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伏兵バズーカ砲炸裂!~園田金盃~

年代表馬の行方を占う重要な一戦、『第59回園田金盃』は、その有力候補となる各馬が三強を形成する中、勝ったのは5番人気の伏兵バズーカだった。同馬は3歳時、他地区ばかりで挙げた重賞勝利以来の5勝目のタイトル。鞍上の木村騎手は同レース8年ぶり3度目の制覇で、地方通算重賞69勝目(他にJRAで1勝)。管理する田中範雄調教師は、同レース5年ぶり3度目の優勝。通算46勝目のタイトルゲットとなった。

 

レース結果はコチラ>>>

 

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◆出走馬

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①メジャープレゼンス 大柿一真 6番人気

 

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②レッドダニエル 川原正一 4番人気

 

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③メイショウヨウコウ 吉村智洋 10番人気

 

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④バズーカ 木村健 5番人気

 

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⑤アクロマティック 下原理 3番人気

 

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⑥アドマイヤロイヤル 大山真吾 7番人気

 

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⑦エーシンクリアー 田中学 1番人気

 

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⑧サウスウインド 赤岡修次(高知) 2番人気

 

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⑨マークスマン 竹村達也 8番人気

 

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⑩エンドオブジアース 廣瀬航 11番人気

 

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⑪バレーナボス 板野央 9番人気

 

今年は稀に見る混戦となった年代表馬争い。この時点での重賞勝ちは、今年3勝しているのがアクロマティックとサウスウインド。2勝を挙げているのがエーシンクリアー。この3頭のうち、どの馬が勝っても代表馬を大きく手繰り寄せることになる。

 

単勝オッズはエーシンクリアー2.7倍、サウスウインド3.1倍、アクロマティック3.4倍となり、ファンも三強ムードに仕立て上げた。

 

当然、この中から勝ち馬が出て、年代表馬争いに決着がつくかと思われたが、競馬はやっぱり分からない…。

 

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スタートを決めたのは、4番人気のレッドダニエルだった。前走でオープンに昇級した初戦で見事逃げ切ったレースの再現を図った。

 

そこへエーシンクリアー、サウスウインドが並びかけて、一瞬の競り合いが展開される。少し離れてバズーカが4番手のポジション。アクロマティックは8番手となった。

 

一旦ペースが落ちる正面スタンド前、各馬は末脚勝負に懸けるためここはジッと我慢のしどころ。それぞれ折り合いに専念する。

 

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ピッチが上がっていったのは向正面中間付近、レッドダニエルがここで後退して行く。エーシンクリアー、サウスウインドが抜け出していくが、手応えでまさったのはサウスウインドだった。

 

サウスウインドがの赤岡騎手は後ろの動きを警戒しながら追い出すタイミングを計る。ところが後ろから迫って来るはずのアクロマティックが来ない。迫って来たのは木村騎手のバズーカだった。

 

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先頭に立って迎えたサウスウインドを、外から強襲するバズーカ。

 

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最後は一撃必殺の攻撃力で、バズーカがサウスウインドを仕留めた。

 

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エーシンクリアーが3着、追い込んだバレーナボスが4着。アクロマティックは5着止まりだった。

 

レース後「めっちゃ嬉しい」を連発した木村騎手。実は先週の段階では、出るかどうかも微妙な態勢だった。

 

「普段はうるさい馬なのに、きょうは大人しくて…。これがどう出るかなと思ってたけど、いやぁハマりました(笑)」

 

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腰が限界で、次に動けなくなったときが最後だと常々語る木村騎手。

 

「これで気持ち良く(騎手を)辞められます」と冗談めかしてインタビューで言ったが、半ば本気の発言なのだ。

 

「腰がめげるまで」全力騎乗を続けると言う木村騎手。そんな無理をせず腰を大事にしてほしいと思うが、この人の辞書には「手加減」という文字がないのだからしかたがない。とにかく我々はめげないでと祈るしかない。

 

バズーカはJRA(2戦0勝)からの移籍当初、やんちゃでどうしようもなかったそうだ。それをスタッフ一丸となり、重賞馬に育て上げ、さらに古馬の頂上決戦までも制したのだから、陣営にとってもこの勝利はこの上なく嬉しいものとなった。

 

勢いを取り戻した同馬の今後の重賞戦線での活躍が楽しみだ。

 

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さてさて、年代表馬の行方はどうなるのか…。12月7日、船橋の『クイーン賞(JpnⅢ)』に出走するトーコーヴィーナスが好走すれば決まりだろうが、凡走すればまたまた混沌と…。選考委員のひとりとして悩ましいところだが、楽しみなところでもある。

 

