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馬場も枠も味方にマイタイザン逃げ切る!~摂津盃~

伝統ある真夏のハンデ重賞『第49回摂津盃』が8月18日に行われ、2番人気の支持を受けたマイタイザンが堂々逃げ切って優勝。同馬にとって、2歳から続く3年連続の重賞勝ちとなった。騎乗した杉浦健太騎手は、通算5勝目のタイトル。管理する新井隆太調教師は重賞4勝目を挙げた。

 

レース結果はコチラ>>>

 

 

◆出走馬

 


①マイタイザン 55 杉浦健太騎手

 


②ベルサリエーレ 53 松本幸祐騎手

 


③バレーナボス 53 板野央騎手

 


④ミッレミリア 54 大山真吾騎手

 


⑤マルカライン 53 松浦政宏騎手

 


⑥バズーカ 56.5 赤岡修次騎手(高知)
 


⑦アクロマティック 54 笹田知宏騎手

 


⑧ウインオベロン 54 川原正一騎手
 


⑨タガノトリオンフ 53 下原理騎手

 


⑩トランヴェール 56 永島太郎騎手

 


⑪エイシンホクトセイ 53 吉村智洋騎手

 


⑫エイシンニシパ 57 田中学騎手
 

サウスウインドやエーシンクリアーの出走はなかったが、それ以外の中距離路線を歩む強豪が出揃った今年の『摂津盃』。ハンデは57キロから53キロと、それほど大きな差はないが、それぞれを比較すると有利不利が入り混じる。

 

トップハンデは57キロのエイシンニシパ。管理する橋本忠明師は「59キロを背負わされるようなら、回避するかも」と漏らしていたが、蓋を開けてみればこの斤量。見込みから2キロ軽くなって恵まれたように思える。

 

そのニシパに前走、同斤量でクビ差の接戦を演じていたウインオベロンは54キロに設定。これだけを捕えるとかなり有利だ。

 

重賞を含む4連勝でもっとも勢いを感じさせるのがトランヴェール。こちらは57キロで連勝中ながら、56キロの斤量に。57キロ以上は当然課せられると思われていただけに、有利に感じる。

 

前走、オープンで初勝利を飾ったミッレミリアは当時と同じく54キロ。その前走で負かしたエイシンホクトセイは56キロから53キロに。この両者だけを見ると断然ミッレミリアは不利。エイシンホクトセイは5月の『兵庫大賞典』を56キロで3着だったことを考えると、断然有利と言える。

 

同じく53キロに設定されたオープン初挑戦のマルカライン、牝馬のタガノトリオンフなどは決して恵まれたとは言えない斤量だ。

 

55キロのマイタイザンだけが、斤量の話でほとんど話題に上がらず、一番有利不利がなかった斤量。

 

ゴール前の大接戦を考えて設定されるハンデ戦という観点ではないような気がするが、微妙に予想を悩ませ、楽しませた要素のひとつではあった。

 

 

スタートの良し悪しがハッキリする1700m戦。明らかに煽って立ち後れてしまったのが、1番人気に支持されたトランヴェールだった。

 

逆に好スタートを決めたのがマイタイザン。すぐに迎える3コーナーにダッシュ良く飛び出しハナを奪い切った。

 

2番手にタガノトリオンフが付け、ベルサリエーレ、バズーカ、エイシンニシパと好位を形成。ミッレミリア、ウインオベロンは中団を進み、スタートで後手に回ったトランヴェールは後方待機となった。

 

前日の馬場は差し馬の伸びが目立ち、前有利だったこれまでの傾向からかなり変化を見せていた。ところが当日の明け方、突然の雷雨が園田を襲い、一瞬に不良馬場へと変えた。

 

ナイター競馬が始まるころには少しずつ回復を見せ、この時点では重馬場の発表。それでも前が有利なレースが続いていた。

 

 

 

好スタートのマイタイザンは他馬を引き付けるのではなく、自分のペースに徹してレースを進めて行く。

 

追いかけて行く馬たちも決して楽ではない展開で、好位を追走したベルサリエーレ、バズーカが脱落して行った。

 

 

 

それでも必死で食い下がったのがタガノトリオンフ。エイシンニシパはコースロスをを避けるため内に切れ込み徐々に差を詰めて行く。

 

そこへ後方からトランヴェールを進出を開始、3コーナーでは4番手までポジションを上げた。

 

しかし、その間にもペースが落ちないマイタイザンはリードを広げて4コーナーに向かって行く。

 

内をすくってエイシンニシパが2番手に上がって直線を迎えた。

 

 

タガノトリオンフが3番手を死守するところへ、ウインオベロンが迫る。向正面で追い上げたトランヴェールの脚はいっぱいとなってしまった…。

逃げ脚衰えないマイタイザンは他馬を寄せ付けない。そのまま3馬身半の差を付けて堂々と逃げ切って真夏の王者に輝いた!
 

