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2022 兵庫若駒賞 レポート

2022年10月13日(木)

 

◆重賞『第15回兵庫若駒賞』(園田1400m) ◆

 

地方競馬2歳チャンピオンシリーズの第5戦として行われた2歳重賞「第15回兵庫若駒賞」。

過去には、オオエライジンやエーシンクリアー、トーコーヴィーナスにマイタイザンといった兵庫を代表する名馬が優勝馬に名を連ねる。

一昨年ツムタイザン、昨年ガリバーストームが2戦2勝でこのレースに臨んで無敗優勝を果たした登竜門レースは、今年も12頭で争われた。

 

 

 

 

1番人気はベラジオソノダラブで単勝1.0倍元返しのオッズ。新馬戦が2.3秒差、2戦目のアッパートライが1.8秒差と、強く追われることなく圧勝続き。中1週のローテーションでの出走となったが、大物感たっぷりの存在で断然人気に。

 

2番人気は単勝8.9倍でアルザード。新設された8月の兵庫ジュベナイルカップを勝って連勝。砂を被るレースも3番手インに控えたアッパートライで既に経験済み。

 

3番人気は単勝10.7倍でオキザリスレディー。デビューの地門別では勝利を挙げられなかったが、兵庫に転入後は820m→1400m→1230mと全て違う距離に対応して3連勝を飾った。

 

4番人気サインポール以下は単勝24倍以上と大きく離れていた。

 

 

 

朝晩は肌寒いくらいの秋らしい気候となってきたが、この日は前日までと比べても気温が上昇。気温25℃を超える夏日の中、良馬場でスタートが切られた。

 

スタートはややバラつき、断然の1番人気ベラジオソノダラブは若干の出負け。オキザリスレディーがハナを奪いにかかるとライトヴィクトリーとクールビッグスターもこの争いに加わり、序盤は少し流れた。アルザードは5番手につけ、ベラジオソノダラブはこれまでの2戦とは違って中団7番手からの揉まれる展開に。

 

2コーナーで一旦は15馬身以上と縦長の展開となったが、向正面から3コーナーにかけて先団がぐっと凝縮。馬群の間を立ち回るベラジオソノダラブは外に出さずに前との差を詰めにかかり、3コーナー手前でアルザードの真後ろにピタリ。先に動いたアルザードを追いかけるように外に出され、田中騎手のアクションにすかさず反応を見せた。

4コーナー出口ではもう先頭に立ち、そこから悠々抜け出しての勝利。砂をかぶって揉まれる経験も初めてで、鞭を入れられたのも初めてだったが、難なくこなすセンスの良さを見せこれで3戦3勝。

 

スタートでやや後手を踏んで後方追走だったジョイブラックが直線追い込んで2着に浮上し、好位追走から3~4角で一旦先頭に立ったアルザードが3着。逃げたオキザリスレディーは粘れず大きく離れた10着だった。

 

 

3年連続で無敗のチャンピオンが誕生。兵庫若駒賞での単勝100円の元返しは、2012年のエーシンクリアー以来10年ぶり。

今年の兵庫重賞では、ジンギが優勝した白鷺賞に続く2度目の100円元返しとなった。

 

上位3頭は1番人気→8番人気→2番人気で、三連単は7,600円。

 

 

ベラジオソノダラブは、重賞初挑戦で初勝利。
デビューから3戦3勝、無敗での重賞制覇となった。

 

<獲得タイトル>
2022 兵庫若駒賞(園田)

 

 

 

田中学騎手は重賞75勝目。
今年の六甲盃(ジンギ)以来の重賞制覇で、今年9勝目。
兵庫若駒賞は2012年エーシンクリアー以来となる2勝目。

 

 

坂本和也調教師は重賞6勝目。2021年兵庫ウインターカップ(ナリタミニスター)以来。
兵庫若駒賞は初制覇。

 

 

 

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)

 

 

 

 

◆出走馬

 


1 ヤシロケンチャン(中塚) 佐々木世麗騎手 7番人気

 


2 スマイルジョナス(渡瀬) 鴨宮祥行騎手 5番人気

 


3 ベラジオソノダラブ(坂本) 田中学騎手 1番人気

 


4 ウィンチップ(土屋) 松木大地騎手 11番人気

 


5 オキザリスレディー(諏訪) 川原正一騎手 3番人気

 


6 ライトヴィクトリー(長南) 石堂響騎手 12番人気

 


7 クールビッグスター(有馬) 吉村智洋騎手 6番人気

 


8 スターキー(橋本) 長尾翼玖騎手 9番人気

 


9 ブチエー(栗林) 永井孝典騎手 10番人気

 


10 ジョイブラック(高本) 大山真吾騎手 8番人気

 


11 アルザード(北野) 廣瀬航騎手 2番人気

 


12 サインポール(南) 下原理騎手 4番人気

  

 

 

 

 

 

 

◆レース

 

【スタート】 スタートはややバラついた。5オキザリスレディーがトップスタートから注文通りハナを奪うと、外から7クールビッグスターと6ライトヴィクトリーも前へ。1ヤシロケンチャン、3ベラジオソノダラブ、10ジョイブラックはやや出遅れた。

 

【1周目スタンド前】 前3頭がやや競り合い、その直後に11アルザードと2スマイルジョナスが付ける。6番手に9ブチエーで、3ベラジオソノダラブは中団追走。

 

【2コーナー】 中団から少しポジションを下げた8スターキーの内に12サインポール。その2馬身後ろに4ウィンチップと10ジョイブラックが並び、最後方から1ヤシロケンチャン。馬群全長15馬身以上で縦長の展開。