写真:斎藤寿一

文:竹之上次男

地方馬奮起!ローズジュレップ快勝!!~兵庫JG~

今年の『兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ)』はJRAの出走枠が5頭に拡大されたが、勝ったのはホッカイドウ競馬所属のローズジュレップだった。同馬は7戦4勝となり、重賞初制覇。管理する田中淳司調教師は園田で3勝目の重賞制覇。騎乗したのは兵庫の川原正一騎手。ダートグレード制覇は7勝目で、重賞は通算で105勝目となった。

 

レース結果はコチラ>>>

 

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◆出走馬
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①リンクスゼロ 松若風馬騎手 5番人気

 

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②ブレイヴコール 吉村智洋騎手 9番人気

 

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③ローズジュレップ 川原正一騎手 6番人気

 

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④ナチュラリー 下原理騎手 10番人気

 

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⑤ゲキリン ルメール騎手 2番人気

 

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⑥キャプテンロビン 田中学騎手 8番人気

 

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⑦アズールムーン 戸崎圭太騎手 1番人気

 

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⑧キョショウ 高畑皓一騎手 12番人気

 

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⑨ハングリーベン 北村宏司騎手 4番人気

 

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⑩キングレイジング 藤原幹生騎手 11番人気

 

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⑪バリスコア 服部茂和騎手 7番人気

 

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⑫ネコワールド 武豊騎手 3番人気

 

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テンに速い馬が揃ったメンバー。果たして芝で速力を磨いた馬なのか、ダートでの先行力が活きるのか、はたまた地方馬か。注目された先行争いに決着をつけたのは、武豊騎手が騎乗するダート2戦2勝のネコワールドだった。

 

ダッシュ良く飛び出したホッカイドウ競馬のローズジュレップがそのままハナを奪うかと思われたが、一番外からネコワールドが行った。連れて芝でスピードを鍛えた初ダートのアズールムーンも続く。

 

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先手を奪われた逃げ馬は、戦意喪失するケースを多く見るが、ローズジュレップの川原騎手は慌てずに外に切り替え、2番手に取り付いた。

 

アズールムーは3番手の内側に控え、その外にハングリーベンが並ぶ。直後に、スタートで後手に回ったゲキリン。地元のナチュラリー、ホッカイドウのバリスコアが続いた。

 

ペースを緩めず逃げるネコワールドのこれまで通りの戦法でレースは進む。その外に付けたローズジュレップがいい手応えで追走して行く。

 

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3番手にいたアズールムーンは初めての芝で初めて砂を被る展開に苦しみ、3コーナーで手応えが怪しくなる。そこへ外から、ダート実績のあるハングリーベンとゲキリン追い上げて来た。

 

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4コーナーまでいい手応えのローズジュレップ。「これなら勝てるかな」と思った川原騎手がゴーサインを出す。そしてついに抜け出した!

 

ネコワールドはペースを保てなくなり失速、川原騎手にとっては、あとは後続の追撃を振り切るだけ。迫って来るのはハングリーベンとゲキリン、さらにバリスコアも加わって来た。

 

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それでも脚色が鈍らないローズジュレップが最後は2馬身差をつけて先頭でゴール。強豪出揃ったJRA五騎を降し、見事にダートグレード制覇となった。

 

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2着にハングリーベン、ハナ差の3着にバリスコア。田中淳司調教師は惜しくも管理馬ワン・ツーフィニッシュを逃がしたが素晴らしいレースぶりで、改めてホッカイドウ勢の地力の高さを認識させられた。

 

4着になったゲキリンはスタートで後手に回ってしまったことが響いたが、レースぶりは悪くなかった。一方で1番人気で5着に敗れたアズールムーンは、血統的にはダート向きなのだろうが走りはトビが大きく、小回りでしかも深いダートでは窮屈そうに見えた。もっとノビノビ走れるダート戦での巻き返しを期待したい。

 

逃げたネコワールドは軽快にワンペースで逃げるタイプ。こちらも深いダートは合わなかったのかも知れない。もっとスピードを活かせる軽いダートなら見直せるだろう。

 

地元のナチュラリーは7着だったが、勝ち馬とは0.8差なら立派な走りだ。未勝利で重賞勝ちして地力強化が目覚ましい。今後の重賞路線でも楽しみが膨らむ。

 

同じく地元のブレイヴコールは11着と大敗…。素質はこんなものではなく、立て直しての再出発に期待したい。

 

それにしても川原騎手の手綱さばきの巧さには惚れ惚れする。レース後に、検量室で振り返る各騎手からも感嘆の声が上がったという。

 

「次(全日本2歳優駿)も乗せてもらえることになったので、頑張ります」と、陣営もすぐさまコンビ続行を約束した。

 

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6番人気の低評価を覆してダートグレード制覇をしていながら、派手なガッツポーズや浮足立ったコメントを発しないあたり、さすがの大ベテラン。

 

「ホントは飛び上がるぐらい嬉しんですけど、馬がバランス崩したり故障したりしたらいけないので、それはしないです」と必死に走りきった馬を気遣う。

 

デビューから40年。57歳になっても年間200勝ペースを崩さない小さな巨人。川原騎手には人生のなんたるかさえも、教わっている気がする。

 

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写真:斎藤寿一

文:竹之上次男

兵庫ジュニアグランプリ、23日(水):情報ページ公開中!

