未来優駿シリーズ

第10回兵庫若駒賞(重賞Ⅰ)

レース結果

第9回 兵庫若駒賞(勝ち馬:ナチュラリー)

第9回 兵庫若駒賞写真

レース概要

10月27日、2歳重賞『兵庫若駒賞』が行われ、デビューから2戦未勝利だったナチュラリーが優勝。初勝利が重賞制覇という、兵庫県競馬にサラブレッドが導入されて以来初の快挙を成し遂げた。管理する新子調教師は、2歳重賞は初制覇で、通算13個目のタイトル獲得。騎乗した下原騎手は同レース7年ぶり3度目の制覇、通算では44勝目の重賞勝ちとなった。 有力馬のナンネッタ、ブレイヴコールの回避で、一転小粒なメンバー構成となった今年の『兵庫若駒賞』。そんな中、人気を集めたのがホッカイドウ競馬から移籍初戦を快勝した3勝馬のスターレーン。そのとき2着だった1勝馬のキューティハーバーの2頭だった。3、4、5番人気はいずれも未勝利馬で、手薄なメンバーを物語る人気となった。

人気薄のキョショウとコパノアーデンが競り合い、速い流れを作る。その後ろにナチュラリーが続き、スターレーンがその直後。いつものようにスタートで後手に回ったキューティハーバーは中団から競馬となった。人気各馬にとっては絶好の流れとなったが、最初に動きを見せたのはナチュラリーだった。3コーナーのカーブ付近で前の2頭に並びかけると、そのまま先頭立って4コーナーを迎える。「(先頭に立つのが)ちょっと速かったかなぁ」と鞍上の下原騎手は思ったそうだが、それを直後で見ていたスターレーンの田中騎手は勝機を感じたことだろう。このときさらに後ろにいたキューティハーバーは、素早く反応できず、一旦置かれてしまう。替わってセカンドインパクトが追い上げて3番手に上がる。直線に向いてもしぶとく粘るナチュラリー。外から懸命に並びかけるスターレーンだが、なかなか差が詰まらない。内側からセカンドインパクト詰め寄り、3頭の争いに。ようやく捉えたかに見えたゴール前では、ナチュラリーがハナ差でスターレーンの追撃を凌いでいた。さらに半馬身差でセカンドインパクトが3着。キューティハーバーは4着に敗れた。

未勝利馬による重賞制覇は、兵庫県競馬にサラブレッドが導入された1999年以降初めての快挙。アラブ時代を通じても初めての可能性が濃いと思われる。未勝利馬が優勝した背景には、有力視されていた馬の回避も大きな要因のひとつだが、兵庫県競馬組合の番組体系も大きな要因だ。2歳戦は賞金でクラスを(一組、二組、三組…)区切ってしまうため、入着賞金だけで一組に編入されることがある。今回しんがり負けを喫したキョショウは1勝馬。道営でデビューし移籍直前のレースで3着した以外は、ほとんどしんがり負けという成績。それが前走で兵庫の2歳三組(この時点での最下級)に編入され、あっさり勝利を手にしていた。もし、ナチュラリーが同じレースに同じ未勝利馬として出走していたら、おそらく楽勝していたことだろう。兵庫県の競馬では、2歳未勝利戦は組まれず、賞金を稼いでいる未勝利馬は、一番強いクラスで闘わざるを得ない。これではなかなか勝つのも難しくなり、未勝利のまま重賞を迎えることも不思議ではなくなる。強いメンバーと闘っていくうち、徐々に力を付け、遂に勝利を手にする瞬間がやって来る。それが重賞であってもなんら不思議ではない。必然と言っていい事象で、このままの番組体系なら、また起こりうることだろうと思う。ただ、やっぱり改善してもらいたい。実際、賞金獲得額で言えば、このレース前の時点で、キョショウは54万5000円(内、道営で4万5000円)で、ナチュラリーは44万円だった。2歳時はクラス分けなどせず、強い馬が勝ち上がるレース体系を作ってもらいたい。未勝利戦というふるいにかけて、強い馬を抽出して欲しい。今も実力がありながら埋もれている未勝利馬がいるのだから。

レース結果

第8回 兵庫若駒賞(勝ち馬:マイタイザン)

第8回 兵庫若駒賞写真

レース概要

2歳重賞第二弾『兵庫若駒賞』が10月29日に行われ、1番人気に支持されたマイタイザンが2番手から抜け出して快勝。デビューから4連勝で重賞タイトルを射止めた。鞍上の杉浦健太騎手は、デビューから5年6ヶ月で嬉しい重賞初制覇。管理する新井隆太(たかひろ)調教師にとっても、開業3年で初のタイトルゲットとなった。

