その金ナイター開幕!!
2016年05月31日
そのだ金曜ナイター、6月3日開幕!!
2016年05月20日
快晴、良馬場の園田競馬場。5月19日に行われた『のじぎく賞』(3歳牝馬・全国交流)は、高知から参戦したディアマルコが優勝。2戦続けて2着に敗れていたクラトイトイトイを鮮やかに差し切って、悲願の初タイトルを手にした。鞍上の佐原秀泰騎手は兵庫では初重賞。管理する那俄性哲也調教師も初めてだが、福山競馬で騎手として活躍中に『楠賞アラブ優駿』を86年はローゼンホーマで、89年はアサリユウセンプーで制している。
のじぎく賞出走馬
地方競馬世代別牝馬重賞シリーズ『GRANDAME-JAPAN(以下G-J)』3歳シーズンの終盤を迎えた第7戦(全8戦)となる『のじぎく賞』。過去6年の内、4年でチャンピオンを送り出している兵庫県勢だったが、今年は上位を他地区の馬に固められ厳しい状況。第2戦の『若草賞』(名古屋)と第4戦の『東海クイーンカップ』(名古屋)を制している船橋競馬のクラトイトイトイがトップを独走。優勝を確実なものにすべく西下した。ファンもこれまでの強さを認め、1番人気に支持した。
『若草賞』と『東海QC』でいずれも2着だった高知競馬のディアマルコも参戦。連敗中だが着差は詰めており、3戦目での初タイトルと『G-J』のポイント争いの逆転を懸ける出陣となった。ただ、勝負付が終わったとの見方もあり、3番人気どまりとなった。
2番人気には地元の期待を集めたナツが食い込んだ。昨年の『園田プリンセスカップ』2着のあと南関東に移籍。勝てなかったが2度の2着があり、強豪相手に五分に渡り合った。クラトイトイトイとも対戦があり、いずれも敗れていたが差のない競馬をしていた。地の利も手伝い、逆転候補筆頭と見る向きが強まった。
笠松からはキタノアドラーブル(4番人気)が出走。東海地区の重賞戦線で堅実な成績、加えて名古屋のアイドルジョッキー木之前葵騎手が騎乗するとあって注目を集めた。
残る地元勢は、重賞ではお馴染みとなったリーディングトレーナー&ジョッキーコンビで臨むエンジェルズソングが出走。実績は劣るものの、さすがのネームヴァリューで5番人気の支持を得た。地元のメンバーで唯一の重賞ホース、モズキンボシが6番人気で続いた。
注目されたスタート、先行馬のクラトイトイトイがわずかに遅れてしまった。そのため、気合いを付けて先団を目指し、馬が行きたがってしまった。一旦、2番手とは4~5馬身もの差がついてしまう。
向正面で一気にペースダウン。2番手以下がどっと押し寄せた。緩急の激しいクラトイトイトイのペースに後続が惑わされそうだ。
しかし、ディアマルコの佐原騎手は「前回もあんな感じだったので、ああいうペースはあの馬の特性かなと思いつつ、自分のペースを守っていこうと思いました」と、抜け出すことなく2番手でジッと我慢した。実は、前走の3コーナー付近でペースダウンしたときに、一気に先頭に立ったディアマルコは差し返されてしまって2着に敗れた。この教訓を活かされた今回のレースだった。
4コーナーで良い手応えで迫るディアマルコ。ここでも「前回負けてるんで、まだ安心できないなと思って…」ともう一度我慢して、気を引き締めて直線を迎えた。
後ろからの追撃は見られず、2頭のマッチレースの様相となった直線。今回は温存した末脚の差が勝負を決した。
最後はディアマルコが1馬身半差で宿敵を破って栄冠を勝ち取った。
2着のクラトイトイトイはスタートの出遅れのあと、馬が行きたがった分、最後の直線の粘りに影響した。力上位は明白だが、気性面でまだまだ成長が求められる現状。
3着には地元馬のチョウクルクル。勝ち馬の内側で脚を溜めて好位を追走。ロスなく立ち回って好配当を演出した。
4着に木之前葵騎手のキタノアドラーブル。2番人気のナツは5着に敗れた。速い流れが向くタイプで、極端にペースが落ちる流れは向かなかったか。短距離戦での切れ味復活を期待したい。
ゴール前で鋭く右手を突き上げた佐原騎手は「ぼく自身も平場ですら勝ったことなくて、重賞なんて初めてで、馬のタイトルも初めてで、すべての喜びが出た感じです(笑)」と笑顔を弾けさせた。
