第57回姫山菊花賞(重賞Ⅰ)

レース結果

第56回 姫山菊花賞(勝ち馬:サウスウインド)

第56回 姫山菊花賞写真

レース概要

ナイター照明に彩られる中、交流重賞『姫山菊花賞』が10月14日に行われ、3番人気に支持されたサウスウインドが堂々逃げ切り優勝した。同馬は重賞3勝目だが、これまではいずれも他地区で挙げたもので、地元では嬉しい初重賞となった。管理する山口浩幸調教師は通算4勝目のタイトル。同レースは実に12年ぶりとなる2度目の制覇。騎乗した高知の赤岡騎手の兵庫での重賞勝利は、昨年の園田FCスプリント(高知サクラシャイニー)に続く2勝目となった。兵庫県競馬の年代表馬の行方を占う意味で重要な一戦となった今年の『姫山菊花賞』。そこへ、休み明けとは言え、船橋から昨年南関東三冠路線で中心を担ったオウマタイムが加わり、さらに注目度が増した。

1番人気に支持されたのはエーシンクリアー。2歳時から5年連続重賞勝ち。今年は5月の『兵庫大賞典』を圧勝し、前走の金沢『イヌワシ賞』でも快勝して絶好調で当日を迎えた。昨年に続く連覇にも大いに期待がかかる。一方、このエーシンと今年の対戦成績を3勝2敗とリードするアクロマティックが2番人気。1月3日の『新春賞』に始まり、名古屋の『梅見月杯』を3月に、『名港盃』を7月に制している。決め手は随一で、当然主役候補。3番人気がサウスウインド。これまで重賞では善戦どまりだったが、今年に入って3月に佐賀で『はがくれ大賞典』を勝利して、重賞初制覇。前走で笠松の『オータムカップ』も制して花開いた。本格化して二強に立ち向かう。4番人気に船橋のオウマタイム。骨折で休み明けも、力が力だけに克服も十分可能。5番人気にタガノトリオンフ。条件戦で10連勝後、連敗したオープンの壁を打破するため、金沢の吉原騎手が起用された。

全馬素晴らしいスタートとなったレースの幕開け。サウスウインド、エーシンクリアー、タガノトリオンフが絡み合うが、結局最内のサウスウインドがハナを奪った。タガノが2番手となり、エーシンが3番手のポジション。オウマタイムは5番手でやや折り合いを欠く仕草を見せる。アクロマティックは中団からの競馬となった。「オウマタイムが逃げると思ってたんですが、行かなかったので、それならエーシンクリアーより前でレースをしようとハナに行きました。1番枠ですから包まれてしまうのも嫌でしたし」と赤岡騎手は、とっさの判断でハナに立ってペースを握って行く。レースは淀みなく流れて、前は決して有利ではないが、追って行く後続もなし崩しに脚を使わされる展開。再び向正面に入った残り800m辺りからサウスウインドに迫る各馬だったが、なかなかその差が詰まらない。益々快調のサウスは2番手のタガノトリオンフに1馬身差をつけたまま3コーナーを迎える。この時点でオウマタイムは後退していく…。懸命にこれを追うエーシンクリアー。ようやく中団からアクロマティックも差を詰めて4番手に進出。直線に向いてさらにひと伸びを見せるサウスが突き放す。2番手のタガノが苦しくなり後退。変わってエーシンが追う。外に持ち出してアクロマティックも渾身の追い込みを見せる。それでもサウスウインドの逃げ脚は衰えず、エーシンクリアーに1馬身3/4差をつけて逃げ切った。さらにクビ差でアクロマティックが3着となった。タガノトリオンフは4着に敗れたが、強豪相手に堂々と正攻法で渡り合っての4着は立派。オウマタイムは早々と失速したように、休み明けで息がもたなかったが、それにしても負けすぎた印象。折り合いを欠いたように、短距離の方が向くタイプなのかも知れない。「まだホッカイドウ競馬からの疲れが残っている中でのこの走りですから」と赤岡騎手は同馬に4度目の騎乗だけに、さらなる伸びしろを感じ取っていた。※同馬は佐賀で重賞を勝利したあと、ホッカイドウ競馬に移籍して3戦1勝の成績。前走から兵庫の籍に復帰していた。

サウスウインドは今年の重賞3勝目。一躍、年代表馬の有力候補にのし上がった。サウスウインド、エーシンクリアー、アクロマティックの三強がほぼ横一線に並んだ格好だ。ただ今年はこの他に、別路線を歩む牝馬のトーコーヴィーナスがいる。牝馬重賞2勝に加えてダートグレードの『レディースプレリュード(JpnⅡ)』2着の実績が大きい。ことあと『兵庫クイーンカップ』で重賞勝ちを増やす可能性も高い。さらには3歳馬のエイシンニシパも重賞2勝。上記の3強が再び集う『園田金盃』で勝つようなことがあれば、劇的な逆転ホームランとなるかも知れない。もっと言えば、無敗の2歳馬ナンネッタが、ダートグレードレースや南関東の重賞を制することがあれば、たちまち12年ぶりに2歳馬の代表馬(2004年レッドペガサス以来2度目)となってもおかしくない。今年の兵庫勢は他地区の重賞を13勝するほど、これまでにない活躍を見せている。それゆえに有力候補が乱立し、それゆえに面白味が増している。これから迎える重賞路線で代表馬争いがどう決着するのか、各陣営の苦しい思いをよそに、観る側としては楽しみでならない。

