第49回摂津盃(重賞Ⅰ)

レース結果

第49回 摂津盃(勝ち馬:マイタイザン)

第49回 摂津盃写真

レース概要

伝統ある真夏のハンデ重賞『第49回摂津盃』が8月18日に行われ、2番人気の支持を受けたマイタイザンが堂々逃げ切って優勝。同馬にとって、2歳から続く3年連続の重賞勝ちとなった。騎乗した杉浦健太騎手は、通算5勝目のタイトル。管理する新井隆太調教師は重賞4勝目を挙げた。サウスウインドやエーシンクリアーの出走はなかったが、それ以外の中距離路線を歩む強豪が出揃った今年の『摂津盃』。ハンデは57キロから53キロと、それほど大きな差はないが、それぞれを比較すると有利不利が入り混じる。トップハンデは57キロのエイシンニシパ。管理する橋本忠明師は「59キロを背負わされるようなら、回避するかも」と漏らしていたが、蓋を開けてみればこの斤量。見込みから2キロ軽くなって恵まれたように思える。そのニシパに前走、同斤量でクビ差の接戦を演じていたウインオベロンは54キロに設定。これだけを捕えるとかなり有利だ。重賞を含む4連勝でもっとも勢いを感じさせるのがトランヴェール。こちらは57キロで連勝中ながら、56キロの斤量に。57キロ以上は当然課せられると思われていただけに、有利に感じる。前走、オープンで初勝利を飾ったミッレミリアは当時と同じく54キロ。その前走で負かしたエイシンホクトセイは56キロから53キロに。この両者だけを見ると断然ミッレミリアは不利。エイシンホクトセイは5月の『兵庫大賞典』を56キロで3着だったことを考えると、断然有利と言える。同じく53キロに設定されたオープン初挑戦のマルカライン、牝馬のタガノトリオンフなどは決して恵まれたとは言えない斤量だ。55キロのマイタイザンだけが、斤量の話でほとんど話題に上がらず、一番有利不利がなかった斤量。ゴール前の大接戦を考えて設定されるハンデ戦という観点ではないような気がするが、微妙に予想を悩ませ、楽しませた要素のひとつではあった。

スタートの良し悪しがハッキリする1700m戦。明らかに煽って立ち後れてしまったのが、1番人気に支持されたトランヴェールだった。逆に好スタートを決めたのがマイタイザン。すぐに迎える3コーナーにダッシュ良く飛び出しハナを奪い切った。2番手にタガノトリオンフが付け、ベルサリエーレ、バズーカ、エイシンニシパと好位を形成。ミッレミリア、ウインオベロンは中団を進み、スタートで後手に回ったトランヴェールは後方待機となった。前日の馬場は差し馬の伸びが目立ち、前有利だったこれまでの傾向からかなり変化を見せていた。ところが当日の明け方、突然の雷雨が園田を襲い、一瞬に不良馬場へと変えた。ナイター競馬が始まるころには少しずつ回復を見せ、この時点では重馬場の発表。それでも前が有利なレースが続いていた。好スタートのマイタイザンは他馬を引き付けるのではなく、自分のペースに徹してレースを進めて行く。追いかけて行く馬たちも決して楽ではない展開で、好位を追走したベルサリエーレ、バズーカが脱落して行った。それでも必死で食い下がったのがタガノトリオンフ。エイシンニシパはコースロスをを避けるため内に切れ込み徐々に差を詰めて行く。そこへ後方からトランヴェールを進出を開始、3コーナーでは4番手までポジションを上げた。しかし、その間にもペースが落ちないマイタイザンはリードを広げて4コーナーに向かって行く。内をすくってエイシンニシパが2番手に上がって直線を迎えた。タガノトリオンフが3番手を死守するところへ、ウインオベロンが迫る。向正面で追い上げたトランヴェールの脚はいっぱいとなってしまった…。逃げ脚衰えないマイタイザンは他馬を寄せ付けない。そのまま3馬身半の差を付けて堂々と逃げ切って真夏の王者に輝いた!エイシンニシパがトップハンデの意地を見せ2着に。3着争いは接戦となったがタガノトリオンフがしぶとく粘って確保した。マイタイザンを追いかけながらの3着を粘ったのは立派だ。差のない4着にウインオベロン、エイシンホクトセイが5着に続き、トランヴェールは出遅れが響いて6着に敗れた。