『兵庫ジュニアグランプリ』の情報ページ公開中!編集長の見解等、データ情報満載!
(21日17:00)

出走馬枠順、過去10年間のレース結果、編集長による攻略法など盛りだくさんの内容です。是非ご覧ください。
>ページはコチラから
レースはいよいよ23日(水)開催!!

大本命馬降してタガノトリオンフ戴冠!~兵庫QC~

11月10日、牝馬限定『兵庫クイーンカップ』は2番人気のタガノトリオンフが優勝して、自身初の重賞制覇を成し遂げた。騎乗した下原騎手は今年はなんと7勝目の重賞勝ちで通算45勝目。管理する新子調教師も今年の7勝目で、通算14勝目のタイトル獲得となった。

 

レース結果はコチラ>>>

 

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◆出走馬

 

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①ヘイハチハピネス(笠松) 藤原幹生騎手 10番人気

 

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②モズキンボシ(兵庫) 宮下康一騎手 7番人気

 

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③ルヴェルテュール(名古屋) 木之前葵騎手 6番人気
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④オーケストラピット(兵庫) 田中学騎手 3番人気

 

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⑤ウォーターティアナ(兵庫) 吉村智洋騎手 9番人気
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⑥トーコーヴィーナス(兵庫) 大山真吾騎手 1番人気
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⑦アルカナ(兵庫) 川原正一騎手 4番人気

 

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⑧シークレットオース(笠松) 杉浦健太騎手 8番人気

 

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⑨タガノトリオンフ(兵庫) 下原理騎手 2番人気

 

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⑩ヒメカイドウ(兵庫) 永島太郎騎手 5番人気

 

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⑪サンジョ(笠松) 竹村達也騎手 12番人気

 

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⑫タッチデュール(笠松) 鴨宮祥行騎手 11番人気

 

実績面、状態面からもトーコーヴィーナスで仕方がないと思われていた『兵庫クイーンカップ』は、まさかの結果となった。

好スタートを切ったトーコーヴィーナスが注文通りハナに立つ。そこへ並びかけたのは12番人気のサンジョ(笠松)だった。

 

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これを見てタガノトリオンフの下原騎手は「(力を認める相手でも)さすがに楽逃げにはさせたくなかったので、2番手でマークしに行きました」とピッタリ寄り添います。

 

ペースも決して速いわけではなく、逃げ馬にとってそれほど苦しい展開とは思えませんでした。それでも勝負どころの3コーナー付近の手応えは、完全にタガノトリオンフがまさっていました。

 

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「それでも(トーコーは)手応えないところからまた来るので気を抜かずに行きました」と自身の手応えには自信を持ちながらも、相手への警戒も怠りません。

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迎えた直線ではタガノトリオンフが堂々と抜け出して行きます。

 

食い下がるトーコーヴィーナスでしたが、完全に突き放されてしまう。

 

最後は2馬身半差をつけてタガノトリオンフが快勝!下原騎手は渾身のガッツポーズでゴールの瞬間を迎えました。

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「もう大丈夫だろうと思って出てしまいました(笑)。今回は気楽な立場で乗れたのも良かったんだと思います。それと新子先生が強気なコメントをしていたので信じて乗りました」

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終わってみればリーディングコンビだったか――。というのは、もう当たり前になりすぎて、レース前に口に出してしまうほどになっている。それほどまでにこのコンビで勝ちまくっているのだ。

 

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さて、誰もが勝利を疑わなかったトーコーヴィーナスだったが、まさかの敗戦を喫してしまった。ところが、陣営は想定内だったようだ。

 

管理する吉行調教師は「この馬は園田でレースをするときは気を抜いてしまうところがある。相手のペースに合わせてしまうところがあって、力を発揮しない。だから他地区で強いメンバーとやったら気を抜かずにいいレースができる」とのこと。

 

実際に前走の『レディプレリュード(JpnⅡ)』では、ジーワン馬のホワイトフーガと同着の2着だった。

 

吉行師の言葉通りなら、次走の『クイーン賞(JpnⅢ)』(船橋・1800m)で実力発揮なるのであろう。うん、その言葉を信じよう!

 

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写真:斎藤寿一
文:竹之上次男

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