レース結果

第55回 姫山菊花賞(勝ち馬:エーシンクリアー)

第55回 姫山菊花賞写真

レース概要

混戦の『姫山菊花賞』は、エーシンクリアーが1番人気に応えて快勝。今年最後のナイター重賞を鮮やかな勝利で飾った。同馬はこれで重賞6勝目。鞍上の木村健騎手は66回目の重賞勝ち。管理する橋本忠明調教師は今年の『新春賞』に続いて2つ目のタイトル獲得となった。遠征予定だった名古屋競馬の実力馬ピッチシフターが回避により混戦模様。いや、恐らく同馬が出走していても混戦だったと思われるメンバー構成。1番人気に支持されたのはエーシンクリアー。2歳時から毎年重賞勝ちを収めていて、トップクラスの力を示し続けている。ただ、他場での活躍が目立っていて、園田競馬場の重賞となれば2歳時の『園田ジュニアカップ』まで遡らなければならない。地元戦での決め手に不安が残る。2番人気はエーシンサルサ。昨年は重賞3勝を含むオープン6連勝で、鬼のような強さを見せた。ところが今年は、『サマークイーン賞』で重賞勝ちを収めたものの、『摂津盃』で2着、前走で7着と思わぬ大敗…。全盛期を過ぎたと見るのか…。『摂津盃』で復活成った11歳馬のダイナミックグロウが3番人気。先行力は健在で、2年ぶりの同レースの勝利を狙う。ただ、前走のオープン特別で1番人気を裏切り3着。高齢馬が真夏で好走したあと反動も気になるところ。『摂津盃』4着のあと、オープン特別快勝で一気に主役の座を奪う位置まで来たメイショウヨウコウが4番人気。1400mの重賞『園田チャレンジカップ』に勝って勢いに乗るヒシサブリナが距離延長でも期待され番人気。先行力のある金沢のヒカルカミヒコーキが6番人気で続いた。

うむ、やはり混戦だ。一番スタートが良かったのはダイナミックグロウ。それを内から競りかけるように金沢のヒカルカミヒコーキが並びかける。それでも外から追っ付けて、やや強引にダイナミックグロウが制した。エーシンサルサが3番手に付けて、エーシンクリアーが4番手。メイショウヨウコウ、ヒシサブリナは中団で脚をためる作戦。一旦決まった隊列を崩したのがヒカルカミヒコーキ。内外の有利さを活かして、コナーワークで正面をすぎた1コーナーでハナを奪い切った。ハナに行く気で気合いを付けていた分、ダイナミックグロウはハナを奪われて苦しくなる展開。案の定、勝負どころで後退してしまう結果となる。3コーナーでは2馬身の差を付けてヒカルが逃げ込みを狙って突き放す。いつも3コーナーで反応が鈍くなるエーシンクリアーだが、エーシンサルサよりいい反応だった。その分、大きく突き放されずついて行けた。クリアーとヒカルの差は、4コーナーで1馬身差。確実に差を詰めている。こうなると勢いよく追いかける方に分がある。直線でヒカルをキッチリ捉えきり、エーシンクリアーが差し切ってゴール。最後は2馬身半差と、終わってみれば完勝と言える内容だった。混戦となったのは2着争い。粘りに粘ったヒカルカヒコーキが2着、最後はしぶとく追い上げたエーシンサルサが3着で、中団から伸び脚を発揮したメイショウヨウコウがアタマ差の4着。笠松の9番人気タッチデュールがさらにアタマ差で5着に続いた。ちぐはぐな展開になったダイナミッグロウは、そこから8馬身も離された6着。さらにクビ差でヒシサブリナが7着。こちらはやはり距離が敗因か…。エーシンクリアーは、地元では2歳時以来の重賞勝ちで通算6勝目。木村騎手自身が「3コーナーで反応が鈍った」と言った、それほどでもなく、直線の伸びもこれまで以上の決め手に見えた。

JBC指定競走だったこのレースを勝ったが、今後はJBCには向かわずに『園田金盃』(12月3日)→『新春賞』(1月3日)というプランが濃厚だ。鞍上の木村騎手は、腰痛で戦列を離れていたが、前日の笠松『岐阜金賞』をバズーカで制していて、連日の重賞勝ち。もう完全復活と言えるでしょう。「いえ、まだ56kg以上でしか乗れないので、まだまだです」と本人は否定した。休養中に増えた体重調整に苦しみ、56kg以上の斤量でした騎乗できない現状。周りが思う以上に本人は重く受け止めているのかも知れない。それでも、彼が帰って来たことで、園田がさらに活気付いたのは間違いない。さて、このレースではもうひとつの話題が大きく報道された。誘導馬のマコーリーがこのレースの誘導を最後に引退するというニュースだ。今回は『マコーリー引退記念』のサブタイトルがついていても良かったのではないか。また今後も『マコーリーメモリアル姫山菊花賞』と題してもいい。そう思わせるほど、コーリーの人気は絶大だった。ありがとうマコーリー!それはそうと『オオエライジン記念』はどうなったのだ!