1番枠で「いい枠を引き当てた」と思い、朝の豪雨で「逃げしかない」とハラを決めた杉浦騎手。前日と前々日の2日間の騎乗停止があり、その鬱憤を晴らすかのような圧倒撃。ウイニングランで再び正面スタンドに帰って来たマイタイザンと杉浦騎手に大きな歓声が沸き上がり、何度も右手を挙げてファンの声援に応えた。メンバ中、唯一の兵庫生え抜きだったマイタイザン。思えば、昨年も生え抜きのエナエビスの勝利だった。デビューから見続ける馬の成長と活躍は観ていて誇らしい。これからは他地区でのタイトル獲得も楽しみだ。逃げ馬から、控える競馬も覚えてモデルチェンジを試みたが、再び元の逃げ馬に活路を見出したマイタイザン。常にマークされる苦しい立場だが、それでもなお他馬を封じ込める強い逃げ馬へとグレードアップすることを期待する!

レース結果

第48回 摂津盃(勝ち馬:エナエビス)

第48回 摂津盃写真

レース概要

伝統の真夏のハンデ重賞、第48回『摂津盃』は3番人気のエナエビスが木村騎手の騎乗で逃げ切り、5馬身差の圧勝。混戦のメンバーと言われた一戦を、圧倒的な強さで勝ち、大きな存在感を示した。これで同馬は重賞2勝目。木村騎手は同レース5度目の優勝で、通算68勝目(地方のみ)。管理する田中範雄調教師も同レース5勝目。通算では45勝目となった。 2012年の園田でナイター競馬が開幕した歴史的な日に、オープニングを飾る重賞として組まれたのが『摂津盃』。その年以来、5年連続ナイター開催。関西の真夏の夜を彩る風物詩になりつつあるし、またそうなるように関係者はキャンペーンを充実させなければならないだろう。

第48回『摂津盃』はアクロマティックやバズーカの参戦はなかったが実績馬、上り馬、好調馬が出揃い楽しみな一戦となった。

トップハンデのエーシンクリアーは重賞7勝で実績最上位。58kgを背負わされたがこれは当然の斤量。59kgを課せられると思っていたぐらいで、これはむしろ軽い斤量。ファンは2番人気に支持した。次に重い57kgのハンデを背負うのがエナエビス。去年の4月に名古屋で重賞勝ち。ダートグレードでも5着と健闘した生え抜き馬のエース。その後の長期ブランクがありながら、復帰後の2戦目を迎える。夏は勢いが制すると言われるが、そんな昇り馬中の昇り馬がエイシンイースト。B1、A2と4連勝してオープンに昇級。初めてのオープンが重賞となるが、54kgの斤量と勢いを買われ、1番人気に支持された。

昨年の覇者ダイナミックグロウは12歳馬となったが、前走で復活の逃げ切り勝ちを決め、連覇へ機運が高まる。ハナを奪えるかどうかカギとなる。スタートが切られた午後7時55分、ほとんど揃った飛び出し。出遅れ癖のあったバレーナボスも、この馬としては好スタートの部類。全馬不利なくダッシュを利かせた。中でも一番の出足を見せたのがエナエビスだった。最初に向かえるコーナーで1馬身の差をつけて抜きんでていた。一旦並びかけようとしたダイナミックグロウも控えざるを得ず2番手となり、エーシンクリアーが3番手のポジション。エイシンイーストがその後ろの4番手。

正面に入って来た時点で一気にペースダウン。12頭が一団となるスローな流れ。完全にペースを支配した木村騎手はこの時点で「勝負あった」と感じていた。こうなると前にいる各馬が俄然有利で、後ろの各馬は速めに仕掛けなくてはならない。向正面に入ってピッチを上げて行く各馬。それでもエナエビスは楽な感じで悠々先頭。十分末脚を残している様子だ。2番手のダイナミックグロウが迫って行くが、元来逃げ馬の同馬にとって、追いかける展開は厳しい。そこへ4番手にいたエイシンイーストが追い上げ2番手に押し上げる。58kgが堪えたとも思えないが、エーシンクリアーは勝負どころで反応が鈍り、3番手を守るのがいっぱいの状況。断然エナエビス優勢のまま直線を迎える。懸命に追ってくる各馬を、エナエビスは楽々と突き放してしまう。あっという間にその差は広がり、最後は5馬身差の圧勝。瞬発力の差、能力の高さをまざまざと見せつけた。