 

【向正面~3コーナー】 向正面から3ベラジオソノダラブが前との差を詰めにかかり、好位の後ろまで一気に進出。そのポジションで前が開くのを待つ。先頭から中団までの8頭が6馬身圏内に凝縮した。

 

【3コーナー】 外から一気に11アルザードが仕掛けて先頭の外へ。その真後ろから同じコースを通って3ベラジオソノダラブも追い上げ開始。後方にいた10ジョイブラックも大外から勢いよく中団に進出。

 

【3~4コーナー】 前の5オキザリスレディーと7クールビッグスターを11アルザードが一気に外から抜いて先頭へ。その背後にいた3ベラジオソノダラブは、11アルザードの外へ持ち出されて一気に加速。

 

【4コーナー】 11アルザードが先頭に立ったのも一瞬、あっという間に3ベラジオソノダラブが外から先頭に変わる。その後ろから9ブチエーと10ジョイブラックが追い上げてきた。

 

【4コーナー~最後の直線】先頭に立った3ベラジオソノダラブに初めて鞭が飛び、加速しながら馬場の真ん中へ。

 

【最後の直線①】 3ベラジオソノダラブのリードは1馬身。直線半ばで鞭がもう一発。内では11アルザードが2番手で粘りを見せ、外から10ジョイブラックが追い込む。

 

【最後の直線②】残り100m、3ベラジオソノダラブはリードを広げるわけではないが先頭をキープ。外から10ジョイブラックが勢いよく迫ってきた。

 

【最後の直線③】残り40m、外から10ジョイブラックが内の11アルザードを捉えて、2番手に上がる。

 

【最後の直線④】 ゴール直前、外から10ジョイブラックが一気に迫るも、3ベラジオソノダラブには届かない。

 

 

【ゴールイン】半馬身差で最後は少し流しながら3ベラジオソノダラブが重賞初制覇のゴールイン。2着には後方から長く良い脚を使った10ジョイブラック、13/4馬身差で11アルザードが3着。ここに最後詰め寄った12サインポールが4着だった。逃げた5オキザリスレディーは粘れず最後は10着での入線。

 

 

 

 

デビュー前からその素質が高く評価されていたベラジオソノダラブが3戦3勝で重賞初制覇を成し遂げた。

 

「スタートは遅れたけど、元々前走でも他の馬の方がテンは速かったし、逃げられるとは全然思っていなかった。他に速い馬もいたし控える展開も十分あると思っていた」と、田中騎手にとっては想定内の中団追走だった。

「レースで初めて砂を被っても問題なかったけど、序盤はちょっと行きたがっていた。その分で一気に動いたら息が入らないので、外に出さずにワタル(広瀬騎手)についていこうと思った」と田中騎手。

 

向正面から大外に出してマクる選択肢もあっただろうが、敢えてアルザードの真後ろにつけて進路ができるまで少し息を入れながら待つあたりはさすが名手。

単勝元返しの断然人気馬に乗っていると早目に外に出して安全に運ぶという選択をしそうなものだが、自分の馬のみならず、他馬の動きや手応えをも冷静に見られている証左だ。

 

仕掛けられた時に一気に加速して前を捉え、初めて入れられた鞭にも問題なく反応したベラジオソノダラブが、大きな期待に応えてのデビュー3連勝を飾った。

 

 

 

坂本和也調教師 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

 

 

中1週でのローテーションだったが、「順調に来ていたし、前よりもかえって良かった」と坂本師。

初めての揉まれる展開だったが、「ゲートはこの先も分からないので、それにも対応できる馬じゃないと。この競馬ができたことは強みに変わる、必ず今後の糧になる」ときっちり対応力を見せて勝ち切ったことを喜び、「この馬のいい所は心肺機能がいい所、器用さもある」と愛馬を讃えた。

 

 

 

次走は未定だが、今年の最終目標を12/31(土)の園田ジュニアカップに定めている。

そのために本番前に一度1700mを経験させておきたいという考えが坂本師にはあるが、11/24(木)には兵庫ジュニアグランプリ(Jpn2/園田1400m)があってこれも選択肢の一つとなる。

オーナーと相談の上、園田ジュニアカップの前にどこを使うかが決まる。

 

 

 

オーナーの「園田を愛している」という思いが詰まった馬名ベラジオソノダラブ。

「どうしても全国にこの名を広げたい」と坂本師も意気込む。

 

“ソノダ”愛が一杯に詰まったベラジオソノダラブが、ファンに愛される名馬への第一歩を踏み出した。

 

 

 

 

写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと

2022 姫山菊花賞 レポート

2022年09月29日(木)

 

◆重賞『第62回姫山菊花賞』(園田1700m) ◆

Road to JBCの一戦として組まれている重賞「姫山菊花賞」。今年は南関東からの遠征馬3頭を加えた9頭で争われた。

 

 

1番人気は単勝1.8倍でジンギ。
2020,21年の年度代表馬で、重賞11勝。今年の上半期は、白鷺賞、兵庫大賞典、六甲盃を勝利し、今回は夏の休養を挟んでの復帰戦となる。2020年の姫山菊花賞で同僚馬のエイシンニシパの2着敗れて以来、2年間地元馬には負けていない兵庫の絶対王者。今回勝てば獲得賞金2億円超えとなり、ケイエスヨシゼンの記録を抜いて兵庫の歴代最高賞金獲得馬ともなる。

 

