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2023 新春賞 レポート

2023年01月03日(火)

 

◆重賞『第65回新春賞』(園田1870m) ◆

 

1986年以降40年近くにわたり毎年1/3に行われている新春恒例のハンデ重賞「新春賞」。

2017年の初制覇を皮切りに2019年から4連覇、新春賞5勝の“ミスター新春賞”エイシンニシパによる明け10歳での5連覇に期待が集まったが、年末に故障し出走回避。

また、兵庫大賞典ではジンギとクビ差の激闘を演じ、摂津盃で重賞初制覇を果たしていたシェダルも蹄骨の骨折で引退が決まった。

そんな中、虎視眈々と重賞制覇を目論む11頭が顔を揃えた。

 

 

 

 

 

1番人気は、単勝2.7倍でタガノウィリアム。トップハンデの56.5kg。昨年の姫山菊花賞は得意の逃げに持ち込むと、僚馬のラッキードリームには差されたがジンギを抑えて2着に粘った。前走の園田金盃は4着も好位に控える競馬で一定の結果を残し、今回同型は揃ったが重賞初制覇のチャンスと見られた。下原理騎手とは初コンビを組む。

 

2番人気は、単勝3.2倍のクリノメガミエース。最軽量の52kg。昨年3歳時に笠松のぎふ清流カップで重賞初制覇を遂げると、秋には楠賞を追い込んで3着、園田金盃は大逃げで3着と、変幻自在のレースぶりで好走を続けた。今回も金沢・吉原寛人騎手(現在高知で短期騎乗中)を背に、どんな戦法を取るかにも注目が集まった。

 

3番人気は、単勝5.5倍のアキュートガール。クリノ同様、明け4歳牝馬で最軽量の52kg。JRA新馬勝ちの後、1勝クラスで低迷して兵庫に移籍。移籍後B1からA2まで4連勝を飾って今回重賞初挑戦となった。下原騎手がタガノ騎乗で、こちらは笹田知宏騎手と初コンビ。

 

4番人気は、エイシンアンヴァルで単勝5.9倍。ハンデは54kg。抑えて折り合いを欠くレースが続いていたが、3走前に抑えずマイペースを逃げを打つと快勝。ここ2走は大逃げでA2を連勝し、3連勝で重賞初挑戦となった。

 

上位は4頭で人気が少し割れ、やや離れた5番人気に単勝13.9倍で末脚自慢の11歳馬エイシンナセルが続いた。

 

 

 

 

 

スタートは横一線。そこからタガノウィリアムが押して先頭に立ち、アキュートガールが2番手。レース序盤で早くも新子勢は2頭で前を固める理想的な展開に持ち込んだ。大逃げで連勝してきたエイシンアンヴァルは折り合い重視でそれほど出してはいかずに3番手。クリノメガミエースは中団に抑え、エイシンナセルは後方3番手で脚を溜めた。

 

1~2コーナーでコスモバレットが内からスルスルと3番手へ上がり、2周目向正面で早くもエイシンアンヴァルが後退した以外は大きな動きもなく3コーナーを迎えた。
残り400mで、逃げるタガノウィリアムを外からアキュートガールが抜いて先頭に立っていくと、ぽっかり空いた内を通って一気にエイシンナセルが差を詰め、アキュートガールに内から並んで直線へ。

 

直線は2頭の叩き合いになったが、最軽量52kgの分もあって伸びが勝ったアキュートガールが勝利。JRAから転入後5連勝での初重賞制覇となった。

新春賞5連覇を狙った吉村智洋騎手と11歳馬エイシンナセルのコンビは、3~4角インまくりで場内を沸かせたが2着。

3着は接戦となったがクリノメガミエースが上がり、コスモバレットが4着と石橋勢2騎が続いた。

いいペースに持ち込んだかに見えたタガノウィリアムは馬群に呑まれてしまい10着だった。

 

 

上位3頭は1番人気→2番人気→6番人気の決着で、三連単は2,540円。

 

 

 

アキュートガールは、重賞初挑戦で初制覇。JRAから転入後無傷の5連勝で初タイトルをゲット。

 

<獲得タイトル>

2023 新春賞

 

 

 

笹田知宏騎手は昨年の兵庫ダービー(バウチェイサー)以来となる重賞10勝目。
新春賞は初制覇。

 

 

 

新子雅司厩舎は、昨年園田金盃(ラッキードリーム)に続く重賞53勝目。
新春賞は2016年アクロマティック以来となる2勝目。

 

 

 

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)

 

 

 

◆出走馬

 

 

1 クリノメガミエース (石橋満) 吉原寛人騎手 52kg 2番人気

 

2 タガノウィリアム (新子雅司) 下原理騎手 56.5kg 1番人気

 

3 クレモナ (長倉功) 井上幹太騎手 52kg 8番人気

 

4 エイシンナセル (北野真弘) 吉村智洋騎手 55kg 5番人気

 

5 メイプルブラザー (大山寿文) 永井孝典騎手 54kg 9番人気

 

6 コスモバレット (石橋満) 田中学騎手 55kg 7番人気

 

  

7 アワジノサクラ (北野真弘) 廣瀬航騎手 54kg 10番人気

 

8 ケンジーフェイス (中塚猛) 田野豊三騎手 54kg 6番人気

 

9 アキュートガール (新子雅司) 笹田知宏騎手 52kg 3番人気

 

10 エイシンダンシャク (坂本和也) 大山龍太郎騎手 55kg 11番人気

 

11 エイシンアンヴァル (森澤友貴) 川原正一騎手 54kg 4番人気

 

 

 

 

 

◆レース

 