2着にはエイシンイースト。1番人気で敗れたものの、多少人気先行の感があった。勝ち馬以外には完全に内容で上回っていて、オープンでも重賞でも十分闘える技量を示した。今後の重賞路線でも注目される。エーシンクリアーが3着を地力でなんとか粘った。上がり勝負より平均的に脚を使うタイプで、流れも向かなかった。巻き返しを期待しよう。逃げられなかったダイナミックグロウが4着に。そして連闘で臨んだマークスマンが5着に健闘した。

勝った木村健騎手は、この日の7レースで勝って兵庫生え抜きジョッキーの地方通算勝ち鞍の新記録(3377勝)を作ったところだった。腰の椎間板ヘルニアで戦列を離れ、記録に王手をかけながら1ヶ月余りが過ぎていた。2日前に復帰したが勝ち鞍を挙げられずこの日を迎えていた。記録達成のセレモニーで「次に腰をやったら引退します」と堂々と宣言してしまった木村騎手。『摂津盃』のお立ち台でも水を向けると『やめます』とさらにダメ押し宣言…。ただ、これは弱気の発言ではなく、次の痛みを恐れず、腰がめげるまで頑張りぬくというフルパワー騎乗が身上の木村騎手の美学なのだ。思えば、同じく兵庫生え抜きで長期ブランクを克服したエナエビスとは重なり合うところがある。決してめげてほしくはないが、このコンビでさらに園田を盛り上げてもらいたい。

レース結果

第47回 摂津盃(勝ち馬:ダイナミックグロウ)

第47回 摂津盃写真

レース概要

伝統の真夏のハンデ重賞『摂津盃』は、6番人気のダイナミックグロウが勝利。一昨年『姫山菊花賞』以来の重賞2勝目を挙げた。同馬は1年2ヶ月の長期離脱がありながらの見事な復活劇を見せた。また、11歳での重賞勝利は、兵庫県最高齢記録ともなった。松浦政宏騎手は、16年ぶりの同レース2勝目。重賞は通算15勝目。管理する小牧毅調教師は同レース初勝利、重賞は2勝目となった。レースは戦前からすでに動きがあった。なんと大本命に推されていたエーシンサルサに騎乗予定だった木村騎手が、腰痛のため急きょ笹田知宏騎手に乗り替わりとなってしまったのだ。1倍だったエーシンサルサのオッズは次第に上がり、結局3倍ちょうどのオッズでユニフィケーションと並んで、票数で1番人気を譲ることになった。兵庫を代表するエースジョッキーからの乗り替わり。それは笹田騎手だからではなく、誰であってもオッズには影響しただろう。エーシンサルサはゲートをすんなり出すことができるかどうか不安を持っている馬。加えて、牝馬にとっては酷とも思える57kgの斤量。当然ダッシュ力にも影響してくる。そんな状況下で、笹田騎手はスタートを決めて3番手にとりつくソツのない騎乗を見せる。一頭大きく出遅れたのはバレーナボス。この馬は毎回出遅れる馬だが、さすがに今回は置かれ過ぎた。その他の馬は揃った飛び出しを見せた。ダイナミックグロウが中でも良いスタートを決めて先頭に立とうとする。そこへ、ニホンカイセーラが並びかけハナを奪って行く形となった。 3番手にエーシンサルサ。ユニフィケーションは中団にとりつき、これに前後するようにして4番人気のサウスウインドがポジショニング。短距離を中心に使われていたニホンカイセーラは久々の1700m戦が影響したのか、折り合いを少し欠き、ややかかり気味。スローな逃げペースとはならず、展開も縦長となった。向正面では外に切り替えて先頭に並びかけるダイナミックグロウ。すると、逃げていたニホンカイセーラがあっさり下がってしまう。やはり距離なのか…。勝負どころの3コーナーで、一旦置かれそうになるエーシンサルサだったが、笹田が踏ん張って食い下がる。この時点で1番人気のユニフィケーションの動きが悪い、伸びる気配が感じられない。サウスウインドも4コーナーでは置かれてしまう。ダイナミックグロウとエーシンサルサの一騎打ちで直線。粘るグロウに懸命に追いすがるサルサ。最後は斤量の差も出たか、55kgのダイナミックグロウが半馬身差で57kgのエーシンサルサの追撃を振り切った。3着は中団以降で脚をためていた人気薄各馬の争いとなり、末脚勝負で勝ったオーケストラピットが確保した。サウスウインドは6着、ユニフィケーションは良いところなく11着に敗た。11歳の重賞勝ちは、園田競馬では最高齢記録。爪を悪くして休養を余儀なくされ、1年余り戦列から離れていた。前走で久々に挙げた勝利が復活の狼煙となり、ここで完全復活を成し遂げた。オーナーの理解、陣営の努力があってたどり着いた復活劇。何よりそれに応えた ダイナミックグロウが素晴らしい。 次の目標は、一昨年に制した『姫山菊花賞』(10月16日)。11歳馬に負けてられぬと、巻き返しを狙う他陣営。また園田の夜がアツくなりそうだ!