2番人気は単勝2.7倍でシェダル。
兵庫大賞典ではジンギをクビ差まで追い詰めて2着。真夏のハンデ重賞摂津盃を58.5kgを背負いながら優勝し、タイトルホースとしてジンギとの再戦を迎えた。

 

3番人気は単勝4.8倍でラッキードリーム。
昨年の門別三冠馬で、前走の移籍初戦を6馬身差で勝利。ジンギ、シェダルと共に、三強の一角と目された。

 

前走の摂津盃(10着)は出遅れが大きく響いたタガノウィリアムが単勝20.7倍の4番人気。さらに、イヌワシ賞(金沢)の連覇経験があるアイアムレジェンド(川崎)が単勝21.5倍の5番人気。

 

 

先週は前と内がかなり有利だった馬場も、砂の補充があって徐々に緩和されてきた印象。上空は曇天。雨の予報もあったが、幸い降り出すことはなく、稍重馬場でレースを迎えた。

 

スタートは、シェダルが若干出負けした以外ほぼ揃った飛び出し。そこからタガノウィリアムがハナを奪うと、ジンギは2番手につけた。逃げ宣言をしていたアイアムレジェンドは、序盤スピードに乗るのに時間がかかってハナを奪えず外の3番手。ラッキードリームは好位5番手で、その後ろの中団にシェダルが構えた。

2周目の向正面に入ってすぐ、逃げるタガノウィリアムが早くも後続を突き放しにかかると、2番手のジンギも楽に逃がすとまずいとばかりに追い出しを開始。ラッキードリームも早めに3番手に押し上げて勝負所を迎える。

 

3~4コーナーでやや動きが鈍ったラッキードリームをシェダルが一気に抜いて3番手に上がりジンギに接近して直線に入った。

逃げるタガノウィリアムの脚色はなかなか衰えず、そのままジンギ以下を振り切って逃げ切るかに思われた残り100m。ここから大外一気に豪脚を披露したラッキードリームがゴール直前で内の各馬をまとめて差し切って優勝。さすがは門別三冠馬という末脚を見せつけ、重賞6勝目を挙げた。

 

タガノウィリアムが2着に粘り、ジンギは3着、地元馬に2年ぶりの黒星となった。一旦はジンギに並びかけようとしたシェダルは、末脚が最後は鈍って4着。

 

上位3頭は3番人気→4番人気→1番人気の決着で、三連単は16,700円だった。

 

 

 

 

ラッキードリームは、重賞6勝目。

 

<獲得タイトル>

2020 サッポロクラシックカップ、JBC2歳優駿(Jpn3)
2021 北斗盃、北海優駿、王冠賞
2022 姫山菊花賞

 

 

 

下原理騎手は重賞通算77勝目。
今年は菊水賞に続き2勝目。
姫山菊花賞は2018年タガノゴールドで制して以来となる2度目の勝利。

 

 

 

新子雅司厩舎は重賞51勝目。
兵庫ダービー以来となる今年8勝目。
姫山菊花賞は、2014年タガノジンガロと2018年タガノゴールドに続く3度目の勝利。

 

 

 

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)

 

 

 

◆出走馬

 

1 (川)コーラルツッキー(山崎裕也)  大山真吾騎手 6番人気

 

2 ヒダルマ(柏原) 川原正一騎手 8番人気

 

3 シェダル (長南)  吉村智洋騎手 2番人気

 

4 ラッキードリーム (新子) 下原理騎手 3番人気

 

5 (川)アイアムレジェンド (内田勝義)  藤本現暉騎手 5番人気

 

6 アワジノサクラ (北野)  大柿一真騎手 7番人気

 

7 タガノウィリアム (新子) 笹田知宏騎手 4番人気

 

8 (浦)バーナードループ (水野貴史)  廣瀬航騎手 9番人気

 

9 ジンギ (橋本)  田中学騎手 1番人気

 

 

 

◆レース

天候「曇り」、馬場状態「稍重」でスタートを迎えた。

 

【スタート】 ほぼ揃ったが、3シェダルが半馬身ほど若干の出負け。

 

【1周目3~4コーナー】 7タガノウィリアムがハナを奪い、9ジンギは2番手。1コーラルツッキーが3番手で、逃げ宣言をしていた5アイアムレジェンドが遅ればせながら外から上がってくる。

 

【1周目スタンド前①】 5番手に4ラッキードリームでその直後の中団に2ヒダルマと3シェダル。後方に6アワジノサクラと8バーナードループが続いた。

 

【1周目スタンド前②】馬群全長は10馬身となり、極端にペースダウンすることなく進んでいく。

 

【2周目2コーナー~向正面】 逃げる7タガノウィリアムが早くも向正面に入ったところから徐々にペースアップ。9ジンギは後ろの有力馬を気にしながらも、前を自ら捕まえにいかないといけない難しい立場だが、早めに田中騎手も促して前を追いかける。

 

【2周目向正面】4ラッキードリームも9ジンギをマークするように自然と3番手に上がる。その後ろから3シェダルも追い上げ開始。

 

【2周目3コーナー】 逃げる7タガノウィリアムは軽快。9ジンギも追われるが、先頭との2~3馬身差がなかなか詰められない。

 

【2周目3~4コーナー】 4ラッキードリームも動きが鈍くもたもたしている間に、外から3シェダルが3番手上がる。5番手以下は離された。

 

【4コーナー~最後の直線】 7タガノウィリアムが逃げ粘って3馬身リード。直線でやや外に出した9ジンギの外から3シェダルが並びかけようとする。4ラッキードリームは大外へ。

