【全国交流重賞】グランダムジャパン

第55回のじぎく賞(重賞Ⅰ)

レース結果

第55回 のじぎく賞(勝ち馬:アペリラルビー)

第55回 のじぎく賞写真

レース概要

本命不在の大混戦となった第55回『のじぎく賞』(3歳牝馬・1700m)は、笠松のアペリラルビーが中団から差し切り優勝。終わってみれば10年連続連対中だった1番人気馬の勝利だった。同馬は重賞初制覇。鞍上の向山牧騎手は、兵庫での初重賞勝ち。栗本陽一調教師は2015年1月の開業から3年目で嬉しい重賞初制覇となった。地元のスターレーン、金沢のヤマミダンスの実力馬が不出走で、今年の『のじぎく賞』は本命不在の大混戦。単勝は1番人気が4.5倍。3連単は、発走30分前まで1番人気でも万馬券。最終的には82.6倍まで下がったが、4番人気から100倍以上となり、当たればほぼ万馬券という超難解な一戦となった。過去10年、同レースの1番人気馬は8勝2着2回とパーフェクト連対中。どの馬が1番人気になるのかも注目されたが、笠松のアペリラルビーがその座に就いた。2番人気は逃げ脚速い佐賀のウイニングムスメで、3番人気にようやく地元のエイシンユートピアが続いた。唯一の重賞勝ち馬、高知のタッチスプリントは意外に4番人気の低評価となった。

ゲート入りでキューティハーバーが誘導に応じず、かなりの時間を費やしてしまう。再三嫌った後、最後に前扉が開けられるとすんなり応じて収まった。早く開けていれば、ここまで時間がかからなかったのかも知れない。この時点で、キューティハーバーにはレースへの余力はもうなかった。ウイニングムスメがスタート良く飛び出し、注文通りすんなりとハナを奪う。連勝中で昇級となるハヴアナイスディが2番手に取り付いた。クールレオ、ローランドアイ、スダチチャンの地元の人気どころが好位を形成して、そのあとの中団にタッチスプリント、アペリラルビーが追走する展開となった。やや縦長の隊列で淀みなくレースは流れて行く。それぞれがチャンス十分の立場で、それぞれが勝ちに行くため、前へ前へと意識が高まって来る。向正面からペースがさらに上がり、各馬が勝負に出る。そんな中、じっくり中団でしっかり脚をため、慌てずチャンスを窺っていたのが、勝ったアペリラルビーだった。逃げるウイニングムスメに並びかけて行ったハヴアナイスディ。昇級でも格上を煽る動きで先頭に立つ。突き放された3番手からスダチチャンとタッチスプリントが追い上げる。アペリラルビーは5番手まで進出。4コーナーではもう一度先頭を奪い返したウイニングムスメ。ハヴアナイスディはさすがに苦しくなって後退した。そこへ勢いよくタッチスプリントが迫って抜け出していく。しかし、さらに良い脚を使ったのがアペリラルビー。道中の溜めが効いて、一気に突き抜けた。タッチスプリントは先に動いた分負けたが、内容は悪くなく、さすが唯一の重賞勝ち馬、しっかりと力は示した。前の2頭から離された3着争いは接戦となったが、笠松のウリャオイが最後に馬群を割って食い込んだ。地方他地区による3着まで独占。兵庫にサラブレッドが導入されて以降、初めてのこととなった。スダチチャンが地元最先着の4着。5着にも佐賀のウイニングムスメが粘って、掲示板の5分の4を他地区に占められてしまった。3番人気のエイシンユートピアは、まったく見せ場なく11着と大敗した。

