第59回新春賞(重賞Ⅰ)

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レース結果

第59回 新春賞(勝ち馬:エイシンニシパ)

新春賞写真

レース概要

2017年の幕開けとなる伝統のハンデ重賞『新春賞』は、明け4歳馬のエイシンニシパがハナ差の大接戦を制して優勝。管理する橋本忠男調教師は、翌日の4日が勇退式。その花道を飾る劇的な幕切れとなった。同馬はこれで他地区を含めて重賞3勝目で、園田では初制覇。吉村騎手はこれが重賞8勝目。橋本忠男師は、同レース2度目の制覇で通算52勝目のタイトル。見事な有終の美となった。前年に代表馬争いを繰り広げた三強と言われたアクロマティック、エーシンクリアー、サウスウインド、さらに最強牝馬のトーコーヴィーナスが揃って回避した新春賞。それでも、その三強を『園田金盃』で破ったバズーカがトップハンデで出走。トーコーヴィーナスを『兵庫クイーンカップ』で降したタガノトリオンフも参戦。明け4歳馬からは、同世代で最も活躍が顕著だったエイシンニシパが出走して、新春を飾るなかなかの好メンバーが出揃った。年末年始シリーズの終盤戦の1月3日、当初は馬場の内側が重たい状況が続き、差し馬台頭の場面が多く見られた。それも次第に変化して行き、この日の馬場は前残りが目立ち始めていた。

注目を集めた先行争いは、レッドダニエルがいつものように好スタートを切って、ハナを奪い切った。同じく逃げたかったアサクサセーラも悪くないスタートだったが、出脚で負けて2番手に控えざるを得なくなった。タガノトリオンフが3番手のインで脚をためる、鞍上の下原理騎手が最も得意とする作戦。その外側にエイシンニシパが付ける展開。バズーカは中団からレースを進めて行く形となった。レースが動き出したのは残り800m付近。レース前、橋本忠男調教師は吉村騎手に「4コーナーで先頭に立て!」と伝えた。その言葉を守るべく動き出したエイシンニシパと吉村騎手。前にいる3頭の脚色がわずかに乱れる。まず逃げていたレッドダニエルが後退した。ここで先頭に立ったアサクサセーラに外から並びかけるエイシンニシパ。内にいたタガノトリオンフは先に外から動かれて、一旦控えて外に切り替えるというロスが生じてしまった。これが勝負を分ける。師の言葉通り、遂に4コーナーで先頭に立ったエイシンニシパと吉村騎手。外からは下原騎手のタガノトリオンフが迫って来る。橋本忠男師はさらに「直線は必死になって追え」とも付け加えていた。吉村騎手のダイナミックなフォームは、木村騎手と並び称されるほど定評がある。トリオンフが迫って来たとき、その動きがさらに躍動する。最後はハナ差、ほんのわずかの差でエイシンニシパが先頭でゴールを駆け抜けていた。

普段はビッグマウスで知られる吉村騎手。レース前も「負けるところないでしょ」と不遜とも思える口調で語る。しかし、その心の内は穏やかではなく「デキも凄く良かったですし、負けるとこないっていうより、負けちゃいけないな…」とプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。ハナ差のゴールも「ダービーのときみたいにまた負けたんかなぁと思って…」とネガティヴな感情しか湧いてこない。そんな自分の思いをかき消すようなビッグマウスだったのだろう。晴れて有終の美を飾った橋本忠男師は、翌日の勇退式で「30年、いろんな苦しいことがありましたが、きのうの新春賞で全部吹っ飛びました」と晴れやかな笑顔を見せた。子弟の絆に心温まり、観ていて気持ちの良い新年の幕開けとなった。

レース結果

第58回 新春賞(勝ち馬:アクロマティック)

新春賞写真

レース概要

本命不在で大混戦となった『新春賞』。勝ったのは昨年のリーディングトレーナー新子調教師が送り込んだアクロマティックだった。同馬は初重賞制覇。新子師、下原騎手ともに同レース初優勝。通算では新子師が8勝目、下原騎手が39勝目の重賞勝ちとなった。『園田金盃』の勝ち馬エーシンサルサ、明け4歳馬のチャンピオン、トーコーヴィーナスが出走していれば、ともに大きな印をもらっていたはず。ところがエーシンサルサは1月14日の『白銀争覇』(笠松・1400m)に向かうことになり回避。トーコーヴィーナスはクラス編成上の障壁で出走にこぎつけられなかった(前日のB1に出走して快勝)。一転、大混戦の様相となり、どの馬にもチャンスが巡って来た。