 

 

 

エイシンニシパがトップハンデの意地を見せ2着に。3着争いは接戦となったがタガノトリオンフがしぶとく粘って確保した。マイタイザンを追いかけながらの3着を粘ったのは立派だ。

 

差のない4着にウインオベロン、エイシンホクトセイが5着に続き、トランヴェールは出遅れが響いて6着に敗れた。

 

1番枠で「いい枠を引き当てた」と思い、朝の豪雨で「逃げしかない」とハラを決めた杉浦騎手。

 

前日と前々日の2日間の騎乗停止があり、その鬱憤を晴らすかのような圧倒撃。ウイニングランで再び正面スタンドに帰って来たマイタイザンと杉浦騎手に大きな歓声が沸き上がり、何度も右手を挙げてファンの声援に応えた。

 

メンバ中、唯一の兵庫生え抜きだったマイタイザン。思えば、昨年も生え抜きのエナエビスの勝利だった。

 

デビューから見続ける馬の成長と活躍は観ていて誇らしい。これからは他地区でのタイトル獲得も楽しみだ。

 

逃げ馬から、控える競馬も覚えてモデルチェンジを試みたが、再び元の逃げ馬に活路を見出したマイタイザン。

 

常にマークされる苦しい立場だが、それでもなお他馬を封じ込める強い逃げ馬へとグレードアップすることを期待する!

 

 

写真:斎藤寿一

 

文:竹之上次男

8月号更新、広瀬 航 騎手インタビュー、等

8月号更新しました。(1日4:00)
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タイトル:トシとってくると夏がこたえる
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高知のディアマルコが連覇!~兵庫サマークイーン賞~

第10回目となった今年の『兵庫サマークイーン賞』は、昨年の勝ち馬ディアマルコ(高知)が今年も優勝。見事に同レース連覇達成です。同馬にとっての重賞6勝目。管理する那俄性哲也調教師は兵庫で3度目の重賞勝ち(いずれもディアマルコ)。初コンビを組んだ永森大智騎手は、高知で初重賞制覇となりました。

レース結果はコチラ>>>

 

◆出走馬

①タガノトリオンフ 下原理騎手 2番人気

 


②ウォーターティアナ 竹村達也騎手 12番人気

 


③ドンプリムローズ 真島正徳騎手 8番人気

 


④アペリラルビー 向山牧騎手 5番人気

 


⑤シーズアレインボー 大山真吾騎手 6番人気

 


⑥エンジェルミディ 広瀬航騎手 10番人気

 


⑦ディアマルコ 永森大智騎手 1番人気

 


⑧アルカナ 吉村智洋騎手 9番人気

 


⑨アローシルバー 川原正一騎手 4番人気

 


⑩ユウキエナージー 杉浦健太騎手 11番人気

 


⑪プリンセスバリュー 吉原寛人騎手 3番人気

 


⑫マテリアメディカ 田中学騎手 7番人気

 

遠征馬が強力だ!というのが今年のメンバーの印象。

 

昨年の覇者、高知のディアマルコが連覇を懸けて再来。

 

元兵庫所属で、現在は南関東でオープンを張るプリンセスバリュー。

 

去年は重賞6勝を挙げ、佐賀のダービー馬に輝いたドンプリムローズ。

 

今年の『のじぎく賞』を豪快に差し切ったアペリラルビー。

 

南関東で中堅クラスでスピードを磨くマテリアメディカというラインナップ。

 

迎え撃つ兵庫勢は旗頭になるはずだったトーコーヴィーナスが、前走の疲れなどがあり回避が決定。

 

昨年3着だったタガノトリオンフが地元の筆頭候補。しかし、それ以外は格下からの挑戦が多くあり、力量的に厳しいと言わざるを得なかった。

 

当然、最初の印象通り遠征馬が上位を独占しそうだ…。

 

スタートは全馬遅れることなくきれいに揃った。その中から抜け出して行ったのがディアマルコだった。

 