混戦で、しかも交流戦となれば、力関係の比較が本当に難しい。そんな中、アペリラルビーを1番人気に支持したファンはさすがと言える。それに応えたアペリラルビーも、騎乗した向山騎手の落ち着いたプレーも素晴らしかった。3着のウリャオイは11番人気だったが、前走『兵庫チャンピオンシップ』で勝ち馬から大きく離されたが、地元のナチュラリーとは差のない競馬(7着)ができていた。何より強いメンバーと闘った経験が活きたと言える。地元No.1牝馬のスターレーンが不在で、他地区に上位独占を許したが、レースとしては非常に見応えがあった。混戦時の隠れた主役を見つけ出す目を養わなくては。直前の予想会に参加した私の予想はボロボロだったので…。ホントにボロボロだったので…。

レース結果

第54回 のじぎく賞(勝ち馬:ディアマルコ)

第54回 のじぎく賞写真

レース概要

快晴、良馬場の園田競馬場。5月19日に行われた『のじぎく賞』(3歳牝馬・全国交流)は、高知から参戦したディアマルコが優勝。2戦続けて2着に敗れていたクラトイトイトイを鮮やかに差し切って、悲願の初タイトルを手にした。鞍上の佐原秀泰騎手は兵庫では初重賞。管理する那俄性哲也調教師も初めてだが、福山競馬で騎手として活躍中に『楠賞アラブ優駿』を86年はローゼンホーマで、89年はアサリユウセンプーで制している。 地方競馬世代別牝馬重賞シリーズ『GRANDAME-JAPAN(以下G-J)』3歳シーズンの終盤を迎えた第7戦(全8戦)となる『のじぎく賞』。過去6年の内、4年でチャンピオンを送り出している兵庫県勢だったが、今年は上位を他地区の馬に固められ厳しい状況。第2戦の『若草賞』(名古屋)と第4戦の『東海クイーンカップ』(名古屋)を制している船橋競馬のクラトイトイトイがトップを独走。優勝を確実なものにすべく西下した。ファンもこれまでの強さを認め、1番人気に支持した。 『若草賞』と『東海QC』でいずれも2着だった高知競馬のディアマルコも参戦。連敗中だが着差は詰めており、3戦目での初タイトルと『G-J』のポイント争いの逆転を懸ける出陣となった。ただ、勝負付が終わったとの見方もあり、3番人気どまりとなった。 2番人気には地元の期待を集めたナツが食い込んだ。昨年の『園田プリンセスカップ』2着のあと南関東に移籍。勝てなかったが2度の2着があり、強豪相手に五分に渡り合った。クラトイトイトイとも対戦があり、いずれも敗れていたが差のない競馬をしていた。地の利も手伝い、逆転候補筆頭と見る向きが強まった。 笠松からはキタノアドラーブル(4番人気)が出走。東海地区の重賞戦線で堅実な成績、加えて名古屋のアイドルジョッキー木之前葵騎手が騎乗するとあって注目を集めた。 残る地元勢は、重賞ではお馴染みとなったリーディングトレーナー&ジョッキーコンビで臨むエンジェルズソングが出走。実績は劣るものの、さすがのネームヴァリューで5番人気の支持を得た。地元のメンバーで唯一の重賞ホース、モズキンボシが6番人気で続いた。 注目されたスタート、先行馬のクラトイトイトイがわずかに遅れてしまった。そのため、気合いを付けて先団を目指し、馬が行きたがってしまった。一旦、2番手とは4~5馬身もの差がついてしまう。 向正面で一気にペースダウン。2番手以下がどっと押し寄せた。緩急の激しいクラトイトイトイのペースに後続が惑わされそうだ。 しかし、ディアマルコの佐原騎手は「前回もあんな感じだったので、ああいうペースはあの馬の特性かなと思いつつ、自分のペースを守っていこうと思いました」と、抜け出すことなく2番手でジッと我慢した。実は、前走の3コーナー付近でペースダウンしたときに、一気に先頭に立ったディアマルコは差し返されてしまって2着に敗れた。この教訓を活かされた今回のレースだった。 4コーナーで良い手応えで迫るディアマルコ。ここでも「前回負けてるんで、まだ安心できないなと思って…」ともう一度我慢して、気を引き締めて直線を迎えた。 後ろからの追撃は見られず、2頭のマッチレースの様相となった直線。今回は温存した末脚の差が勝負を決した。 最後はディアマルコが1馬身半差で宿敵を破って栄冠を勝ち取った。 2着のクラトイトイトイはスタートの出遅れのあと、馬が行きたがった分、最後の直線の粘りに影響した。力上位は明白だが、気性面でまだまだ成長が求められる現状。 3着には地元馬のチョウクルクル。勝ち馬の内側で脚を溜めて好位を追走。ロスなく立ち回って好配当を演出した。 4着に木之前葵騎手のキタノアドラーブル。2番人気のナツは5着に敗れた。速い流れが向くタイプで、極端にペースが落ちる流れは向かなかったか。短距離戦での切れ味復活を期待したい。 ゴール前で鋭く右手を突き上げた佐原騎手は「ぼく自身も平場ですら勝ったことなくて、重賞なんて初めてで、馬のタイトルも初めてで、すべての喜びが出た感じです(笑)」と笑顔を弾けさせた。 高知競馬は昨年、2歳新馬戦を17年ぶりに再開させた。売上向上により賞金が充実したことで実現した。どの競馬場でも当たり前のようにある2歳馬のデビューが、高知では長らく開催することができなかったのだ。その初年度に花を咲かせたディアマルコ。2013年に歴史を閉ざされてしまった福山競馬出身の那俄性調教師と佐原秀泰騎手が送り出すとなれば、これからの応援にも力が入る。