 

【最後の直線①】残り150m。7タガノウィリアムを追ってジワジワ差を詰めてくる9ジンギ。3シェダルは末脚が鈍り、その外から4ラッキードリームが一気に伸びる。

 

【最後の直線②】残り50m。7タガノウィリアムのリードは2馬身。9ジンギの外から4ラッキードリームが鋭い伸び脚を披露。

 

【最後の直線③】4ラッキードリームが9ジンギをあっという間に捕らえ、さらに7タガノウィリアムに襲い掛かる。

 

【最後の直線④】ゴール直前。7タガノウィリアムの必死の粘り、4ラッキードリームの豪脚。9ジンギは3番手。

 

【ゴールイン】3/4馬身差で4ラッキードリームが優勝のゴールイン。重賞6勝目。2着は7タガノウィリアムで、逃げに持ち込めばしぶといところを改めて見せつけた。半馬身遅れで絶対王者9ジンギは3着。3馬身離れた4着に3シェダル。そのあとは9馬身ちぎれた。

 

 

 

 

“三強対決”とも呼ばれた姫山菊花賞だったが、終わってみればタガノウィリアムを加えた“四強”だったと言えるべきだろう。

 

レースを面白くしたのも、またジンギ陣営にとってレースを難しくさせたのも、“タガノウィリアムの逃げ”だった。
当初、川崎のアイアムレジェンドも逃げ宣言をしていたが、思ったほど二の脚がつかず、タガノウィリアムが注文通りの逃げに打って出た。

ジンギにとっては、前にタガノウィリアム、後ろにラッキードリームとシェダルがいる難しい展開となった。後ろを警戒しすぎれば前に残られてしまうし、早めに捕まえに行けば後ろの恰好の目標になってしまうからだ。

 

そんな難しいレースを強いられた絶対王者を瞬く間に差し切ったのが、門別三冠馬ラッキードリームだった。

「ゲートが心配だったので少し緊張しました」(下原騎手)というスタートもしっかり決めて道中は好位。「絶好の位置取りでいいペースと思っていた」と下原騎手が話せば、新子師も「ウィリアムが逃げてジンギがいてそれを見る形という予想通りの展開」と振り返った。

 

「シェダルがまくってきた時に対応できず、思ったより動かなかった」と2周目3コーナーでやや前との差が離れてしまったものの、「外に出したらすごい豪脚でした。道営時代の映像見ても直線すごい脚だったので、こういうことかという乗り心地でした」と直線の伸びに下原騎手も舌を巻いた。

 

 

 

下原理騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

新子雅司調教師 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

 

2年間地元馬に負けていなかったジンギを破ったことについて、「ジンギは園田を代表する馬なので負かす時は心が痛いです」と下原騎手。

新子師は「嬉しいですけど、ジンギも休み明けでまだ100%の状態じゃないと思う。金盃でまた勝負すると思うのでまたいいレースができれば」と相手への敬意を忘れることなく、再戦に思いを馳せた。

 

 

「タガノゴールドがいなくなった後からジンギの地元無敗が始まったので、それをうちの厩舎で止められたのは良かったかな」と、思わぬ形でこの世を去った愛馬の名前を出して、新子師はしみじみ語った。

 

ラッキードリームの年内の大目標は園田金盃。その前に一叩きするかどうかはオーナーと相談するとのこと。

そして「来年はダートグレードを狙っていきたい」と話し、短距離界はイグナイター、中距離界はラッキードリームと二段構えで旋風を巻き起こす。

 

 

ただ、まだ勝負付けが完全に終わったわけではない。今回敗れたジンギもシェダルもこのまま黙ってはいないだろう。
涼しくなり上積みが見込める師走のグランプリ「園田金盃」の再戦が今から待ち遠しい。

 

 

 

 

 

写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと

2022 園田チャレンジカップ レポート

2022年09月23日(金祝)

 

◆重賞『第19回園田チャレンジカップ』(園田1400m) ◆

 

西日本交流重賞の園田チャレンジカップは、高知と金沢からそれぞれ2頭ずつの遠征馬を加えて12頭で争われた。
去年の優勝馬コウエイアンカと2着馬ダノングッドが揃って出走し注目を集めた。

 

 

1番人気は、昨年の覇者コウエイアンカで単勝2.6倍。昨年重賞初制覇を成し遂げた舞台に今年も登場。切れる末脚にさらに磨きがかかり、今年春から1230mのA1戦で4連勝。前走「サマーチャンピオン」(佐賀 Jpn3)で初めてダートグレードに挑戦し、JRA勢相手に2着に好走。充実の時を迎え、このレース連覇を狙う。

 

2番人気は単勝3.1倍で高知のダノングッド。昨年のこのレース2着馬で、6月に園田FCスプリントを連覇。衰え知らずの10歳馬は、園田成績2-2-0-0という抜群の馬場相性も相まって人気を集めた。

 

3番人気は単勝5.8倍でエイシンビッグボス。昨年の園田オータムトロフィーの勝ち馬で、全国交流重賞の楠賞でもイグナイターの3着に好走した馬。今回は、4月の東海桜花賞4着以来となる5ヶ月半ぶりのレースだった。

 

昨年摂津盃と兵庫ゴールドカップで2着と重賞でも好走歴があるメイプルグレイトが単勝5.9倍の4番人気。さらに、今春5連勝を飾り、前走初めてA1を勝った上がり馬ビナサクセスが単勝13.4倍の5番人気。単勝6番人気以下は24倍以上のオッズ。