高知競馬は昨年、2歳新馬戦を17年ぶりに再開させた。売上向上により賞金が充実したことで実現した。どの競馬場でも当たり前のようにある2歳馬のデビューが、高知では長らく開催することができなかったのだ。その初年度に花を咲かせたディアマルコ。2013年に歴史を閉ざされてしまった福山競馬出身の那俄性調教師と佐原秀泰騎手が送り出すとなれば、これからの応援にも力が入る。
写真:斎藤寿一
文:竹之上次男
2016年05月7日
5月5日、ゴールデンウィーク開催の掉尾を飾る古馬王者決定戦『第52回兵庫大賞典』は、3番人気のエーシンクリアーが9馬身差の大差をつけて逃げ切り。一昨年3着、昨年2着の鬱憤を晴らすのに十分な圧勝劇となった。同馬は重賞7勝目。鞍上の田中学騎手は同レース3勝目だが、サラブレッドでは初勝利。通算39勝目の重賞勝ち。橋本忠明調教師は同レースは初制覇、重賞3勝目となった。
スローペースで逃げ切り圧勝というのは、前日に行われた『兵庫チャンピオンシップ』(ケイティブレイブが7馬身差で1着)同様だ。
メンバーは、現在兵庫在籍の上位メンバーが揃い、まさに春の王者決定戦に相応しい顔ぶれとなった。
1番人気は出走馬中、唯一今年の重賞勝ち馬である⑩アクロマティック。『新春賞』と名古屋の『梅見月杯』を制し、ダートグレードの『名古屋大賞典』では離されながらも5着を確保して、実績で1歩リードしている。
2番人気には④バズーカ。昨年の『兵庫ゴールドトロフィー』に出走が叶わす、短距離路線から中距離路線に目を向けてきた。前走でアクロマティック、エーシンクリアーを除いた当面の相手を一蹴して、勢いで一気の制圧を狙う。
遠征帰りの⑥エーシンクリアーが3番人気。佐賀の『はがくれ大賞典』で3連覇の偉業を懸けたが、3着に敗れていた。やや衰えを感じさせながらも、過去の実績では群を抜いている。
『六甲盃』で惜しくも2着に敗れた⑪バレーナボスが4番人気。船橋の『マリーンカップ(JpnⅢ)』で3着に食い込んだダブル⑫ファンタジーが5番人気。重賞で4着が3回ある①メイショウヨウコウが6番人気で続いた。
メイショウヨウコウが少し立ち後れたスタート。他はマズマズのスタート。出遅れ常連バレーナボスも悪くない。人気の3頭も良いスタートを切って前のグループを形成していく。その中からエーシンクリアーがダッシュをきかせてハナに立って行った。実に37戦目で、2度目の逃げの手だ。クロマティックは3番手の外側に付け、バズーカ(高知・赤岡騎手)は7番手まで控えた。
正面に入って来てペースはかなり落ち着いた。田中騎手が完全に主導権を握った。
こうなると後続は早めに動かなければ、前に残られてしまう。遅くとも2コーナーから仕掛けて行かなくてはならない。アクロマティック、バズーカも追い上げ体勢に入る。ところが、ここでエーシンクリアーも密かにペースアップ。
向正面では必死に追う下原騎手のアクロマティックと赤岡騎手のバズーカの反応が鈍いように見えた。だが、実のところはそうではなく、エーシンクリアーも同じようにスピードアップして後続との差を詰めさせなかったのだ。
3コーナーでは3馬身、4コーナーでは4馬身の差。完全に独走状態で直線を迎える。普通なら後ろを振り返り手綱を緩めるところだが、最後まで必死に追う田中騎手。その差はさらに広がって、最後は9馬身の大差となった。
熾烈な2着争いは、一旦2番手に上がったバズーカを、内から差し返してアックロマティックが意地で2着を確保した。
出遅れながらも4着にメイショウヨウコウ、5着にバレーナボスが入線した。
エーシンクリアーのこの日の強さは格別だった。3コーナーで反応が悪くなるズブさが、生涯2度目の逃げの手がかき消したのか、全く見られなかった。それどころか、後続を寄せ付けなかったこの時点で勝利を確信できるものだった。
同馬はこれで2歳から5年連続で重賞勝ちという記録を打ち立てた。得意のはずだった佐賀で3着になったことで、衰えも感じられていたが見事な復活劇だ。
そして、昨年から今年にかけて腰痛で半年間戦列を離れていた田中騎手にとって、約一年ぶりの重賞でのお立ち台。笑顔が弾けた。
写真:斎藤寿一
文:竹之上次男
2016年05月5日