レース結果

第53回 のじぎく賞(勝ち馬:トーコーヴィーナス)

第53回 のじぎく賞写真

レース概要

単勝元返しの断然人気になったトーコーヴィーナス(牝3・吉行龍穂厩舎)が、その人気に応えて楽勝。これで同馬は重賞6勝目。世代別牝馬シリーズ『GRANDAME-JAPAN(以下G-J)』3歳シーズンの総合優 勝をほぼ手中に収めた。鞍上の田中学騎手は重賞38勝目。管理する吉行龍穂厩舎は26勝目となった。GWに行われた兵庫大賞典も兵庫チャンピオンシップも、1番人気がハナを奪い。そのまま逃げ切ると いう全く同じ展開に。しかも、いずれもが砂が薄くスタートのときに上滑りすると言われている8枠を引いたのも同じ。だから騎乗した田中騎手はスタートに気を遣った。ところが、抜群のスタートを切った ものだから、もうこの時点で勝利が確定したようなものだった。JRAから移籍後3連勝中のジョウショーエガオ(2番人気)が、内枠を利してハナを奪いに行こうとする。それを制してトーコーヴィーナスが先 手を取ったので、行く気になって控えた分、馬がかかってしまった。3番手に船橋のハッピーリーベ(4番人気)、4番手には高知のプリンセスボーラー(3番人気)。5番手に付けたのはドラマクイーン(5番人気) で、人気通りの隊列でレースが進む。向正面でスタートしたレースは、正面スタンド前では落ち着いたペースに。ジョウショーエガオもこの辺りでは折り合いを付けた。実力で勝る2頭がレースを引っ張り、 馬ナリでペースを上げて行くと、ハッピーリーベがまず脱落。プリンセスボーラーが突き放されながら3番手を死守するところへドラマクイーンが並びかけて来る。3コーナーを迎えるころ、先頭のトーコー ヴィーナスはジョウショーエガオに1馬身半差をつけていた。 前半折り合いを欠いたことを考えれば、ジョウショーエガオは苦しくなり、きょうもトーコーヴィーナスの圧勝かと思わせた。ところが、思いの ほか突き放すことができない。どうやら一頭になって、馬が走るのをやめようとする悪いクセが出たようだ。 結局1馬身3/4の着差と圧勝ではなかったが、トーコーヴィーナスの遊ぶほどの余裕を見せての逃 げ切りとなった。相手が遊んだにせよ、あれだけかかっていながら2着に粘り、3着に5馬身の差をつけるのだから、ジョウショーエガオの強さもなかなかのものだ。トーコーヴィーナスに騎乗した田中騎手 は「かなり遊んでいましたね」と振り返る。そう言えば、前走の『東海クイーンカップ』(名古屋)で圧勝したときも「ガツンと来るものがなかった」と勝っていながら、確かな感触を得られなかった様子。不安 を抱かせながらも勝ってしまうのだから、相手関係が物足りないのかも知れない。吉行調教師は「園田でレースをすると4コーナーでやめてしまうところがある。馬がもう覚えてもうてるんやろね。よそに行 くとそうでもないもんね」とあまり気にはしていない口ぶりだった。ここを勝ったことで『G-J』の総合優勝をほぼ手中に収めた。となると、『G-J』最終戦となる『関東オークス(JpnⅡ)』(6月10日・ 川崎競馬場)の出走は必要なくなり、次走は地元の世代王者を決める『兵庫ダービー』(6月4日)も視野に入ってくる。果たしてどちらのレースを選択するのか!?吉行調教師は「関東オークスに決めました。 ダービーでは(田中)学の乗り馬も重なるだろうし、早く決めてやらないと迷惑かかったらアカンしね」とJRAや他地区の強豪との対戦を明言。地元馬で唯一黒星を喫したインディウムとの再戦も観たかった が、全国3歳最強牝馬の称号を目指すことにワクワクする。13戦10勝、重賞6勝の輝かしい戦績は、すでにして兵庫県史上最強レベルの牝馬。『関東オークス』では、遊ばせてくれないメンバーが、真の 力を引き出してくれるはずだ。