 

 

 

前日に一旦稍重まで乾いたコースは、午前中まとまった雨が降った影響で再び重馬場。特筆すべきは、1Rの最下級戦で1分32秒台前半の時計が出るなど通常より約2秒も速い馬場で、前に行った馬が止まらない馬場となっていた。既に終了の10レース中8レースで勝ち馬は逃げ切りという特殊な馬場状態だった。

 

ダノンジャスティスがスタートを決めると1番枠を利して一目散に先頭へ。コウエイアンカはやや出遅れて後方から道中で中団まで徐々に押し上げる展開となり、ダノングッドは序盤から気合いを付けられながら4番手を追走した。

 

重賞らしく道中もそれほどペースが緩むことなく流れた中、勝負所からダノンジャスティスがスピードを上げるとなかなか後続も差を詰められない。結局、内枠&逃げ有利の馬場を味方につけてダノンジャスティスがそのまま逃げ切り重賞初制覇。

 

2着にダノングッドで、今年の園田FCスプリントの1,2着がそっくり入れ替わる形の高知勢ワンツー。地元馬最先着は田中騎手が外枠ながら内で上手く立ち回ったマリターの3着。好位インで進めたエイシンビッグボスが4着。1番人気コウエイアンカは外を回る形で5着まで追い込むのが精一杯、前と内が有利の特殊な馬場状態に泣いた形となった。

 

 

上位3頭は7番人気→2番人気→8番人気の決着で、三連単は102,360円だった。

 

 

ダノンジャスティスは、JRA時代含め14度目の重賞挑戦で初優勝。
4度目の園田遠征でついにタイトルを手にした。

 

<獲得タイトル>
2022 園田チャレンジカップ(園田)

 

 

上田将司騎手は重賞通算7勝目。2014年土佐秋月賞をニシノマリーナで制して以来8年ぶりの重賞制覇。
兵庫重賞は初制覇。

 

 

別府真司厩舎は重賞53勝目(今年だけで重賞7勝)。
兵庫の重賞は、今年の園田FCスプリントをダノングッドで制して以来で3勝目。
園田チャレンジカップは初制覇。

 

 

 

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)

 

 

 

 

◆出走馬

 

1 (高)ダノンジャスティス(別府真司)  上田将司騎手 7番人気

 

2 フーズサイド(北野) 廣瀬航騎手 6番人気

 

3 メイショウヴォルガ (高馬)  笹田知宏騎手 9番人気

 

4 ビナサクセス (柏原) 川原正一騎手 5番人気

 

5 メイプルグレイト (大山)  吉村智洋騎手 4番人気

 

6 コウエイアンカ (保利平)  大山真吾騎手 1番人気

 

7 (金)スマートアクシオン (井樋一也) 藤田弘治騎手 10番人気

 

8 エイシンビッグボス (橋本)  下原理騎手 3番人気

 

9 (高)ダノングッド (別府真司)  多田羅誠也騎手 2番人気

 

10 マリター (盛本)  田中学騎手 8番人気

 

11 (金)サウスブルーグラス(中川雅之)  田知弘久騎手 11番人気

 

12 イルティモーネ(石橋)  長谷部駿弥騎手 12番人気

 

 

 

 

 

 

 

◆レース

午前中は強い雨に見舞われたが、午後からは徐々にお天気も回復。気温23℃、馬場状態「重」でスタートが切られた。

 

【スタート】 スタートはまずまず揃った方だが、6コウエイアンカと11サウスブルーグラスは若干の出遅れ。1ダノンジャスティスが好発を決めてそのまま外を牽制しながら逃げに持ち込むと、その外から5メイプルグレイトが2番手につけた。

 

【1周目スタンド前①】 4ビナサクセスをインコースから抜いて2フーズサイドが3番手に上がり、ここに外から8エイシンビッグボスが内にコースを変えながら並んでいく。9ダノングッドは好位の外。中団のインに10マリターが潜り込み、その後ろから3メイショウヴォルガ、6コウエイアンカ、7スマートアクシオンと続く。最後方で11サウスブルーグラスと12イルティモーネが並ぶ展開。

 

【1周目スタンド前②】 8エイシンビッグボスはスピードを上げながらラチ沿いの3番手インを奪取。祝日開催ということもあって多く詰めかけた3200人超の観衆から大きな拍手が沸く中、キックバックを嫌がる9ダノングッドは鞍上に気合いをつけられながら4番手の外を進み、6コウエイアンカも中団後ろまで徐々にポジションを上げていく。

 

【2コーナー~向正面】 序盤は入れ替わりがあったが、1~2コーナーで馬順が決まった。馬群はバラけ、全長20馬身近い縦長の展開。ペースは緩むことなく流れた。

 

【3~4コーナー】 気風良く逃げる1ダノンジャスティスに対し、5メイプルグレイトが外から並びかける。8エイシンビッグボスは3番手で盛んに鞭が飛ぶが、前との差が少しずつ離れていく。そこに外から9ダノングッドが追われながらじわじわ接近し4番手。その直後のインをロスなく10マリターが進み、その外にいる4ビナサクセスのさらに外から6コウエイアンカが追い上げていく。

 

【4コーナー~最後の直線】逃げる1ダノンジャスティスが再び1馬身リードを取る。一旦先頭に並びかけた5メイプルグレイトが突き放され、3番手は内で8エイシンビッグボス。4番手は外に9ダノングッド、内から10マリターも脚を伸ばす。大外の6コウエイアンカは6番手。