年末年始開催はずっとお天気に恵まれ、気温も10℃とこの時期としては過ごしやすい気候。

年末から続く、内2~3頭分を空けながらレースをするシーンは変わらないが、勝負所で敢えて内を使って進出する馬も出始めていた。

 

【スタート】 スタートは大きな出遅れなく横一線。10エイシンダンシャクが好スタートを決めた。

 

【1周目向正面】 一旦は9アキュートガールが押し出されるように先頭に立ちかけたが、2タガノウィリアムがスタートから200mでハナを奪う。1クリノメガミエースも一旦は前の争いに加わりかけたが外が積極的に行くのを見ると抑えた。11エイシンアンヴァルは3番手外で折り合いに専念。

 

【1周目スタンド前①】 好スタートの10エイシンダンシャクも好位に控え、逃げ先行馬が揃った割には落ち着いた展開に。6コスモバレットよりも後ろの中団まで1クリノメガミエースは控える展開。3クレモナ、5メイプルブラザーと続き、4エイシンナセルは後方3番手。8ケンジーフェイス、7アワジノサクラという並びになった。

 

【1周目スタンド前②】 新子勢2頭が前を固める理想的な形に持ち込んでゴール板前を通過。あと1周。

 

【2コーナー~向正面】 6コスモバレットが1~2角で内からスルスルと3番手まで浮上した。馬群全長は10馬身くらい。

 

【向正面~3コーナー】 2タガノウィリアムと9アキュートガールが徐々にペースを上げていく。好位にいた11エイシンアンヴァルが後退し、代わって4エイシンナセルが3~4コーナーでインから一気に上昇を見せる。

 

【4コーナー~最後の直線】 残り400mで先頭に立った9アキュートガールに、内から4エイシンナセルが並びかけて直線へ。2タガノウィリアムは後退し、3着争いは6コスモバレット、1クリノメガミエースの追い比べに、外から8ケンジーフェイスも迫ってくる。

 

【最後の直線①】 外は4歳牝馬の9アキュートガール、内は11歳牡馬の4エイシンナセル。後続を離しながらの猛烈な追い比べ。

 

【最後の直線②】 最軽量52kgの斤量もあり、伸びが勝った9アキュートガール。

 

【最後の直線③】 残り50mからぐいっぐいっと前に出た9アキュートガール。4エイシンナセルの後ろは7馬身ちぎれた。

 

【ゴールイン】9アキュートガールが1馬身差で優勝。兵庫移籍後5連勝で重賞初制覇を果たした。2着には4エイシンナセル、明け11歳馬が激走した。3着争いは1クリノメガミエースが同じ石橋厩舎の6コスモバレットとの争いをハナ差だけ制した。

 

 

 

 

 

 

新春賞を明け4歳牝馬が勝つのは史上初。52kgの軽量ハンデだったとはいえ、A2を勝ち上がったばかりで重賞初制覇を成し遂げるのだから非凡な能力の持ち主と言えるだろう。

 

管理する新子師は、転入当初の印象を「怖がりな牝馬」と話していたが、連勝街道を歩むうちに少しずつその面も解消されていく中での大一番だった。

 

「レース前に先生から揉まれない方が良いと聞いていたのでスタートだけ気を付けて出していきました。内からタガノウィリアムが見えたのでそれを先行させて、自分の形に持ち込むことだけに集中した」と笹田騎手。

その言葉の通り理想的な2番手でレースを進め、「すんなり折り合いもついてくれた。ずっと気分よく終始リラックスして走ってくれていた」と不安面を出させない展開に持ち込んだ笹田騎手の手腕もさすが。

 

残り400mで厩舎の先輩タガノウィリアムを楽に抜いて先頭に立ち、後ろを警戒しながら追い出しのタイミングを計る中で、一気にインから吉村騎手とエイシンナセルが急接近。

「今の馬場になって、内外両方から来るので気を付けてはいた。死角を突かれた形にはなったが、エンジンかけた時にすんなり反応してくれた」という言葉の通り、先頭を譲らないまま直線の追い比べを制した。

 

 

 

笹田知宏騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

 

 

 

スタート地点に赴いていたという新子師は「先頭と2番手を走っているのが見えて、これならどっちかは勝つなと思った。56kgでも勝ってきた馬なので、52kgは軽かったね」と安心してレースを見られたようだった。

 

新子師はこの勝利で、兵庫県競馬の重賞勝利記録の単独3位になった。

1 曾和直榮  66勝
2 田中範雄  58勝  ※現役
3 新子雅司  53勝  ※現役
4 橋本忠男  52勝
5 橋本忠明  40勝  ※現役

 

「今年中には田中範雄先生を抜きたいね」と話した新子師は、年始開催を終えて、地方通算996勝。大台の1000勝も近づいている。

 

兵庫県競馬における1000勝調教師は過去11名いるが、最年少記録(49歳3ヶ月2日)と最速記録(18年6ヶ月19日)を共に森澤憲一郎元調教師が持つ。

新子師は現在44歳10ヶ月、開業から約10年7ヶ月ということで、大幅に記録を更新しての達成となることが濃厚となっている。

 

「早く勝ちたいけど、来週はそんなに使う馬にいないので姫路かな」、金字塔まであと4勝だ。

 

 

 

 

アキュートガールの父は、G1レース3勝のワンダーアキュート。父としてはこれまで目立った活躍馬を出せないでいたが、産駒3世代目にしてアキュートガールが産駒初の重賞ホースとなった。

 

今後のアキュートガールのローテーションについては未定とのこと。

夏のグランダムシリーズなどを他地区への遠征を考えると、「もっと賞金を稼がないとなかなか選んでもらえない」(新子師) とこれから最適な番組を探していくことになる。

 

 

 

兵庫における古馬牝馬重賞は、夏の「兵庫サマークイーン賞」と秋の「兵庫クイーンカップ」の2つ。しかし、この2年は両方とも他地区の馬に優勝をさらわれ、悔しい思いをした。