昨年の結果

第52回 のじぎく賞(勝ち馬:トーコーニーケ)

第52回 のじぎく賞写真

レース概要

 5月15日、園田競馬場で行われた『第52回のじぎく賞』(稍重・1700m)は、単勝1.1倍の断然人気に支持されたトーコーニーケが快勝。 重賞3連勝で、通算4個目のタイトルを獲得しました。川原騎手は通算97勝目の重賞制覇。

 『兵庫チャンピオンシップ』で地方馬最先着(6着)を果たした高知のクロスオーバーが、中8日の厳しいローテーションで再び園田へ輸送競馬。 それでもハナを奪ってレースを引っ張る展開に。2番人気のコパノバウンシ(大井)、プレシャスベガが2、3番手。それを見る形で絶好の4番手に付けたトーコーニーケ。

 「位置取りにはこだわらず、周りを見ながら競馬すればいいと思っていました。スタートが決まるか決まらないかというところだけで、あとは安心していました。 道中は余裕ってわけじゃないですけど、自分との闘いで、焦らずにゆっくり馬とのリズムを崩さないようにだけ考えていました」と川原騎手。

 逃げるクロスオーバーが2、3番手の各馬を振り切って逃げ込みをはかる。それにただ一頭並びかけたトーコーニーケ。直線抜け出して、渋太く食い下がるクロスオーバーを 2馬身半突き放して完勝。最後方からようやく追い込んできたユノエスケープ(3番人気)はさらに3馬身離されての3着という結果。 コパノバウンシは、ズルズル後退してしんがり負けを喫してしまった。

 地方競馬世代別女王決定戦『GRANDAME-JAPAN2014』3歳シーズンは、いよいよ『関東オークス』(6月11日・川崎2100m)を残すのみ。 ポイントでトップに躍り出たトーコーニーケは、総合優勝をほぼ手中に収めたと言えるでしょう。

 吉行調教師は昨年、兵庫県から善行人命救助者に贈られる『のじぎく賞』を受賞していました。今年は管理する愛馬で、見事に制覇してみせ、 変則ながら2年連続『のじぎく賞』トレーナーに輝くことになったのです。