 

【最後の直線①】 残り150m、1ダノンジャスティスがリードを広げていく。2番手争いは4頭並び、最内から8エイシンビッグボス。外から伸びる9ダノングットと末脚鈍った5メイプルグレイトとのわずかな隙間に10マリターも臆することなく飛び込んでいく。

 

【最後の直線②】残り50m、1ダノンジャスティスが2馬身リード。5メイプルグレイトが脱落した2番手の争いは、内に8エイシンビッグボス、外に9ダノングット、その間にいる10マリターの3頭に絞られた。6コウエイアンカも伸びているが届かない。

 

【最後の直線③】2番手争いは9ダノングットが制し、10マリターも8エイシンビッグボスを抜いて3番手に上がった。

 

【ゴールイン】1ダノンジャスティスが1馬身粘って重賞初制覇のゴールイン。道中はずっと押っ付けられながらも9ダノングットが地力を見せて2着。外枠ながらインをロスなく立ち回る田中騎手の好騎乗が光った10マリターが半馬身差の3着。さらに11/4馬身差で8エイシンビッグボスが4着。ここにハナ差に迫った6コウエイアンカは5着が精一杯。

 

 

 

 

 

 

 

ダノンジャスティスとダノングッドの2頭で高知から乗り込んだ別府師は、この日の馬場傾向から「逃げ馬有利と見てジャスティスには逃げるように、グッドには外だけは回らないように」と騎手に指示を出していた。

 

「今日は前が残るので何が何でも行けと指示があって、馬の状態も良かったので自信を持ってイチかバチか行きました」とレース後に上田騎手も話した通り、枠順と逃げ有利の馬場をしっかり味方につけたダノンジャスティスが初タイトルをゲット。

 

レースから引き揚げてきた上田騎手に「俺が言った通りだろ」と別府師が声を掛ければ、「もちろんです」と答え、作戦通りの勝利を分かち合った2人。

上田騎手にとっては、8年ぶりの重賞制覇。他地区での重賞勝利は初めてで、「別府先生のおかげです」と感謝を述べた。

 

 

 

「高知だと3~4コーナーでもたつくところがあるが、馬場も味方してくれた。直線でも手応えはあったが、ダノングッドやコウエイアンカの上がりが凄いのは知っていたので最後まで気は抜けなかった。初めてダノングッドに勝てて嬉しいし、園田でワンツーできたのも良かった。僕自身が一番嬉しい」とダノンジャスティスと1年近くずっとコンビを組んできた上田騎手は勝利を喜び、愛馬を労った。

 

 

 

 

 

上田将司騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

別府真司調教師 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

 

 

「距離は1400mまでかなという感じはするが、スピードはすごくあるのでスピードを生かす競馬をすればまだまだやれる」と6歳にして大仕事をやってのけたパートナーの充実ぶりを上田騎手は感じている。

 

別府師は、「ダノングッドの方が今のところは光っているが、もう10歳という年齢的なことも出てきたので、これからはジャスティスにも頑張ってもらわないと。逃げてジャスティス、差してグッドというダノン軍団でこれからも挑戦したいです」と意欲十分。

 

既に昨年今年と2年連続で出走している「園田FCスプリント」と「園田チャレンジカップ」の両重賞には、来年も出走してくる可能性は十分。もしかすると来年を待たずして、来月10/20(木)に園田で行われる全国交流重賞「兵庫ゴールドカップ」(1230m)にも名前があるかもしれない。

 

 

 

 

 

「園田さんは強い競馬場なので、そこに挑戦できるだけでも幸せなこと」と別府師は謙虚に話したが、土佐の別府軍団はこれから何度も園田勢の大きなライバルとして立ちはだかることになるだろう。

 

そして、お互いに切磋琢磨することで、西日本の競馬はますます盛り上がっていく。次の激突が楽しみだ。

 

 

 

写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと

2022 園田プリンセスカップ レポート

2022年09月22日(木)

 

◆重賞『第24回園田プリンセスカップ』(園田1400m) ◆

 

今年園田で行われる初めての2歳重賞で、グランダムジャパン2歳シーズンの開幕戦として行われる全国交流戦。
2010年より全国交流となって以降、兵庫と門別が5勝ずつ、笠松と船橋が1勝ずつ。
昨年は門別勢がワンツーを飾るなど、近年は門別勢が強さを見せる中、今年も2頭が遠征をしてきた。
大井から参戦予定だったスイープステークスは疾病のため競走除外となり、9頭で争われた。

 

 

 

 

1番人気はアイガットユー、単勝1.8倍の断然人気だった。母は2016年の菊水賞馬シュエットで、新種牡馬ベストウォーリアとの配合で産まれた初仔。おじには、昨年のJBCクラシックの優勝馬ミューチャリーもいる血統で、関係者の期待通りにデビューから逃げて連勝。2戦2勝での重賞初挑戦となった。

 

2番人気は単勝3.4倍でエイシンエイト(門別)。門別でデビューから連勝を飾ったものの、その後はレベルの高い相手にやや苦戦。前走距離を伸ばした1600m戦のオープンで3着と復調気配を見せての遠征だった。

 

3番人気は単勝4.6倍でエイシンレゲンダ(門別)。6月にエイシンエイトとの直接対決で敗れてはいたものの、牝馬の重賞「フルールカップ」で3着の好走歴。これまで1000m戦を中心に使われており、今回初の1400m戦が鍵となった。

 