昨年の結果

第46回 摂津盃(勝ち馬:エーシンサルサ)

第46回 摂津盃

レース概要

 牝馬ながらに57キロで、それがトップハンデ。それほど見込まれても、エーシンサルサが『摂津盃』を6馬身ちぎってしまった…。  『摂津盃』は園田伝統の真夏のハンデ重賞競走。いかに勢いがあると言っても、牝馬の重賞しか制していない馬に、古馬の牡馬混合重賞初挑戦で57キロは重すぎる。  しかも、登録の段階では名前があった『かきつばた記念(JpnⅢ)』の勝ち馬タガノジンガロが59キロ。牝馬は2キロ減と考えれば、サルサはジンガロと同斤量とも取れる。  自身が背負い切れるかどうかは別として、ハンデとは相対的なものなのだから、比較的重いというのは間違いないところ。それでも全く関係なくサルサは強かった。  「57キロ背負ってるので、(うまくスタート)出ればハナに行こうと思っていました」と木村騎手が振り返ったスタートは抜群の出。内から大山騎手のマイアヴァロン(53キロ)も 競りかけて来たが、それを威圧するように制してハナに立つ。「道中はリラックスして走ってたので、4コーナーまでこのまま行けば勝てるなという手応えでした」  木村騎手は早い段階で勝利を確信していたようです。持ったままで直線に向いて6馬身差で圧勝する光景は、斤量の概念を根底から覆すようにも見えました。  この斤量でこの勝ち方。つくづく思うのですが、本当に勝つたびに強くなるエーシンサルサ。「兵庫県の看板馬になって欲しい馬なので、もっと強くなってくれることを祈っています」  なるほど、木村騎手もまだまだこの馬には奥があると読んでいるようです。  順調に行けば、このあとは当初の予定通り9月15日の『秋桜賞』(名古屋競馬場・1400m)へ向かいます。  管理する橋本忠男調教師は「やっぱり57キロは多少堪えたと思う。ちょっと反応が鈍かったところがあったからね。それでもこの勝ち方やし、心配するほどでもなかったね」と余裕の表情。   さて、馬券対象の2着、3着の争い。道中では好位のインを進んで脚を溜め、4コーナーで上手く外に出して伸びたサトノフェニックスが2着に食い込んだ。  鞍上の笹田騎手は完璧な競馬。これは大いに褒めてやってほしいところです。3着にはツルマルホクト。この馬憎いくらいに相手なりに走る。レース間隔もちょうどよく、 これからも目が離せない存在。同馬が11番人気だったこともあり、断然人気馬が勝ちながら、3連単では4万1520円の好配当となりました。  今年に入って馬が変わったような強さを見せる、兵庫県生え抜きのエーシンサルサ。どうぞ皆さま、この名前を覚えておいてください。