新馬戦の820mから、2戦目の1400m、3戦目の1700mとそれぞれ違う距離をいずれも逃げったマイタイザン。道中のペースの違いに戸惑うことなく、折り合いもスムーズで完成度の高さを感じさせる。当然1番人気に支持されることになった。2番人気のウメマツサクラは2走前にマイタイザンに敗れている。3番人気のエイシンシンタも前走で後塵を拝している。つまり勝負付けが済んだと思われているが、成長伸びやかな2歳馬のこと、各陣営も逆転を狙う。初対戦となるのは、道営出身の移籍初戦リラフェスタ(4番人気)。未勝利ながら、レベルの高い道営で2着回、3着2回の成績を挙げていて不気味な存在。JRAから移籍後3戦目のキサナドゥー(5番人気)は、移籍初戦は3着と敗れたが、良い脚は披露していた。前走はキッチリ勝って上昇ムードで臨む。好スタートを切ったのはエイシンシン。前走ではマイタイザンを前に見る形でレースを進めたが、今回は逃げの手で勝機を見出す作戦。すんなり控えたマイタイザンが2番手に取り付く格好となった。スマイルプロバイド(6番人気)が3番手折り合いを付ける。スタートで躓いたウメマツサクラは、すぐさま立て直して4番手の位置。リラフェスタが5番手、キサナドゥーは8番手で末脚に賭ける。かなり早い段階から手綱を動かし、追っ付て行くエイシンシンタの大山騎手。それをから余裕の手応えで並んでいくマイタイザンの杉浦騎手。この時点で2頭の勝負は決着がついた。あとは後ろから何が来るか。3コーナーからしきりに後ろを気にする、初重賞制覇を狙う杉浦騎手。その後ろのには重賞を100勝以上もしている大ベテラン川原正一騎手のウメマツサクラが迫っていた。馬体を併せられてから追い出したのでは勢いで負けてしまう。十分に相手との間隔を確認しながら、タイミングを計って追い出す杉浦騎手。展開的にはウメマツが有利だったが、追い上げても差が詰まらない。結局のところ底力が違った。最後は1馬身差も、鞍上が左手を大きく挙げられるほど余裕を持ってマイタイザンが人気に応えて勝利。マイタイザン、鞍上、調教師すべてが初の重賞制覇となった。3着に、末脚を活かしたキサナドゥーが食い込み、スマイルプロバイドがしぶとく4着。逃げたエイシンシンタは5着に敗れた。リラフェスタは6着。

レベルの高い道営出身といえども、未勝利馬に兵庫県の有力馬が負けるはずはなかった。表彰式の壇上、初重賞の新井調教師、杉浦調教師には涙などなく、笑顔満開だった。表彰後にその訳を訊いてみると、新井師は「次があるからね~、泣いてられへん。もっと大きいところを獲ったら泣くかも知れんけどね」とはにかみながら答えてくれた。次走はJRAや他地区から強豪集う『兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅡ)』(11月25日・園田1400m)。ここで勝てば、涙を見せないはずはない。うん、涙が見たい!

昨年の結果

第7回 兵庫若駒賞(勝ち馬:トーコーヴィーナス)

第7回 兵庫若駒賞

レース概要

2歳の重賞第2弾は牡馬も参戦できる『兵庫若駒賞』。しかし、今年は牝馬だけの9頭で争われることになりました。断然人気(単勝1.1倍)に支持されたトーコーヴィーナス(牝2・吉行厩舎)が 楽勝して、デビューからの連勝を「5」に伸ばしました。戦前からトーコーヴィーナス一色。対抗格と目されていたショウリが金沢に移籍。フセノダイヤは前走快勝後に蹄骨を骨折して戦線離脱。 ただ、この2頭もトーコーヴィーナスには完敗しており、出走していても1強ムードには変わりなかったでしょう。

レースはスタートを決めてトーコーヴィーナス(木村騎手)がハナに立った時点で、勝負は決していたようなもの。対戦メンバーから見ると格上となる相手に競りかけることなどできず、 手も足も出ない。向正面で各馬が動き出し、騎手たちも激しく躍動する。それでも涼しい表情のヴィーナスと木村騎手。

そんな2番手集団から抜け出してきたのは2番人気のポムショコラ(川原騎手)。4コーナーで大外から勢いをもって先頭に並びかけて来る。それをチラッと見た木村騎手がすぐさま反応して 突き放しかかる。後続が来ればまた伸びると言った感じで、馬は余裕で遊んで走っているように思わせる。実際木村騎手も「50%ぐらいじゃないですかね」と言うほど、 スパーリングのようなレースぶり。結果は1馬身半差でも、着差以上の強さであるというのは明白。

2着のポムショコラも3着馬には7馬身の差を付けているように、水準以上の能力を示してはいます。それでも格の違いは歴然でした。管理する吉行調教師は「馬が(スピードを上げて)行かない んもね。やめてしまう。もっと前で速い馬が引っ張ってくれないと行こうとしない。だから強い馬とやる方がレースはしやすくなると思う」と振り返り、 次走となる『兵庫ジュニアグランプリ(JpnⅢ)』への期待を含ませました。牝馬牡馬問わず、間違いなく兵庫2歳No.1で、あとは全国に打って出るだけ。『兵庫JG』のあとは、 年末に大井競馬場で行われる『東京2歳優駿牝馬』を目指して調整されます。今後もますます力を付けて、全国でも暴れまわって欲しい。

今年の3歳の”吉行トーコー軍団”は豊作でニーケ、ガイア、ポセイドンの3頭で重賞9勝と荒稼ぎ。しかし「それ以上の器」と師が言うほど惚れ込んでいるヴィーナス。  園田競馬の関係者として、ワクワクせずにはいられません。そんな中、この快勝劇を鋭い視線で見つめる男が…。田中範雄調教師がその人。

500kgを優に超える雄大な馬体。浦河の育成牧場の坂路でビシビシ鍛えられ、好時計を連発してる馬が遂に園田に入厩。プリサイスエンド産駒のダイリンエンド。 「トーコーヴィーナスを倒すためにやって来たんですから」リーディングトレーナーの並々ならぬ闘志に気圧されながらも、またもワクワクが止まらなくなってきた。