今年新設された「兵庫ジュベナイルカップ」で牝馬最先着の3着だったイケノシイチャンが単勝11.2倍の4番人気。さらに前走のアッパートライで中団から鋭い伸びを披露し認定勝ちを収めたアドワンが単勝16.1倍の5番人気で続き、6番人気以下は46倍以上と大きく離れていた。

 

 

 

強烈な台風14号が日本列島を通過し、前週の残暑から一気に秋の空気が入り込んだ園田競馬場。気温26℃、稍重馬場でスタートが切られた。

 

スタートはまずまず揃ったが1番人気アイガットユーはゲート内の駐立が良くなく、若干の出負け。外からエイシンエイトが逃げようとしたが、内からバクレツマホウも応戦して逃げを主張。速い流れとなった。前2頭から大きく離れた3番手集団にアイガットユー、アドワン、エイシンレゲンダが固まって進む。

 

息が入りづらい展開のままレースは進み、向正面でエイシンエイトが早々と先頭に立つと後続勢も一気に接近。1番人気アイガットユーが3コーナー入口で脱落し、4コーナーではエイシンエイトにエイシンレゲンダと門別勢2頭が抜け出した。ここに大外からイケノシイチャンと最内からアドワンが良い手応えで迫って直線を迎えた。

 

内で追い出しを待たされる形だったアドワンは、直線入口で田野豊三騎手に外に誘導されると、前走同様の素晴らしい切れ味を発揮して一気に内の2頭を差し切り、後続を3馬身離して優勝。重賞初制覇を果たした。

道中最後方追走のカタラがゴール前で2着に浮上し、2番手から早目先頭に立ったエイシンエイトが3着。4コーナー一気のまくりを見せたイケノシイチャンは伸び負けて4着、1番人気アイガットユーは大差離された5着だった。

 

 

園田プリンセスカップは、4年ぶりに地元兵庫勢が勝利。
このレースの兵庫勢のワンツーは、アスカリーブル-メイレディーで決着した2011年以来11年ぶりのこと。

 

上位3頭は5番人気→6番人気→2番人気で、三連単は116,500円と波乱の決着だった。

 

 

アドワンは、重賞初挑戦で初勝利。
デビューから3戦2勝となった。

 

<獲得タイトル>
2022 園田プリンセスカップ(園田)

 

 

 

田野豊三騎手はデビュー13年目で重賞初勝利。
重賞では過去2着1回3着3回あったが、今回57度目の挑戦にして初のタイトルとなった。

 

土屋洋之調教師は開業10年目で重賞初勝利。
重賞では過去2着2回3着1回あったが、のべ25頭目の挑戦にして初タイトルをゲット。

 

 

 

 

レース結果はこちら>>>(NAR 地方競馬情報サイト)

 

 

 

 

◆出走馬

 

 

1 イケノシイチャン(高馬)  杉浦健太騎手 4番人気

 

2 バクレツマホウ(橋本) 鴨宮祥行騎手 7番人気

 

3 (北)エイシンレゲンダ (田中淳司)  田中学騎手 3番人気

 

4 アドワン (土屋) 田野豊三騎手 5番人気

 

5 カタラ (諏訪)  廣瀬航騎手 6番人気

 

6 (北)エイシンエイト (角川秀樹)  吉村智洋騎手 2番人気

 

7 アイガットユー (新子) 笹田知宏騎手 1番人気

 

8 ライトヴィクトリー (長南)  竹村達也騎手 9番人気

 

 

9 (大)スイープステークス (蛯名雄太)  岡部誠騎手 【競走除外】

 

10 カタシグレ (橋本)  大山龍太郎騎手 8番人気

 

 

 

 

 

◆レース

気温26℃、馬場状態「稍重」でスタートが切られた。

 

【スタート】 スタートはまずまず揃った方だが、3エイシンレゲンダ、6エイシンエイト、7アイガットユーが若干の出負け。1イケノシイチャンはダッシュがつかず。二の脚がついた6エイシンエイトが外から逃げようとしたが、内から2バクレツマホウも応戦して逃げを主張。その際に2バクレツマホウは外にヨレてしまい、その影響で進路が狭くなった3エイシンレゲンダは接触もあってポジションが下がる不利を受けた。

 

【1周目スタンド前】 2バクレツマホウと6エイシンエイトが競り合いながら3番手以下を離していく。遅ればせながら上がって来た7アイガットユーが3番手へ上がり、内では4アドワンが抑えて4番手。3馬身離れた中団に8ライトヴィクトリー、3エイシンレゲンダ、1イケノシイチャンと続き、後方は10カタシグレ、5カタラとなった。

 

【2コーナー】 2バクレツマホウがハナを奪い切り、ハイペース。6エイシンエイトは2番手で、3馬身離れて7アイガットユーがやや押っ付けながら3番手追走。その後方は固まってきた。

 

【2コーナー~向正面】 一時は12馬身ほどに伸びた馬群が8馬身圏内に詰まり、3番手以降は一団となった。

 

【向正面~3コーナー】 3コーナー手前で早くも2バクレツマホウは失速し、6エイシンエイトが押し出されるように先頭に立つ。7アイガットユーも勢いが鈍り、その内から4アドワンと外から3エイシンレゲンダが上昇開始。最後方にいた5カタラもインを突いて上がってきた。1イケノシイチャンも外から上昇開始。

 

【4コーナー】先頭は6エイシンエイト。その直後に4アドワンと3エイシンレゲンダが続き、ここに大外から一気に上がってきた1イケノシイチャンが加わる。3馬身離れて5番手に5カタラが浮上。

 