 

「最低でも2番手と思っていましたけど、自分のペースでハナに行けそうだったので行きました」と永森騎手。
 

 

プリンセスバリューが2番手に取り付き、タガノトリオンフは3番手のインコースを進む。

 

ドンプリムローズ、マテリアメディカと好位を形成。アペリラルビーは例によって後方待機策をとった。
 

 

 

ディアマルコの逃げで、淀みなくレースは流れて行く。

 

当面の相手とされる各馬が好位でマークスするなか、マイペースで運んで行く。

 

残り800を切ったあたりから、ドンプリムローズがフェイントをかけるように前に並びかける。
 

 

 

それに応じてペースが速まり、タガノトリオンフが若干遅れをとってしまう。

 

3コーナーではディアマルコがさらにペースアップ、ここでフェイントを仕掛けたドンプリムローズが後退。

 

プリンセスバリューが2番手のまま食い下がる。マテリアメディカが3番手に上がり、タガノトリオンフは4番手に下がってしまった。
 

 

直線に向いて、完全に他地区の各馬の上位独占態勢。

 

逃げるディアマルコがさらに突き放して、連覇へ向かってひた走る。

 

 

 

マテリアメディカが内から迫って来たが、プリンセスバリューもしぶとさを発揮して2番手を死守。

 

それを尻目に、3馬身の差をつけ、昨年以上の強さでディアマルコの逃げ切り勝ち。見事に連覇を達成してみせた。

 

 

なお、4着には後方から追い上げたアペリラルビーが食い込み、遠征馬の4着まで独占となってしまった。

 

地元最先着はタガノトリオンフの5着に終わった。

 

ディアマルコと永森大智騎手は今回が初コンビだった。

 

当初、佐原騎手負傷のため、田中学騎手このレースで騎乗する予定だった。そのために前走は高知遠征してまで手綱を取っていた。

 

ところが田中騎手にトーコーヴィーナスへの騎乗が舞い込み、泣く泣く騎乗を断ることになり、永森騎手が騎乗することになったという経緯。

 

しかし、そのトーコーヴィーナスの直前の回避で、田中騎手は船橋のマテリアメディカに騎乗するという妙な展開になった。

 

ただ、この展開は万事円満に進んだととのこと。

 

「佐原さんにアドバイスをしてもらっていましたが、思った以上にしんどい馬でした(笑)。こちらが指示するまで、馬がリラックスをしすぎるというか…」と反応は決して良くないのだという。

 

「(リラックスしている分)無駄な力みのないところがこの馬のセールスポイントになるんですね。これだけ強い馬に騎乗させていただいて関係者の皆さまに感謝しています」

 

 

さすが、いまや押しも押されもせぬ高知のトップジョッキー、受け答えも如才がない。

 

意外にも園田の重賞では初勝利で、その金ナイターでも初勝利となった。

 

「思ったより乗りやすいですね」と印象を語った。

 

同馬はこれで、園田で4戦3勝2着1回。もちろん高知でも強いが、園田での強さは格別だ。

 

地方他地区の馬が3着まで独占だった5月の『のじぎく賞』は、兵庫のサラブレッド史上初の出来事だった。

 

今回はそれを上回る4着まで独占…。

 

しかし、他地区から強い馬が来るとワクワクさせられる。遠征馬が弱いと面白みに欠ける。

 

近年は兵庫の馬も他地区で大活躍し、ワン・ツーフィニッシュを何度も決めている。

 

交流が盛んな時代になったのだから、当然とも言えることかも知れない。

 

園田巧者が、他地区の馬であって不思議ではない。兵庫勢の中にも高知巧者、大井巧者、左回り巧者、芝巧者が眠っていると思えばいい。
 

 

写真:斎藤寿一
 

文:竹之上次男

マルトクスパート、二年越しの瞬撃戦制覇!~園田FCスプリント~

820mの瞬撃戦、第7回『園田FCスプリント』が行われ、1番人気のマルトクスパートが5番手から差し切り、一昨年2着の無念を晴らした。同馬は重賞3勝目。これまでは他地区で挙げた勝利ばかりで、ようやく地元での初重賞制覇となった。管理する田中範雄調教師は通算48勝目の重賞勝ち。鞍上の田中学騎手は、通算43勝目のタイトルとなった。調教師、騎手ともに同レース初制覇。

 

レース結果はコチラ>>>

 