人気は割れに割れた。

※単勝最終オッズ
1番人気 エーシンクリアー   4.2倍
2番人気 サウスウインド    4.4倍
3番人気 ホクセツサンデー   6.5倍
4番人気 オーケストラピット  6.9倍
5番人気 アクロマティック   8.2倍
6番人気 バレーナボス     9.1倍
7番人気 トーコーニーケ   15.5倍
8番人気 アランロド     18.2倍
9番人気 メイショウヨウコウ 24.0倍
10番人気 ニシノイーグル   24.6倍
11番人気 トリニティチャーチ 30.5倍
12番人気 ダイナミックグロウ 33.5倍

単勝ひと桁台が実に6頭。最低人気でも33.5倍となるオッズは珍しい。3連単の1番人気は、単勝上位順の組み合わせで48.1倍。14番人気から万馬券になるという好配必至のオッズ。 どんなペースになるのか?どの馬が逃げるのか?注目されたスタートは、ややバラついた。オーケストラピットが前走のように立ち後れてしまう。バレーナボスも後手に回るが、これはいつものこと。ニシノイーグルも例によって後方となった。ダッシュを利かせて先行争いを演じたのはダイナミックグロウ、サウスウインド、エーシンクリアーの3頭。結局ダイナミックグロウが抜け出してハナを奪う。エーシンクリアーが2番手になったところでトーコーニーケが外から並びかけて3番手。サウスウインドは4番に控えた。ホクセツサンデーが5番手。真後ろにアクロマティックが付けて脚をためる。中団外目をメイショウヨウコウとトリニティチャーチ。末脚に賭ける後方勢はアランロド、バレーナボス、オーケストラピットが並ぶ。その後ろにニシノイーグルがいつものように最後方から。

淀みなくレースは流れて行く。58kgという斤量を意識してか、向正面でやや手を動かして先頭に並びかけるエーシンクリアーの大山騎手。それを見ながら大柿騎手のサウスウインドは一旦呼吸を置いて前の動向を伺う。その間にラチ沿いを押して上がって行ったのがアクロマティックの下原騎手。オープン連勝は1400mで、距離が心配される中での早めの進出で勝負に出る。逃げていたダイナミックグロウは苦しくなって後退。エーシンクリアーが先頭に立とうとするところへサウスウインドが良い手応えで並びかけ先頭を奪って行く。そこへ接近するアクロマティック。勝負はこの3頭に絞られた。先頭に立ったサウスウインドにしぶとく食い下がるエーシンクリアー。その外に持ち出したアクロマティックがグングン迫る。あれだけ早めの進出にもかかわらず、連勝したときのような末脚を発揮するアクロマティック。先に抜け出した2頭は、切れ味よりも平均的に脚を使うタイプ。決め手を要求されると苦しい。その決め手の差で、外からアクロマティックが差し切って、大混戦に終止符を打った。しぶとさ比べになった2着争いは、58kgながら力を示したエーシンクリアー。サウスウインドは一旦先頭の場面がありながら3着に敗れた。大混戦だったが、終わってみればこの3頭が4着以下に6馬身もの差を付けていた。ハンデも上位の3頭で、順当な結果と言える。ただ、3連単の配当は2万3620円もつく好配当となった。馬券は難しい…。4着には4年連続連対を狙ったニシノイーグルが食い込んだ。5着にバレーナボス。復活が期待されたホクセツサンデーは11着と大敗した。

さすがリーディングトレーナーの手腕。距離不安も一掃する見事な勝利。「1700mでもいいレースをしていましたし、内ラチ沿いを回れば走る馬ですし心配はしてませんでしたね」と飄々と語る新子調教師には、既に風格さえ感じられた。それにしても下原騎手も上手く乗った。ロスなく内ラチ沿いを忍者のごとく前へと押し上げた。そして外に持ち出し鮮やかに決めてみせた。新子師は、昨年掲げていたリーディングの座を有言実行で掴み獲った。最初は意識していなかった年間100勝という偉業も、こだわりを見せて掴みに行った。結果、12月は15勝するという大攻勢に繋がった。新年を迎えて行われた大観衆が見守る『新春賞』は、伏兵視される出走馬で鮮やかな勝利を挙げ、その名を知らしめた。アクロマティックとは、何にも染まらないという意味だそうだが、いまの園田は新子師の思い描く通りに染め上げられている。園田競馬を大きく変える、ニューリーダーが誕生したのではないか。

レース結果

第57回 新春賞(勝ち馬:エーシンスパイシー)

新春賞写真

レース概要

新春恒例の伝統の一戦『新春賞』は、ハンデ戦らしく大混戦。結果は7番人気のエーシンスパイシーが見事に勝利!鞍上の松浦聡志騎手、管理する橋本忠明調教師にとっも初の重賞タイトル獲得となったのです。
昨年の12月4日に行われた『園田金盃』の再戦メンバー。そうなれば当然上位各馬は有力候補となるが、今回との斤量差が微妙に影響すると思われ難解にさせる。
園田金盃との斤量比較
※着順は園田金盃でのもの。2着は同着