【最後の直線①】 外から一気にまくった1イケノシイチャンが先頭に立つと、内では6エイシンエイトが応戦。直線に向くところで内から外にうまく出した4アドワンが前に迫る。

 

【最後の直線②】残り100m、並ぶ間もなく4アドワンが先頭に変わる。外から5カタラも伸びてきた。

 

【最後の直線③】4アドワンが一頭突き抜け、2着争いは内に6エイシンエイト、中に1イケノシイチャン、外から5カタラの3頭。5番手以下は大きく離れた。

 

【最後の直線④】 1イケノシイチャンの勢いが鈍り、内から6エイシンエイトが差し返す。5カタラの伸び脚が鋭い。

 

【最後の直線⑤】 4アドワンが後続との差を広げ、最後は流す余裕すら見せた。

 

【ゴールイン】後続を3馬身ちぎって4アドワンが重賞初制覇のゴールイン。2着にはゴール寸前で5カタラが上がり、半馬身差で門別の6エイシンエイトが3着。さらに半馬身差で1イケノシイチャンが4着。そこから大差遅れて1番人気7アイガットユーは5着。もう一頭の遠征馬、門別の3エイシンレゲンダは6着だった。

 

 

 

 

田野豊三騎手、土屋洋之調教師にとって、待ちに待った重賞初制覇の瞬間が訪れた。

 

「自厩舎で初勝利できたことを光栄に思っています」と田野騎手は喜んだ。

「馬の手応えは良かったけど、4コーナーで勝負服が同じ(エイシン勢)2頭でラインができていたのでちょっと焦った。でも、外に出したら今までにないくらい弾けてくれた」と馬のセンスの良さを称賛した。

 

勝利した瞬間は「あまり実感が湧かず、あれ勝ったんだ。これ重賞よな・・・」という感じだったそう。そんな田野騎手に馬上から仲間が次々とおめでとうの声をかけた。

特に同じ2010年デビューで、良き友としてライバルとして鎬を削ってきた杉浦健太騎手は真っ先に近寄り、グータッチで祝福したシーンは印象的だった。

 


(レース映像より)

 

 

アドワンは、1400mのデビュー戦で逃げて2着。直線最後は内をすくわれる形となったが上々の新馬戦だった。

2戦目は未勝利戦ではなく、レベルの高い馬が揃うアッパートライ(JRA認定戦)をあえて使った。

「園田プリンセスカップを使いたかったので賞金を上積みしたかったし、重賞狙うんだったらアッパートライで良い競馬しないとダメだと思っていたので」と土屋師は話していた。

 

 

その園田プリンセスカップにこだわる理由が2つあった。

 

アドワンの母カクシアジは2013年の優勝馬だった。母は門別所属として園田へ遠征し勝利を手にした。あれから9年、「親子制覇を狙いたい」と思わせるだけの秘めたる素質がアドワンにはあった。

 

もう1つ、土屋師は園田プリンセスカップとは不思議と自分となにかしら縁があるレースと感じていた。

2013年に開業し、初めて重賞を使ったのがその年の園田プリンセスカップ。マカロンショコラで9着と敗れたが、その時の勝ち馬がカクシアジなのだ。不思議な縁はここから始まっていた。

さらに、2015年にはナツを出走させてクビ差の2着。重賞獲りへ初めてあと一歩と迫り、悔しさを滲ませたレースもまた園田プリンセスカップだった。この時に立ちはだかった優勝馬ランランランもカクシアジと同じ門別・田中淳司厩舎の馬だった・・・これも何の因果か。

 

「このレースにはなにか縁がある、相性がいいレースだ」と感じ、信じる想いをアドワンに託して、ついに最高の結果が出た。
「今日は勝ててその気持ちを強くしました」と、園田プリンセスカップとの良縁を再確認した。

 

 

 

 

田野豊三騎手 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

土屋洋之調教師 優勝インタビュー> (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

 

 

 

 

 

師弟の田野豊三騎手での重賞制覇に「それが一番嬉しいですね」と土屋師は目を細めた。

「二人三脚でやってきて、馬主さんも理解を示してくれて、失敗があってもずっと乗せて続けてくれた」とオーナーである下河辺牧場さんへの感謝の気持ちも溢れた。

そして、田野騎手も勝利騎手インタビューで「下河辺牧場の皆さんもありがとうございました」と感謝の言葉を述べていた。

 

思えば、土屋師が重賞に初挑戦したマカロンショコラも下河辺牧場の馬だった。それから丸9年、その下河辺牧場で産まれた牝馬で大きなタイトルを手にした。

「開業当初からお世話になっている下河辺牧場の馬で勝ちたい」その想いが花開いた。

 

 

 

 

次走は未定だが、10/18(火)に金沢競馬場で行われるグランダムジャパン2歳シーズンの第2戦「金沢シンデレラカップ」(1500m)も視野に入っているという。

 

アドワンの母カクシアジは2歳重賞を3勝し、グランダムジャパン2歳シーズンのチャンピオンとなった。

 

アドワン(Add One)とは、「隠し味にちょこっと加える」という意味があるそうだ。生産牧場でありオーナーでもある下河辺牧場が、「母以上の活躍を」と願って名付けたであろう名前。

アスカリーブル(2013,14年古馬シーズン連覇)-アクアリーブル(2020年3歳シーズン優勝)母娘のような親子2代のグランダム制覇へ。

 

 

カクシアジの娘が、その第一歩を力強く踏み出した。

 

 

 

写真:齋藤寿一
文:三宅きみひと

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