昨年の結果

第54回 姫山菊花賞(勝ち馬:タガノジンガロ)

第54回 姫山菊花賞

レース概要

さすがダートグレードレースの勝ち馬。重賞の『姫山菊花賞』(園田競馬場・1700m)を問題なく圧勝してみせたタガノジンガロ(牡7・新子厩舎)。第54回『姫山菊花賞』は他地区との交流重賞。しかし、今年は出走を予定していた遠征馬が全て回避。残念ながら地元馬のみで行われました。注目されたのはタガノジンガロとハルイチバン(牡4・平松厩舎)の初対決。

ハルイチバンは今年の春に『六甲盃』を勝って重賞初制覇。5月の『兵庫大賞典』は亡くなったオオエライジンの後塵を拝したが、それ以外はいずれも逃げ切り勝ち。秋初戦を快勝のあと、上積み十分で ここへ臨みました。一方のタガノジンガロは真夏の『サマーチャンピオン(JpnⅢ)』(佐賀競馬場・1400m)を3着のあと、オーナー牧場で一旦クールダウン。秋初戦がこのレース。それでも状態は良好で 「2走前の園田で勝ったとき以上のデキ。この状態で『サマーチャンピオン』に出ていれば、もっと違った結果になったと思う」と新子調教師が語るほど、こちらも順調。オッズはタガノジンガロが最終的 には1.1倍で1番人気。ハルイチバンが4.7倍で2番人気。「スピードがあるから自然にハナに立つと思う」と平松調教師が言うように、ハルイチバンが先頭で、それを追うタガノジンガロというのが 大方の展開予想でした。しかし、蓋を開けてみると、ジンガロに騎乗した木村騎手はスタートから気合いを付けて飛び出し、遂にはハナに立ってしまいました。

「自分のペースで走らせたかったので」と木村騎手。相手のペースに合わせて遅い流れで折り合いを欠くより、気持ち良く走らせたいという思いがハナに立たせたのです。久しぶりにハナを譲る形になったハルイチバン。それでも折り合いを欠く様子もなく、無理なく2番手を追走。3、4番人気のウェーブオーキッド、シルクシンフォニーは後方で脚をためて、お終い勝負にかけるいつもの戦法。マイペースで逃げるジンガロは2馬身ほどの差を保ったまま3コーナーを迎えます。鞍上の田中騎手が懸命に押して並びかけるハルイチバンは、なかなか差を詰められない。そこへ後方から脚を伸ばすシルクシンフォニーとウェーブオーキッドが迫る。

直線で木村騎手が追い出すと、2番手以下の差がさらに広がる。粘らんとする田中騎手に、シルクがジワジワ詰め寄ってくる残り200m。最後は5馬身の差となり、左手を高々と上げて余裕で勝利を アピールする木村騎手とタガノジンガロ。2着は、結局ハルイチバンがこらえ切り、シルクシンフォニーが1馬身半の差で3着。さらに4馬身差でウェーブオーキッドが4着となりました。『姫山菊花賞』は JBCの指定競走。望めば『JBCスプリント』、『JBCクラシック』のどちらかに出走可能(優先出走権はないが、選定にあたってその成績が重要視される)。しかし、オーナーサイドに話を訊くと 「左回りが厳しい」との見方をしている模様。「5月の『さきたま杯』(浦和競馬場)で7着だったとき、かなり内にササってレースにならなかった。右回りなら喜んで行くんですけど…」とのことでした。 その経緯から、次走は京都競馬場の『みやこステークス(GⅢ)』(11月9日・1800m)となるようです。

新子調教師は「年末の『兵庫ゴールドトロフィー(JpnⅢ)』(園田競馬場・1400m)を見据えて考え れば、強い相手と戦っていたいと思い、右回りでちょうどレース間隔もいいここに決めました。距離も中央時代に勝っていますし、問題ないでしょう。ここで良いレースができれば次がさらに楽しみに なりますからね」とかなり期待を持っての出走です。今後のプランから考えて、やはり地元戦では躓いてはいられないことは明白で、調整台的な感覚で臨んだこのレース。他陣営が勝てるはずもなかった。 『みやこステークス』でも好走の予感は大ありで、是非とも注目してもらいたいところです。一方、2着に負けたハルイチバン。逃げたときは【7-2-1-0】の好成績。逆に先頭でレースをしなかった ときは【3-5-1-6】と極端に成績が落ちていたこれまででした。そんな中、強力な相手に力で捻じ伏せられるような形でハナを譲りながらも、しっかり2着を粘ったあたりに、精神面の強さと確かな 成長を感じさせました。次走は『園田金盃』を目標に調整される。今シーズンは県内相手に戦い、来年はいよいよ他地区への遠征も考えてローテーションが決められていく。兵庫生え抜きの同馬にかける ファンの期待は大きく、この一戦での成長がさらにその期待を膨らませることになったのです。