タガノジンガロ、秋初戦を快勝!ハルイチバンも健闘!
2014年10月11日
さすがダートグレードレースの勝ち馬。重賞の『姫山菊花賞』(園田競馬場・1700m)を問題なく圧勝してみせたタガノジンガロ(牡7・新子厩舎)。
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第54回『姫山菊花賞』は他地区との交流重賞。しかし、今年は出走を予定していた遠征馬が全て回避。残念ながら地元馬のみで行われました。
注目されたのはタガノジンガロとハルイチバン(牡4・平松厩舎)の初対決。
ハルイチバンは今年の春に『六甲盃』を勝って重賞初制覇。
5月の『兵庫大賞典』は亡くなったオオエライジンの後塵を拝したが、それ以外はいずれも逃げ切り勝ち。秋初戦を快勝のあと、上積み十分でここへ臨みました。
一方のタガノジンガロは真夏の『サマーチャンピオン(JpnⅢ)』(佐賀競馬場・1400m)を3着のあと、オーナー牧場で一旦クールダウン。秋初戦がこのレース。
それでも状態は良好で「2走前の園田で勝ったとき以上のデキ。この状態で『サマーチャンピオン』に出ていれば、もっと違った結果になったと思う」と新子調教師が語るほど、こちらも順調。
オッズはタガノジンガロが最終的には1.1倍で1番人気。ハルイチバンが4.7倍で2番人気。
「スピードがあるから自然にハナに立つと思う」と平松調教師が言うように、ハルイチバンが先頭で、それを追うタガノジンガロというのが大方の展開予想でした。
しかし、蓋を開けてみると、ジンガロに騎乗した木村騎手はスタートから気合いを付けて飛び出し、遂にはハナに立ってしまいました。
「自分のペースで走らせたかったので」と木村騎手。相手のペースに合わせて遅い流れで折り合いを欠くより、気持ち良く走らせたいという思いがハナに立たせたのです。
久しぶりにハナを譲る形になったハルイチバン。それでも折り合いを欠く様子もなく、無理なく2番手を追走。
3、4番人気のウェーブオーキッド、シルクシンフォニーは後方で脚をためて、お終い勝負にかけるいつもの戦法。
マイペースで逃げるジンガロは2馬身ほどの差を保ったまま3コーナーを迎えます。
鞍上の田中騎手が懸命に押して並びかけるハルイチバンは、なかなか差を詰められない。そこへ後方から脚を伸ばすシルクシンフォニーとウェーブオーキッドが迫る。
直線で木村騎手が追い出すと、2番手以下の差がさらに広がる。粘らんとする田中騎手に、シルクがジワジワ詰め寄ってくる残り200m。
最後は5馬身の差となり、左手を高々と上げて余裕で勝利をアピールする木村騎手とタガノジンガロ。
2着は、結局ハルイチバンがこらえ切り、シルクシンフォニーが1馬身半の差で3着。さらに4馬身差でウェーブオーキッドが4着となりました。
『姫山菊花賞』はJBCの指定競走。望めば『JBCスプリント』、『JBCクラシック』のどちらかに出走可能(優先出走権はないが、選定にあたってその成績が重要視される)。
しかし、オーナーサイドに話を訊くと「左回りが厳しい」との見方をしている模様。「5月の『さきたま杯』(浦和競馬場)で7着だったとき、かなり内にササってレースにならなかった。右回りなら喜んで行くんですけど…」とのことでした。
その経緯から、次走は京都競馬場の『みやこステークス(GⅢ)』(11月9日・1800m)となるようです。
新子調教師は「年末の『兵庫ゴールドトロフィー(JpnⅢ)』(園田競馬場・1400m)を見据えて考えれば、強い相手と戦っていたいと思い、右回りでちょうどレース間隔もいいここに決めました。距離も中央時代に勝っていますし、問題ないでしょう。ここで良いレースができれば次がさらに楽しみになりますからね」とかなり期待を持っての出走です。
今後のプランから考えて、やはり地元戦では躓いてはいられないことは明白で、調整台的な感覚で臨んだこのレース。他陣営が勝てるはずもなかった。
『みやこステークス』でも好走の予感は大ありで、是非とも注目してもらいたいところです。
一方、2着に負けたハルイチバン。逃げたときは【7-2-1-0】の好成績。逆に先頭でレースをしなかったときは【3-5-1-6】と極端に成績が落ちていたこれまででした。
そんな中、強力な相手に力で捻じ伏せられるような形でハナを譲りながらも、しっかり2着を粘ったあたりに、精神面の強さと確かな成長を感じさせました。
次走は『園田金盃』を目標に調整される。今シーズンは県内相手に戦い、来年はいよいよ他地区への遠征も考えてローテーションが決められていく。
兵庫生え抜きの同馬にかけるファンの期待は大きく、この一戦での成長がさらにその期待を膨らませることになったのです。
写真:斎藤寿一
文:竹之上次男