兵庫県は牝馬の層が薄い・・・そんな状況が近年続いていたが、そこに誕生した牡馬混合重賞の優勝馬アキュートガール。

古馬の牡馬混合重賞を兵庫の牝馬が勝つのは、2019年園田FCスプリントのタガノカピート以来。中距離戦線においては2015年園田金盃のエーシンサルサ以来7年ぶりのことだった。

 

来年からは、大井で行われているJpn3「TCK女王盃」が「兵庫女王盃」と名前を変えて、4月に園田競馬場で行われることが発表されている。兵庫初の牝馬ダートグレードが盛り上がるためにも、地元馬の活躍は必要不可欠。

それだけにこのアキュートガールの出現は嬉しいことだ。3着クリノメガミエースと共に4歳牝馬、まだ伸びしろもある年代の活躍がさらに楽しみになってきた。

 

 

 

 

 

写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと

2022 園田ジュニアカップ レポート

2022年12月31日(土)

 

 

◆重賞『第51回園田ジュニアカップ』(園田1700m)◆

 

来年の3歳クラシックに向けての登竜門となる重賞「園田ジュニアカップ」。今年は、兵庫若駒賞と園田プリンセスカップを勝った重賞ホースだけではなく、11月デビューの無敗馬2頭も参戦して、高いレベルで混戦ムードとなった。

 

 

(12ジョイブラックに騎乗予定だった田村直也騎手は、落馬負傷のため佐々木世麗騎手に変更となった。)

 

 

 

1番人気の支持を集めたのは、スマイルミーシャで単勝1.8倍。デビューから3戦3勝。前走は初の1700m戦で出遅れる不利がありながら5馬身差の圧勝。中1週とローテーションは詰まっているが、前走のハイパフォーマンスで支持を集めた。

 

2番人気はヒメツルイチモンジで単勝3.3倍。前走初めて1700m戦に出走も、出遅れて控える形。しかし、向正面で一気に先頭に立って勝負を決め、エンジンの違いを見せつける形となった。デビュー2戦2勝とこちらも無敗。

 

3番人気は、単勝3.9倍のベラジオソノダラブ。デビュー3連勝で兵庫若駒賞を制し、今年の2歳戦の主役に躍り出たが、前走初めての1700m戦で道中折り合いを欠いて3着、初黒星。ただ、他馬より重い57kgを背負っていたこともあり、今回巻き返しが期待された。

 

4番人気(単勝14.9倍)は、夏の新設レース兵庫ジュベナイルカップを勝ったアルザード。5番人気(単勝28.0倍)は、園田プリンセスカップの優勝馬アドワン。

 

 

 

 

大晦日の大一番は4000人以上のファンが詰めかける中、良馬場で行われた。

 

スタートは、いきなりヒメツルイチモンジが2馬身出遅れてしまう波乱。

逃げたのはアルザードでその後ろにアズグレーターがポジションを取った。好位にスマイルミーシャで、そのすぐ後ろにベラジオソノダラブ。ヒメツルイチモンジは最後方を追走。

 

スローペースに落ちた1周目スタンド前で今回もやや行きたがったベラジオソノダラブが3番手まで上がり、スマイルミーシャと位置が入れ替わった。

2周目向正面からペースが上がると、残り400m標識でベラジオソノダラブが先頭へ。しかし、エンジンがかかったスマイルミーシャが一気に外からまくって1馬身抜けて直線に向いた。

 

スマイルミーシャがそのまま突き放す勢いだったが、ここからベラジオソノダラブも差し返して、直線は後続を離した2頭の追い比べに。

最後はスマイルミーシャがクビ差ベラジオソノダラブを抑えて優勝。4戦4勝での重賞制覇となった。2着はベラジオソノダラブ。ここから8馬身離されたが、ヒメツルイチモンジが直線だけで一気に追い上げて3着に入り、力の片鱗は見せた。

 

なお、牝馬の勝利は2002年のハヤセスイグン以来、20年ぶりのこと。

 

上位3頭は1番人気→3番人気→2番人気の決着で、三連単は1,100円。

 

 

 

スマイルミーシャは、重賞初挑戦で初制覇。4戦4勝、無敗の2歳チャンピオンとなった。

無敗での園田ジュニアカップ優勝は、2年連続6頭目(サラブレッド導入以降)。
(過去に21ガリバーストーム、16マジックカーペット、14インディウム、11ポアゾンブラック、10オオエライジン)

 

<獲得タイトル>
2022 園田ジュニアカップ

 

 

吉村智洋騎手は重賞41勝目。
12/18のフォーマルハウト賞(佐賀)に続き、今年重賞8勝目。
園田ジュニアカップ優勝は3年ぶり2度目。

 

 


飯田良弘厩舎は重賞3勝目。2018年兵庫クイーンカップ(ナナヨンハーバー)以来4年ぶりの重賞制覇。
園田ジュニアカップ優勝は初。
「スマイル」の冠で知られる松野真一オーナーとのコンビでは、2016年園田クイーンセレクションをスマイルプロバイドで制して以来のタイトル奪取となった。

 

 

 

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)

 

 

 

◆出走馬

 

1 シヴァシン (山口浩幸) 松木大地騎手 11番人気

 

2 ヒメツルイチモンジ (新子雅司) 下原理騎手 2番人気

 

3 サインポール (南弘樹) 鴨宮祥行騎手 10番人気

4 アルザード (北野真弘) 廣瀬航騎手 4番人気

 

 

5 ピーチクパーチク (南弘樹) 笹田知宏騎手 8番人気

 

6 ベラジオソノダラブ (坂本和也) 田中学騎手 3番人気

 