1着 トーコーニーケ 54kg⇒55.5kg
2着 ハルイチバン  56kg⇒58kg
2着 ラヴフェアリー 54kg⇒55kg
4着 シルクシンフォニー 54kg⇒54kg
5着 ニシノイーグル 56kg⇒55.5kg
6着 ブルースイショウ 56kg⇒54kg
7着 トーコーガイア 56kg⇒56kg
9着 トーコーポセイドン 56kg⇒55kg

1番人気に支持されたのは『園田金盃』でも1番人気だったハルイチバン。トップハンデでも、これまで17戦連続3着以内を確保している安定感は強みで、大きく崩れないだろうと誰もが思う。しかし、競馬 は分からないもの。まさか、まさかの出遅れで、最後方からとなってしまうのだから。人気はトーコーニーケ。重賞連勝を狙う強豪牝馬。前回は逃げの手に出たが、今回は控える形で3番手からのレース。3番 人気トーコーガイアはいつもより前でレースを進める6番手。その後ろに4番人気のラヴフェアリーが続く。5番人気でこのレース2連覇中のニシノイーグルは後ろから3頭目で脚をためる。ロケットスタート を決めたは11番人気のクリノチョモラーリ。最軽量を活かす気風の良い大逃げ。離された2番手に2ヶ月ぶりのレースとなるエーシンスパイシー。向正面でスタートを切られたレースは、正面を一旦通過して も縦長の展開のまま進んで行く。向正面に再び入り、仕掛けだす各馬。エーシンクリアーが動きだし、トーコーガイアにもムチが入る。ラヴフェアリーも連れて進出を開始。ニシノイーグルもポジションを上げ て来る。その間にも、まだハルイチバンは最後方。3コーナーでクリノチョモラーリが失速して大きく後退。エーシンスパイシーが押し出される形で、4コーナーを先頭で迎える。トーコーニーケが2番手に上 がるが思いのほか伸び脚がない。ニシノイーグルが一気の脚で3番手の外まで迫って、これに並ぶようにしてエーシンクリアーも追い上げる。直線でまだ余力のあったエーシンスパイシーが突き放す。それをニ シノイーグル、エーシンクリアーが猛追。トーコーニーケはこの争いから脱落。ハルイチバンがようやく4番手グループまで追い上げるが万事休す。一瞬は勢いからニシノイーグルの3連覇かと思わせたが、内 でしっかり粘ったエーシンスパイシーが押切り。人馬ともに重賞初勝利となったのです。ニシノイーグルは3連覇こそ逃したものの3年連続このレースで連対するのだから立派。”ミスター新春賞”といったと ころか。3着は6番人気のエーシンクリアーが食い込み、ハルイチバンは最後はよく追い上げたものの、結局4着に終わって、連続3着以内は途切れてしまった。伸びを欠いたトーコーニーケは6着。トーコー ガイアはいいところなく8着に敗れた。3連単は27万9970円の配当で、園田競馬の重賞戦線は、大波乱の幕開けとなったのでした。勝ったエーシンスパイシーは通算12勝目。かつて下級条件から8連勝し ていた素質馬。準オープンのA2クラスではややもたついたがその後にA2、A1と連勝してオープンまで駆け上がった。初の重賞挑戦となった『兵庫クイーンカップ』では、2番人気に支持され注目を集めた。 しかしスタート前に突進してしまい、精神的に影響を及ぼしたか、粘りを欠いて4着になっていた。重賞級の力は十分備わっていたわけで、好走したのは当然の結果と言える。今回は2ヶ月ぶりのレースという こともあって、人気の盲点になっていたのかも…。レース後、既に馬上で泣きじゃくっていた松浦聡志騎手に、待ち構えていた橋本忠明調教師も思わず感極まり、お互い泣きながら抱き合って喜びを分かち合った のでした。デビューから18年。「騎手を続けて来て、ホントに良かったです」と表彰台では笑顔で喜びを語った松浦聡志騎手。これからさらなる活躍を期待するとの問いには「ぼちぼちやりますわ(笑)」と涙は 完全に消え、いつものお調子者が顔を出していた。

昨年の結果

第56回 新春賞(勝ち馬:ニシノイーグル)

レース概要

トップハンデ58.5kgのホクセツサンデーが1番人気に支持されるも、ハンデが堪えたのか伸びを欠いて5着に敗れる。2番人気で明け4歳馬、古馬重賞初挑戦のエーシンクリアーも道中見せ場もなく8着と完敗 …。スタートで後手に回ったエリモアラルマがいつの間にか内を突いて、勝負どころの2週目3コーナーで2番手まで進出。直線で逃げるダイナミックグロウを捉えて先頭に立つが、その瞬間最後方からレース を進めた昨年の覇者ニシノイーグルが差し切る。見事な末脚で、鮮やかに連覇達成。3連単は13万馬券