ゴールデンウィーク真っ只中、好天に恵まれて行われた『第17回兵庫チャンピオンシップ(JpnⅡ)』(以下兵庫CS)は、2番人気のJRAケイティブレイブが兵庫の川原正一騎手の騎乗で楽々逃げ切って勝利。同馬は10戦3勝で、重賞初制覇。川原騎手にとっては第1回(笠松ミツアキサイレンス)以来となる2度目の同レース制覇となった。管理する目野厩舎は、兵庫でのダートグレードは2005年の『兵庫ゴールドトロフィー(JpnⅢ)』をニホンピロサートで優勝して以来の2勝目。
昨年に続き、JRAの5頭はダート2勝以上を挙げているバリバリのオープン馬。中でもデビューからダートで3連勝中、ヒヤシンスSの勝ち馬ゴールドドリームが注目を集めた。ヒヤシンスSを使って臨戦した馬は常に好成績を残してるが、今年の同レースは異様なまでのレベルの高さ。2着馬はのちに伏竜ステークスを勝つストロングバローズ。5着に敗れていたのが、ドバイでUAEダービーを勝ったラニ。結果的にはこのとき4着だったケイティブレイブが、さらにその名を高めることになる。
ほぼ揃った飛び出しだったスタートだが、わずかにゴールドドリームが遅れる。それでも大きな遅れではなく、行き脚がついて3番手の外側まで押し上げた。逆に好スタートを切ったのがケイティブレイブ。ハナを奪うとマイペースに持ち込んで行く。
2番手には地元のエイシンニシパが取り付いた。これは意外な展開。つまり、地元馬が2番手に付けられるほどのスローペースになった。レース後にタケマルビクター(7着)に騎乗した田中学騎手が「地方の馬がかかるぐらいのペースなんて考えられない」とこの時点で上がり勝負ではとても敵わないと観念してしまった。
3番手に外側にゴールドドリーム、その内側にデムーロが騎乗したレガーロ(3番人気)が並ぶ。4番人気のイーストオブザサンがその後ろに続き、さらに後ろで5番人気のグランセブルスが追いかける展開。
もう完全に川原騎手が主導権を握った。2番手のエイシンニシパが強豪相手に自ら競りかけて行けない。3番手のゴールドドリームも動かないとなると、いよいよもって川原ペース。前走で負かしているとはいえ、さすがにこのペースで逃げられれば、どう考えても前が有利。
2週目の向正面で追い上げて行くゴールドドリームだったが、3コーナーで1馬身差までに詰めるのがやっとだった。余裕で待ち構えていたケイティは、追い出すとあっさり差が広がって行く。4コーナーで2馬身、直線に入って4馬身、5馬身とその差がみるみる広がって行く。
とうとう最後は7馬身の差がついた。ケイティブレイブが大本命馬を向こうに回し、堂々逃げ切ってヒヤシンスSの借りを返した。一度負かした相手にぶっちぎられたゴールドドリームは2着は確保。スタートとペースと小回りに苦しんだ結果で、広い馬場で巻き返しは当然あろう。それでも、今回は完敗を認めざるを得ない。
3着争いが接戦で、レガーロが粘っていたが最後はグランセブルスの追い込みが届いた。レガーロはやや距離が長かったかも知れない。最後までよく粘った地元のエイシンニシパは、5着争いでわずかにイーストオブザサンに敗れ、結局6着。それでも次の兵庫ダービーに向けて、大きな収穫得たことだろう。
さぁ、これから始まるのが3歳ダート戦線。6月19日の『ユニコーンステークス(GⅢ)』(東京競馬場)→7月13日の『ジャパンダートダービー(JpnⅠ)』(大井競馬場)とダートの猛者覇を競う。まずは一歩リードと言えるケイティブレイブだが、当然ゴールドドリームの反撃はある。ラニは海外遠征でこの争いは不参加かも知れないが、ストロングバローズも主役候補の一頭だ。
毎年、3歳ダートグレードの初戦である『兵庫CS』は、その年の勢力図の書き始め。ワクワクさせられる一方で、地元馬が久しく加わっていないのを寂しく思う。去年は全馬が1870mを初距離で迎えた地元勢。今年は出走した4頭のうち、3頭が経験していて、その内2頭が勝ち鞍もあった。重賞へ向けての路線整備が甘かったものが、徐々に解消されつつある。このことが、いつかは3歳ダート戦線の勢力図に兵庫の馬が加わることに繋がってくれないかと期待する。
写真:斎藤寿一
文:竹之上次男