7 アズグレーター (田中範雄) 杉浦健太騎手 6番人気

 

8 ムーンローバー (田中一巧) 大山真吾騎手 9番人気

 

9 アドワン (土屋洋之) 田野豊三騎手 5番人気

 

10 チェリースクワート (保利良次) 井上幹太騎手 12番人気

 

11 スマイルミーシャ (飯田良弘) 吉村智洋騎手 1番人気

 

12 ジョイブラック (高本友芳) 佐々木世麗騎手 7番人気

 

 

 

 

 

 

 

 

◆レース

年末開催の直前に馬場全周内側に砂の補充があった影響で、砂の深い馬場内側を2~3頭分空けながらのレースが目立つ3日間となっていた。

 

 

【スタート】 4アルザードが抜群のスタートを決めた一方、10チェリースクワートと2ヒメツルイチモンジが出遅れた。

 

【1周目3コーナー】 好スタートの4アルザードがハナを奪い、2番手に7アズグレーター。これを見る形で、5ピーチクパーチクと11スマイルミーシャが3番手で続いた。その後ろ5番手に6ベラジオソノダラブ。9アドワンが中団で、3サインポールと12ジョイブラックが差しに構えた。

 

【1周目スタンド前】 後方勢は1シヴァシン、8ムーンローバー。出遅れた10チェリースクワートと2ヒメツルイチモンジは最後方からレースを進めた。スタンド前でやや行きたがりながら6ベラジオソノダラブが外から3番手へ。

 

 

【2周目2コーナー~向正面】 馬群全長10馬身圏内で、スタンド前から2コーナーにかけてペースは落ち着いた。

 

【2周目3コーナー】 向正面入口からペースが上がると、前4頭が後続を離していく。2ヒメツルイチモンジもなかなか動いていけず、まだ後方3番手。

 

【2周目4コーナー】 4アルザードが苦しくなって、7アズグレーターが3コーナー入口でわずかに先頭に替わったものの、6ベラジオソノダラブが残り400m標識で外から先頭に並ぶ。さらに外から11スマイルミーシャが一気にマクって直線に向くところでは1馬身リードを取った。

 

【最後の直線①】 4コーナーの勢いでは11スマイルミーシャが突き放すかに思われたが、内で6ベラジオソノダラブも抵抗を見せてマッチレースに。

 

【最後の直線②】 後続を突き放しながら、外11スマイルミーシャ、内6ベラジオソノダラブの追い比べが続く。

 

【最後の直線③】 牝馬と牡馬、2頭の追い比べは始終11スマイルミーシャが優勢。8馬身後方の3着争いに一気に2ヒメツルイチモンジが加わる。

 

【ゴールイン】 クビ差で11スマイルミーシャが優勝のゴールイン。4戦4勝、無敗の2歳チャンピオンが誕生した。牝馬の優勝は20年ぶり。2着に6ベラジオソノダラブ。8馬身差の3着に2ヒメツルイチモンジ。さらに追い込んだ8ムーンローバーが4着で、7アズグレーターが5着。

 

 

 

 

中1週という強行軍だったが、「前回と変わらずすごい良い状態だった」と吉村騎手。

「今週始まる前に内側に砂が入ったことによって、“絶好の外枠”という感じだったので楽に競馬することができました。ずっと手応えは良かったですし、いつでもGOサイン出せば行くなという感じはありました」という言葉の通り、好位の外を楽に追走していた。

4コーナーで一気に先頭に立ち、そのまま快勝するかに思われたが最後はマッチレース。

「相手(ベラジオソノダラブ)もしぶとく根性で盛り返してきたので、なんとか凌いでくれという気持ちでしたね」という吉村騎手。右鞭が何発も飛んだゴール前、その叱咤激励に2歳牝馬は応えて見せた。

 

 

 

 

吉村智洋騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

 

 

「距離を変えても対応できますし、揉まれての競馬も上手、追ってからもしっかり伸びます。三拍子そろっている」と4連勝に導いた吉村騎手も賛辞を贈った。

「もうちょっと入れ込みが少なくなれば」と気性面の成長を課題に挙げたが、2歳にしての完成度の高さを証明した一戦となった。

 

 

 

 

飯田厩舎にとっては、ナナヨンハーバーで勝った2018年の兵庫クイーンカップ以来の重賞制覇。
吉村騎手も自厩舎の馬での勝利に「感慨深いものがあります」と喜んだ。

年末まで繰り広げられた3厩舎のリーディング争い。結果的には保利良平厩舎(87勝)に軍配が上がったが、飯田厩舎も86勝の2位と、最後猛追を見せて存在感をアピールした。

そんな中で頭角を現したスマイルミーシャは、2023年飯田厩舎の看板馬として屋台骨を支える存在となっていくだろう。

 

 

3着に敗れたヒメツルイチモンジも出遅れさえなければという内容。また、同じ大晦日の7Rで勝利し、門別から転入後連勝を飾ったエイシンレゲンダも好素材。

また、園田プリンセスカップの勝ち馬アドワンに、年末の佐賀重賞でワンツーしたイケノシイチャンやカタラもいる。明け3歳牝馬はハイレベルな戦いが繰り広げられそうだ。

これらの馬たちがグランダムジャパン路線を歩むのか、牡馬も交じる兵庫クラシックの王道路線を歩むのかにも注目したい。

 

もちろんベラジオソノダラブを筆頭に牡馬勢も黙ってはいまい。2023年の3歳戦線も大いに楽しみだ。

 

 

 

 

写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと

2022 兵庫ゴールドトロフィー レポート

2022年12月21日(水)

 

◆ダートグレード『第22回兵庫ゴールドトロフィー(JpnⅢ)』(園田1400m) ◆

 

ハンデ戦にもかかわらず、過去21回でJRA勢が全勝しており、兵庫のダートグレード3つのうち唯一地方馬が勝利できていないレース。ただ、ハンデ戦となった2007年以降の15年間でJRAの1,2,3着独占は3回しかなく、2,3着には地方馬が食い込んでいる年がほとんどで、あと一歩で地方馬の勝利も見えている。

今年はJRA4頭、笠松3頭、金沢1頭の遠征馬8頭を交えての12頭で争われた。

 

 

 

 

 

1番人気はシャマル(JRA)、単勝1.6倍の断然人気となった。今年ダートグレードを3勝した4歳馬で実績は十分。チャンピオンズカップに出走し中2週というローテーションで今年10戦目。上積みや疲労面で気になる材料はあるが、1200~1400mを使われてきた馬が、この秋は1600m→1800mと距離を伸ばしても好走しており、適距離に戻れば実力上位は明白だ。

 

2番人気は単勝3.2倍でイグナイター(兵庫)。去年3歳時にも出走してハンデ52kgで3着に逃げ粘った。今回はそれ以来となる地元園田でのレース。今年は遠征続きの中、黒船賞→かきつばた記念と連勝し、この秋はJpn1でも連続好走を果たした。2度の盛岡遠征の影響は心配されたが、地元の利を生かして、地方馬初となる兵庫ゴールドトロフィーの優勝なるか。地方馬の悲願をかけ57kgを背負って出走した。(ハンデ戦となった2007年以降、地方馬が57kgを背負って出走したのは初めて)

 

3番人気は単勝5.3倍でオーロラテソーロ(JRA)。8月にクラスターCを勝利し、今年力を付けてきた一頭。前走、強敵相手の東京盃も3着と健闘を見せた。57.5kgはJRA勢の中では最も軽い斤量。

 

さらに、一昨年3着、昨年2着のラプタス(JRA)が4番人気(単勝11.2倍)、一昨年の優勝馬サクセスエナジー(JRA)が5番人気(単勝32.9倍)で続き、6番人気以下は70倍以上だった。

 

 

 

 

 

まずまず揃ったスタートからオーロラテソーロが逃げ、その外にオヌシナニモノ。ラプタスは逃げられずインの3番手。その直後にイグナイター、シャマル、サクセスエナジーが並んでいたが、1コーナーで少しシャマルと接触したイグナイターがやや行きたがりながら3番手に上がり、サクセスエナジーは中団に控えた。

 

向正面に入った所で早くも軽く仕掛けたイグナイターが前の2頭に競りかけてペースアップ。横並びとなった前3頭をすぐ後ろでラプタスとシャマルがじっくりマークしながら3コーナーを迎え、オヌシナニモノが脱落して直線へ。

 

道中インをロスなく立ち回っていたラプタスが、逃げ粘るオーロラテソーロとイグナイターの間を割ると力強く突き抜けて優勝。トップハンデ59kgながら、一昨年3着、昨年2着のリベンジを果たし、重賞5勝目を挙げた。

 

始終外を回る形だったシャマルが2着で、勝負所で一旦置かれたサクセスエナジーが最後の直線で猛追して3着に浮上。逃げたオーロラテソーロはわずかに差されて4着。イグナイターは直線半ばで力尽きて5着だった。

JRA勢が1~4着まで独占する結果となった。

 

上位3頭は4番人気→1番人気→5番人気で、三連単は19,200円。

 

 

 

 

ラプタスは、ダートグレード5勝目。

 

<獲得タイトル>
2020
黒船賞(高知)、かきつばた記念(名古屋)
2021 かきつばた記念(名古屋)、サマーチャンピオン(佐賀)
2022 兵庫ゴールドトロフィー(園田)

 

 

幸英明騎手の兵庫重賞制覇は3度目。
2012兵庫ジュニアグランプリ(ケイアイレオーネ)、2021兵庫チャンピオンシップ(リプレーザ)に次ぐ。

 

 

松永昌博調教師は地方重賞6勝目。兵庫の重賞は初めての勝利。

 

 

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)

 

 

 

 

◆出走馬

 

1 (J)ラプタス(松永昌博)59kg 幸英明騎手 4番人気

 


2 (笠)ナラ(伊藤勝好)51kg 佐々木世麗騎手 9番人気

 

3 (J)オーロラテソーロ(畠山吉宏)57.5kg 鮫島克駿騎手 3番人気

 

4 (金)オヌシナニモノ(佐藤茂)53kg 吉田晃浩騎手 7番人気

 

5 ハナブサ(森澤友貴)51kg 廣瀬航騎手 6番人気

 

6 (J)サクセスエナジー(北出成人)59kg 松山弘平騎手 5番人気

 

7 (笠)ミスティネイル(伊藤勝好)51kg 松本剛志騎手 11番人気

 

8 イグナイター(新子雅司)57kg 田中学騎手 2番人気

 

9 (J)シャマル(松下武士)58kg 川田将雅騎手 1番人気

 

10 イルティモーネ(石橋満)51kg 長谷部駿弥騎手 8番人気

 

11 (笠)クレールアドレ(伊藤勝好)51kg 藤原幹生騎手 12番人気

 

12 マイネルサーパス(山口浩幸)51kg 長尾翼玖騎手 10番人気

  

 

 

 

 

 

 

◆レース

 

【スタート】 スタートはまずまず揃ったが、有力馬では5サクセスエナジーと9シャマルが若干の後手。3オーロラテソーロがダッシュ良く逃げて行き、その外に4オヌシナニモノ。1ラプタスは前に入られて3番手となった。

 

【1周目スタンド前①】 8イグナイターが4番手でその外から9シャマル、内から6サクセスエナジーが続いた。中団に2ナラと10イルティモーネ。後方はばらけて、5ハナブサ、11クレールアドレ、7ミスティネイル、12マイネルサーパスと続く。

 

【2コーナー】 馬群全長は約15~6馬身となったが、有力馬は中団までで固まっていた。

 

【向正面~3コーナー】 8イグナイターが向正面入口から積極的に前にプレッシャーをかけていき、先頭は3頭並走で3コーナーを迎えた。

 

【3~4コーナー】 4オヌシナニモノは脱落。3オーロラテソーロが突き放しにかかり、2番手で8イグナイターが食い下がる。2馬身差で1ラプタスと9シャマル。6サクセスエナジーは前との差が少し離れて中団に後退。

 

【4コーナー~最後の直線】 3オーロラテソーロ先頭で直線へ。最内にいた1ラプタスがうまく外に出し、勢い鈍った8イグナイターを抜いていく。9シャマルが外の4番手。

 

【最後の直線①】 残り150m、3オーロラテソーロの外から1ラプタスが迫る。8イグナイターを9シャマルが捉えて3番手に浮上する。

 

【最後の直線②】残り100m、1ラプタスが先頭に変わり、外から9シャマルも追い上げる。大外からは6サクセスエナジーが一気に伸びてきた。

 

【最後の直線③】残り50m、2番手に上がってさらに一瞬前をも差し切る脚色に見えた9シャマルだったが、1ラプタスが59kg背負いながらしぶとく粘る。

 

【最後の直線④】 ゴール直前、1馬身差をキープしたまま1ラプタスがゴールに向かう。9シャマルは2番手まで。3オーロラテソーロが3着粘らんとする所に、大外から6サクセスエナジーが強襲。

 

 

【ゴールイン】 1ラプタスが重賞5勝目のゴールイン。2着は9シャマルで、3着には6サクセスエナジーの差しがハナ差届いた。4着の3オーロラテソーロまで上位はJRA勢が独占。地元期待の8イグナイターは5着だった。

 

 

 

 

 

 

 

「できれば先頭で1コーナーを迎えたかったんですけど、もっと速い馬がいたので仕方なく3番手という形」と振り返った鞍上の幸騎手。

これまでの重賞4勝はいずれも逃げきりということで一番能力を発揮しやすい逃げの形だったと思われるが、重賞5勝目は好位インに控えるこれまでにない展開での勝利だった。

 

「全然うまく乗れなくて、1コーナーも引っかかった。手ごたえはずっと良かったんですけど、4コーナーまでなかなか進路が見つからなくて、結果的に馬がすごく強くて助けてもらいました」と謙遜しながら幸騎手はパートナーを讃えた。

 

今年は、対イグナイターにも3戦3敗と分が悪かったが、トップハンデ59kgを背負いながら相手の本拠地に乗り込んでの勝利。3着2着と、スタートやや後手を踏む競馬で不本意な結果に終わっていた過去2年の鬱憤を晴らす、まさに3度目の正直。昨夏のサマーチャンピオン以来となる1年4ヶ月ぶりの勝利。

 

来年には7歳を迎えるが、ダート戦線は息の長い活躍をする馬も多い。幸騎手も「今日くらいの状態ならまだまだやれると思います」と来年への期待を口にした。

 

 

 

 

幸英明騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

 

 

 

 

 

地方馬初制覇に期待が集まったイグナイターは勝ちに行くレースをしたが、5着だった。
「1200mを使った後で少し行きたがったところもあったし、結果的に体も少し太かった」と新子師はレース後振り返った。

 

来年はまず、黒潮スプリンターズカップから黒船賞(Jpn3)という高知2戦、今年連勝を飾ったローテーションを視野に入れる。そして、その後に短距離路線に向かうか、1600mのかしわ記念(Jpn1)に行くか考えたいという。

「1200mだと周りが速く位置取りが悪くなってしまうが、折り合いが付くならマイルでもポジションが取れる分十分やれると思う」と指揮官は来春のJpn1挑戦も見据える。

 

「ゴールドトロフィーは来年リベンジですね?」という筆者の問いに、「別の馬でね」と新子師は答えた。

 

「あれ?イグナイターでのリベンジではないんですか?」という疑問に「斤量が59kgになったら使えないでしょ」とサラリ。

なるほど、来年末にはダートグレードの勝利がいくつか上積みされている計算が既になされていた。

 

イグナイターは来年5歳、充実の時を迎える。今回敗れたラプタスやシャマルらとの再戦もあるだろう。並みいるライバルを蹴散らし、また地方競馬ファンを喜ばせてくれるはずだ。その時を楽しみに待とう。

 

 

 

 

写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと

2022 園田金盃 レポート

2022年12月01日(木)

 

◆重賞『第65回園田金盃』(園田1870m) ◆

 

園田金盃は、兵庫版有馬記念とも称されるグランプリレース。一昨年からダートグレード並みの1着賞金3000万に引き上げられた歴史ある兵庫のNo.1決定戦だ。

今年の兵庫大賞典でジンギとクビ差の接戦を演じたシェダルや摂津盃2着のテーオーエナジーの回避は残念だが、グランプリらしく好メンバーが揃った。

前走姫山菊花賞でラッキードリームとタガノウィリアムの新子厩舎2騎に敗れた絶対王者ジンギが巻き返し、史上初の園田金盃三連覇なるかが一番の焦点。

ジンギは夏に弱く、毎年秋初戦は勝ったとしてもやや“らしさ”を欠くレースが続いていた。一叩きされ冬に向けてグングン状態は上昇するのも毎年のこと。本調子となった絶対王者ジンギの三連覇を阻む馬は現れるのか?

 

 

 

 

1番人気は、単勝1.9倍でラッキードリーム。昨年の門別三冠馬。門別から川崎を経て、今夏兵庫の名門新子厩舎に移籍。移籍初戦を楽勝すると、2戦目の姫山菊花賞では強烈な末脚で絶対王者ジンギを破った。「距離は伸びるほどいい」(新子師)と、1870mの舞台も歓迎。今回もジンギを破り、一気に世代交代を突きつけるか。

 

2番人気は、ファン投票1位のジンギで単勝2.0倍。兵庫生え抜きで、20,21年と2年連続年度代表馬に輝いた兵庫の絶対王者。今回史上初の園田金盃三連覇がかかる。前走の姫山菊花賞は3着と地元馬には2年ぶりの敗戦を喫した。ライバル達を一蹴し、王者の底力を改めて証明したい。

なお、4着以内に入れば、獲得賞金は2億円を超え、ケイエスヨシゼンの持つ兵庫県競馬の最多獲得賞金記録も塗り替える(※)。

※ケイエスヨシゼンは、1995~2001年に64戦25勝(重賞12勝)の活躍を見せたアラブの怪物。獲得賞金2億0088万8000円が20年以上破られていない兵庫県記録。

 

3番人気は、単勝7.8倍のタガノウィリアム。今年春にJRA2勝クラスから移籍すると逃げて連勝。摂津盃でも人気を集めたが、出遅れが響いて10着。しかし、姫山菊花賞は得意の逃げに持ち込むと、ラッキードリームには差されたものの持ち味の粘り腰を発揮してジンギを破る2着に健闘。今回も逃げ宣言、ジンギを惑わす逃走劇でレースを盛り上げる。

 

4番人気は、エイシンニシパで単勝28.0倍。2016年から7年連続で重賞を勝利(兵庫県記録)し、重賞通算15勝も兵庫県記録という息長く活躍を見せるレジェンドホース。特に新春賞は4年連続5度の優勝と「ミスター新春賞」の異名を持つが、これまで園田金盃の勝利は一度もない。園田金盃は6年連続の出走となるが、現在4年連続2着と悔し涙を飲んでいる。

 

5番人気は昨年のWダービー馬スマイルサルファーで単勝29.4倍、6番人気は唯一の3歳馬クリノメガミエースで37.7倍だった。

 

 

<ファン投票 6頭>
1位 ジンギ
3位 ラッキードリーム
4位 エイシンニシパ
10位 クリノメガミエース
11位 アワジノサクラ
18位 スマイルサルファー

 

<記者選抜 2頭>
タガノウィリアム
ケンジーフェイス

 

 

 

レースはジンギがスタートで出遅れて後方からという波乱の幕開けとなった。逃げると思われたタガノウィリアムも出負けで、まずはスマイルサルファーがハナを奪い、ラッキードリームがその外にポジションを取った。しかし、前の隊列が決まりかけたところに奇襲をかけたのが吉原寛人騎手操るクリノメガミエース。1周目3コーナー手前で一気に外からハナを奪い、そのままスタンド前では後続を7~8馬身離す大逃げを打った。

ラッキードリームは3番手の絶好位、一方のジンギは後方2番手という対照的なポジションでレースは進んだ。

 

勝負所から難なくクリノメガミエースとの差を詰めたラッキードリームが4コーナーで先頭に立つと、最後は6馬身後続を突き放しての完勝。これで4連勝、姫山菊花賞に続く重賞連勝。

史上初の三連覇はならなかったジンギも最後の直線で2着に追い上げる末脚を見せ、絶対王者の意地は見せた。2着賞金1200万円を加えて獲得賞金は2億0853万2000円となり、アラブの怪物ケイエスヨシゼンを抜いて兵庫県競馬史上最多獲得賞金馬となった。

3着は逃げた3歳牝馬クリノメガミエースが粘り、4着は逃げられずとも健闘したタガノウィリアム。5着に6年連続出走の9歳古豪エイシンニシパ。

 

 

上位3頭は1番人気→2番人気→6番人気の決着で、三連単は2,540円。

 

 

ラッキードリームは、重賞7勝目。

 

<獲得タイトル>

2020 サッポロクラシックカップ、JBC2歳優駿(Jpn3)
2021 北斗盃、北海優駿、王冠賞
2022 姫山菊花賞、園田金盃

 

 

下原理騎手は重賞通算78勝目。
今年は姫山菊花賞に続き3勝目。
園田金盃は2019年タガノゴールドで制して以来となる6度目の勝利。

 

 

新子雅司厩舎は重賞52勝目。
兵庫ダービー以来となる今年9勝目。
園田金盃は2019年タガノゴールド以来の2勝目。

 

 

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)

 

 

 

◆出走馬

 

1エイシンダンシャク(坂本) 大山龍太郎騎手 9番人気

 

2アワジノサクラ(北野) 大柿一真騎手 10番人気

 

3エイシンニシパ(橋本) 吉村智洋騎手 4番人気

 

4タガノウィリアム(新子) 笹田知宏騎手 3番人気

 

5スマイルサルファー(渡瀬) 大山真吾騎手 5番人気

 

6ラッキードリーム(新子) 下原理騎手 1番人気

 

7クリノメガミエース(石橋) 吉原寛人騎手 6番人気

 

8ジンギ(橋本) 田中学騎手 2番人気

 

9ケンジーフェイス(中塚) 田野豊三騎手 7番人気

 

10マイネルユキツバキ(田中一) 廣瀬航騎手 8番人気

 

11マイネルサーパス(山口浩) 長尾翼玖騎手 11番人気

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆レース

 

師走に入って季節は冬へ一歩前進。気温12℃、馬場状態「稍重」。

 

【スタート】 横を向いた時にゲートが開いてしまったという8ジンギが1馬身半出遅れてしまい、4タガノウィリアムも半馬身出負け。波乱のスタートとなった。

 

【1周目向正面】 5スマイルサルファーがハナを奪うと、6ラッキードリームがその外へ。そして、遅ればせながら7クリノメガミエースが一気に先頭に立って主導権を握った。好位インに1エイシンダンシャク、その後ろに3エイシンニシパがつけた。

 

【1周目3コーナー】 出負けの4タガノウィリアムが好位まで押し上げ、その後ろ中団に2アワジノサクラと10マイネルユキツバキが並んだ。さらに、9ケンジーフェイスが後ろから3頭目。8ジンギは後方2番手追走で、最後方が11マイネルサーパス。

 

【1周目スタンド前】 7クリノメガミエースがあまりペースを落とすことなく、少しずつ2番手以下との差を広げていく。

 

【2コーナー~向正面】 7クリノメガミエースが7~8馬身突き放す大逃げに打って出て、馬群全長は20馬身縦長に。

 

【向正面~3コーナー】 向正面入口で単独2番手に上がった6ラッキードリームが楽な手応えで少しずつ7クリノメガミエースとの差を詰めていく。好位勢がなかなか前との差を詰められない中、後方の8ジンギは鞭を入れられながら徐々に押し上げる。

 

【3~4コーナー】 逃げる7クリノメガミエースを6ラッキードリームが射程圏に入れ、3番手は外から4タガノウィリアムがジワジワ押し上げる。3エイシンニシパと5スマイルサルファーの後ろまで8ジンギが接近。

 

【4コーナー】 7クリノメガミエースを6ラッキードリームが捉えて一気に先頭に立ち、単独3番手に4タガノウィリアム。

 

 

【最後の直線①】残り200m、馬場の真ん中に持ち出された6ラッキードリームが差を広げていく。内で7クリノメガミエースが粘り、その後ろに4タガノウィリアムと3エイシンニシパ。大外に持ち出され8ジンギは6~7番手。

 

【最後の直線②】残り100m、6ラッキードリームが突き放し、7クリノメガミエースがしぶとく粘る。4タガノウィリアムの外から4番手に上がった8ジンギが猛追する。

 

【最後の直線③】残り50m、6ラッキードリームがどんどんリードを広げ、2番手に7クリノメガミエース。その1馬身後ろで粘る4タガノウィリアムに外から8ジンギが並びかける。

 

【ゴールイン】6ラッキードリームが6馬身突き放して完勝のゴールイン。2着にはゴール前で8ジンギが上がり、7クリノメガミエースが粘って3着。4着に4タガノウィリアムで、6年連続出走の3エイシンニシパが5着。

 

 

 

 

「どんどん状態が上がってきていた」(下原騎手)という中で大一番を迎えたラッキードリームが姫山菊花賞に続く重賞連勝を果たした。

「五分のスタートを切ることだけを祈っていました」と下原騎手も話した通り、ゲート内での駐立状況に不安がある馬。新子調教師も毎回ゲートの後ろまで行き、馬の尻尾を引っ張って、立ち上がるなどしないよう工夫をしている。

そんな対策もあって今回もしっかりとスタートが決まり、「レースの組み立てに集中」できる環境が整った。

 

好スタートだった分、鞍上の下原騎手の視界にはスマイルサルファーとエイシンニシパなど2~3頭が映ったぐらい。スタート後すぐは周りをキョロキョロと見回していた下原騎手。ジンギの位置取りが「相当気になっていた」というが、宿敵は出遅れて後方だったため、どこにいるかは分からないままレースは進んでいったという。

 

道中は大逃げを打ったクリノメガミエースから7~8馬身差の3番手。どこにいるか分からないジンギも意識しつつ、逃げ粘りも警戒しなければならないという展開だったが、「慌てず追いかけず、でもとりあえず射程圏には入れよう」と2周目の向正面から徐々にクリノとの差を詰めていった。

 

4コーナーで先頭に並びかけたところから、ジンギを待つことなく追い出し、「最後はちゃんと脚を使ってくれる馬」という言葉の通り、6馬身突き放しての圧勝劇を演じた。

 

 

 

 

 

下原理騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

 

「道営三冠馬すごいと思います」と下原騎手もその力を再確認。

4連勝で重賞7勝目となり、一気に兵庫中距離界の頂点へと昇り詰めた。

 

「折り合いが付きやすいところが長所。ゲートに課題はあるがいいポジションさえ取れれば常に勝ち負けできる」と来年参戦が予定されるグレードレースでの走りも下原騎手は楽しみにしている。

 

新子師はレース後、「次走は年明けの新春賞か、報知オールスターカップ(川崎)か、あとは大井(東京大賞典)も…」と話した。

 

 

 

 

 

この秋は、新たに兵庫に加わった4歳ラッキードリームが、絶対王者の6歳ジンギに連勝という結果に終わった。

成績の字面だけを見れば、“世代交代”という言葉が頭に浮かぶ。

しかし、直線だけで猛然と2着に追い上げたジンギに王者の意地を見た。もちろん出遅れもレースの内ではあるが、「簡単に“世代交代”と言ってくれるな!」そんな声が聞こえた気がする。

 

来年改めて、お互いに万全の状態で好スタートを決めての対戦を見たいというファンは多いだろう。

 

ラッキードリームは2月の佐賀記念(Jpn3)も視野に入れるなど、来年は当初の予定通りダートグレード戦線や南関東の全国交流重賞を狙っていく。

ジンギとの再戦は、兵庫大賞典かあるいは1年後の園田金盃か。ジンギと共に遠征して、ダートグレードの舞台での激突であってもいい。

 

シェダルの復帰も待たれる中、来年の中距離戦線もまた楽しみだ。

 

 

 

写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと

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