 

◆出走馬

 


 ①ニシノビークイック 大柿一真 12番人気

 


②スマイルヴィジット 松本幸祐 10番人気

 


③マルトクスパート 田中学 1番人気


④タガノグランパ 下原理 5番人気

 


⑤ドリームコンサート 吉村智洋 3番人気

 


⑥マイアリエス 川原正一 8番人気

 


⑦ シーズアレインボー 杉浦健太 6番人気

 


⑧カッサイ 永森大智 7番人気

 


⑨ハタノキセキ 大山真吾 4番人気

 


⑩カイロス 佐原秀泰 2番人気

 


⑪クインズハリジャン 笹田知宏 11番人気

 


⑫ルミナス 廣瀬航 9番人気

 

瞬く間に勝負が決まる“瞬撃戦”は、何よりスタートが命。それだけにスタートの速い馬が今年も顔を揃えた。格や人気よりもスピード優先で、これまでも波乱を演出して来たのは格下と思われていた人気薄の逃げ馬だった。

 

1番人気はマルトクスパート。一昨年の2着馬で、当時は逃げてレースを引っ張った。ところが齢を重ねてズブさが出てきて、以前のようなテンのスピードは感じられない。それでもこのところの3連勝の勝ちっぷりをファンは支持した。

 

遠征馬が多く活躍するレースでもあり、遠征馬の高知2頭にも注目が集まる。福山競馬出身のカイロスは、当地が廃止後大井に転厩したが、強豪南関東勢相手に、A2クラスでも勝ち鞍を挙げた実力馬。

 

高知に移籍後もスピードを活かして重賞勝ちを収めるなど、トップクラスの活躍を示している。スタートの巧さにも定評があり、2番人気の支持を得た。

 

一方カッサイは昨年の2着馬。同距離実績で優位だが、近走の内容がイマイチで、人気では7番人気と意外な評価となった。

 

園田に移籍後着外になったのはダートグレードだけという実績馬、ドリームコンサートが3番人気。差し馬だが、決め手を買われてハタノキセキが4番人気に続いた。

 

誰もが注目するスタート。好発を決めたのは7番人気のマイアリエスだった。

 

 

 

昨年ランドクイーンで優勝した盛本調教師は、今年は重賞クラスでは格下たが、速さではヒケを取らないと見て同馬を送り込んだ。

 

逃げた馬は格下であろうがなんであろうが、この時点で馬券に絡む可能性が大きい。

 

今年の穴馬はこの馬だったか…。

 

 

先頭に並びかけて行ったのは、昨年2着だった高知のカッサイ。

 

カイロスが3番手、マルトクスパートはその後ろに続いた。

 

先行争いは激しく続き、息をつかせない流れが4コーナーでも落ち着かないでいる。

 

 

展開的には差し馬の流れだが、それでも前が粘ってしまうのが820m戦。

 

挑戦でも前の2頭の激しい争いがまだ続いている。

 

満を持して並びかけるマルトクスパートが一完歩ずつ差を詰める。

 

 

ようやく先行争いを制して抜け出したカッサイがゴールを目指すところへ、マルトクが迫って来た。

 

もつれたゴール前ではほとんど並んで微妙な態勢。

 

 

 

ところがマルトクスパートの田中学騎手はすぐさま左こぶしを握り締め勝利を確信した。

 

「もし負けていたらすごく恥ずかしいことでしたけど」と冗談めかしたが、あの着差で確信が持てたあたりはさすがのベテラン勝負師。

 

2着のカッサイは2年連続の2着と、今年もあと一歩が届かなかった。

 

マイアリエスの3着は持ち味を十分に発揮して逃げたからこそ。やはりこの距離は逃げると馬券に絡む確率がグンと上がると再認識した。

 

勝ったマルトクスパートは、年齢を重ねてズピードが落ちたが、展開に融通がきくようになった。

 

7月25日に船橋競馬場で行われる『習志野きらっとスプリント』の優先出走権を得たが、出否はいまのところ未定。

 

できればその権利を行使してもらいたいが…。

 

820m戦は、一見スピードだけを求められていると思われがちだが、実は騎手や馬にとっても、最後の直線でしっかり息を保たせるスタミナが必要なのだ。

 

7歳となったマルトクスパート、43歳ベテランの田中学にも、まだまだ若々しいスタミナが溢れている。

 

 

 

写真:斎藤寿一

文:竹之上次男

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