気→4番人気の決着で、三連単は17,140円。

ジンギは、六甲盃初制覇で、重賞11勝目。
7つある兵庫の古馬中長距離重賞のうち、新春賞を除く6つを制したことになる。
生涯獲得賞金を1億9453万2000円とし、2億円超えが目前。
<獲得タイトル>
2019 園田ユースカップ
菊水賞
2020 摂津盃
園田金盃
2021 白鷺賞
兵庫大賞典
姫山菊花賞
園田金盃
2022 白鷺賞
兵庫大賞典
六甲盃

田中学騎手は、重賞74勝目(今年8勝目)。
六甲盃は2015年のハルイチバンに続く勝利で2勝目。
先月のかきつばた記念(Jpn3)、兵庫大賞典、のじぎく賞に続いて重賞騎乗機会4連勝ともなった。

橋本忠明厩舎は、重賞40勝目(今年5勝目)。
六甲盃は初制覇。
レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)
◆出走馬

1 アワジノサクラ(北野) 大柿一真騎手 10番人気

2 (川)マンガン (田島寿一) 大山真吾騎手 4番人気

3 (大)ホーリーブレイズ (福永敏) 下原理騎手 5番人気

4 エイシンダンシャク (坂本) 大山龍太郎騎手 8番人気

5 (大)タイサイ (福永敏) 石崎駿騎手 6番人気

6 ジンギ (橋本) 田中学騎手 1番人気

7 タガノラガッツォ (碇) 広瀬航騎手 11番人気

8 エイシンニシパ (橋本) 吉村智洋騎手 7番人気

9 (船)トーセンブル (山中尊徳) 杉浦健太騎手 2番人気

10 メイプルブラザー (大山) 永井孝典騎手 9番人気

11 (船)エメリミット(林正人) 山口達弥騎手 3番人気
◆レース
薄暮開催の第11R(17:55発走)に組まれた今年の六甲盃。快晴で日中の気温は30℃近くまで上がり、その蒸し暑さがやや残る中スタートが切られた。

【スタート】 ほぼ一線のスタート。6ジンギはいつもより少し遅れ気味。8エイシンニシパが好スタートを決め、7タガノラガッツォが少し出遅れた。

【1周目スタンド前①】6ジンギは二の脚速く先頭に立つ勢い。その内から5タイサイが並びかけてくる。

【1周目スタンド前②】最内の4エイシンダンシャクと好スタートを決めた8エイシンニシパは好位に抑え、外から11エメリミットも3番手グループに加わった。

【1周目2コーナー】5タイサイが1~2コーナーを回りながら先頭に立ちペースを握る。6ジンギは2番手に控え、今年初めて前に馬を見ながらのレースに。

【1周目3コーナー】 11エメリミットが3番手外。4番手は内に4エイシンダンシャク、中に3ホーリーブレイズ、外に8エイシンニシパの3頭一団で好位グループを形成。

【2周目スタンド前①】 昨年の覇者9トーセンブルは中団7番手。10メイプルブラザーが内ラチ沿いの8番手。3馬身程離れて1アワジノサクラ、7タガノラガッツォ。最後方に2マンガンという隊列。馬群全長は12馬身ほど。

【2周目スタンド前②】 ここまで大きな動きはなく、長距離戦らしい落ち着いた流れであと1周。

【2コーナー~向正面】 向正面に入ったところで逃げる5タイサイの石崎騎手が軽く促してスピードアップ。2番手追走6ジンギの田中騎手も鞭を入れて離されないようしっかり1馬身差でついていく。一気にペースが上がったところで、8エイシンニシパが早くも脱落し、代わって10メイプルブラザーがポジションを押し上げる。

【3~4コーナー】 逃げる5タイサイに1馬身半差で追う6ジンギ。3番手の3ホーリーブレイズ以下は4馬身離されてしまった。連覇を狙う9トーセンブルは前との差を詰められず6番手。最後方から2マンガンが大外一気にまくって中団、さらに好位へとジャンプアップ。

【4コーナー~最後の直線】 内に5タイサイ、馬体を併せないように田中騎手は外に6ジンギを誘導。離れた3番手は5頭一団で直線へ。

【最後の直線①】 馬体を離して5タイサイと6ジンギの追い比べ。3番手は内に3ホーリーブレイズ、真ん中に10メイプルブラザー、外に2マンガンと3頭が広がる。

【最後の直線②】残り100mで6ジンギがわずかに前に出る。4馬身離れた3着争いは、外の2マンガンが一気に伸びる。

【最後の直線③】6ジンギにとっては、前走の兵庫大賞典に続く直線のマッチレース。

【最後の直線④】沈みゆく夕日に向かっての追い比べは6ジンギに軍配。ファンからの拍手が沸き起こる中、今年は兵庫の絶対王者が強力な南関東勢を退ける。

【ゴールイン】3/4馬身差で6ジンギが優勝のゴールイン。兵庫大賞典に続く連勝で重賞11勝目を挙げた。最後まで逃げ粘った5タイサイが2着で、さらに3 1/2馬身差で3着は2マンガン。
ゲートの中で前に突っ掛けてしまい、その反動で重心が後ろに下がった時にゲートが開いたため、少し出負けしてしまったというが、その後の挽回が素早く道中は2番手。「理想の展開」(橋本師)に持ち込めた。勝負所で少し反応が鈍い所があったとのことだが、田中騎手のアクションに応えて最後までしっかり伸びて王者の貫禄を見せてくれた。
ジンギは昨年2着の雪辱を果たすと共に、2400mのタイトルも手中に収めた。兵庫県競馬における7つの古馬中長距離重賞のうち、これで出走経験のない新春賞以外の6つを制覇したことになる。1着賞金800万円を上乗せして、生涯獲得賞金は1億9453万2000円。大台の2億円が目前に迫ってきた。
兵庫県競馬では、1995~2001年に64戦25勝(重賞12勝)の活躍を見せたアラブの怪物ケイエスヨシゼンが記録した獲得賞金2億0088万8000円が記録として残るが、そこにも635万6000円差となった。あと重賞1つ勝てば塗り替えられる算段だ。
また、兵庫県競馬の最多重賞勝利記録はエイシンニシパの15勝であるが、兵庫デビュー馬に限ればロードバクシンの持つ12勝(兵庫在籍時の成績;同馬は晩年他地区に移籍をし生涯は重賞13勝)が過去最多(アラブ時代のハッタダイドウ、ケイエスヨシゼンも12勝で並ぶ)。そこにもあと1勝と迫った。
<橋本忠明調教師 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

ジンギは、しばらく厩舎でレース後の様子を見られた後、昨年同様夏休みに入る。まだ秋のローテーションは決まっていないが、当然「史上初の園田金盃3連覇」が視野に入る。この秋も、獲得賞金2億円超えなど勝つたびに様々な記録を作り、歴史を塗り替えていくことになる。
昨年5歳時は、姫山菊花賞→園田金盃の2戦を連勝した秋のジンギ。充実の6歳を迎え、再び南関東やJRAの強い馬たちに挑む姿を心待ちにしているファンも多いはずだ。
得意ではない夏の暑さを今年も無事に越え、秋に復帰する兵庫の絶対王者の雄姿が今からもう待ち遠しい。
写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと