ルーキーイヤーは減量のアドバンテージを活かしての逃げ、
先行競馬で結果を残してきた。
現在◇-2kgの恩恵はありますが、
強者揃いの兵庫県競馬で生き残っていくためには
さらなる成長が求められる。
園田競馬場での調教開始は早い厩舎で0時前から始まる。
次から次へと馬場に競走馬が入り乗り運動、追切りを行う。
その光景が明るくなった朝の9時前まで続く。
佐々木世麗騎手は現在2歳馬の調教も行っている。
「山田雄大騎手に教わりながら2歳の調教をしていますが・・・
古馬と違って思い通りに動いてくれない事が多くて。
人が走り方を教えないといけないので大変です。」
レースの際、師匠の中塚調教師からは
「どういう風に乗ってきてとは言われますが、
だいたいは任せてくれますね。
『頑張ってこーい。』みたいな感じです。」
中塚調教師は具体的な指示は出さず、
佐々木騎手の思うように乗せてくれているそうだ。
同世代の活躍も刺激になっている。
6月のJRA交流ではJRAの今村聖奈騎手、
永島まなみ騎手と対戦し話題を集めた。
3人でパドックの控室に移動する姿が映像で残されている。
「あの時は馬場傾向どう?とか話したくらいですよ。
後は場所を案内したぐらいですね。」
その今村聖奈騎手(JRA)が7月、
小倉競馬場で行われたCBC賞(G3)で
重賞初制覇を飾った。
ハンデ48kgを活かしての逃げ切り勝ちで
日本レコードを叩き出した。
「中央と地方でフィールドが違うので
比較が難しいですが重賞制覇は凄いですよ。
私も取りたいですね。
軽量を活かせるハンデ重賞とかでチャンスがあれば掴みたいですね。」
兵庫県競馬でハンデの重賞となると、
新春賞、摂津盃、兵庫ゴールドトロフィー(Jpn3)の
3競走となる。
経験を積み力を伸ばして重賞戦線での活躍に期待したい。
今夏、地方競馬教養センターから兵庫に
騎手候補生が研修にやって来る。
近年は南関東を志望する候補生が多い傾向があるが、
佐々木世麗騎手をはじめ若手騎手が活躍をみせる事で
兵庫を志望する後輩が増えてくるかもしれない。
「ヤングジョッキーズシリーズは絶対ファイナルに行きたい。」
佐々木世麗騎手は見習い騎手卒業により、
ヤングジョッキーズシリーズの出場は今年が最後となる。
今年は9月8日(木)の園田ラウンド、
11月2日(水)の笠松ラウンドの合計4鞍に騎乗し
ファイナル進出を狙う。
「えっ!?今年は4鞍ですか!?
最後の出場になるのでもっと乗りたいです(笑)」
昨年の西日本トライアルラウンドは一人5鞍が与えられたが、
今年は出場者が増加し、一人あたりの騎乗数は4鞍または5鞍。
一つも取りこぼしが許されない戦いとなる。
昨年は木本直騎手が地元園田ラウンドで勝利するなど
合計63ポイントを獲得。
園田ラウンド終了時点で首位に立つが、
名古屋ラウンドで勝負掛けの騎手が結果を残し、
まさかの大逆転で出場を逃した。
「どの馬に当たるかは運も大事なので・・・
厳しい戦いになりそうです。
JRAの芝を経験してみたいですね。
先輩方は乗り味が全然違うと言われていたので
年末のファイナル(中京競馬場)で経験したい。
まずはトライアルラウンドで勝ち上がりたいです。」
昨年7月11日、
盛岡競馬場のオパールカップで初めて芝の競走を経験。
中団位置から馬群を捌いて3着と好走。
盛岡競馬場の芝はJRAの函館・札幌競馬場と同じ洋芝。
対して中京競馬場は、野芝に洋芝をオーバーシードされており、
同じ芝でも乗り味が違うという。
JRAの時計が出やすい芝で乗るには
西日本トライアルラウンドで上位4人に入らなければならない。
1鞍1鞍全力投球で挑む。
同期の神尾香澄騎手(川崎)が
東日本ラウンドで勝ち上がれば、
地方競馬教養センターで切磋琢磨した二人が
同じ舞台に立つ可能性も十分ある。
神尾騎手は7月22日時点で14勝をマーク。
昨年のルーキーイヤーの勝ち星に並び、
キャリアハイ更新も間近。
「神尾騎手が東日本地区、私が西日本地区なので、
一緒に乗るにはトライアルラウンドを突破するしかない。
昨年は電話で『お互い最後まで残ろうね』
と言いましたが二人とも突破出来なくて・・・
今年は二人揃ってファイナルに進んで同じレースに乗りたいです。
最後のヤングジョッキーズシリーズで
結果が残せるように頑張ります。」
一時は女性騎手の引退により、
現役人数が減り開催が休止していた
レディースジョッキーズシリーズも昨年10年ぶりに復活。
女性騎手の活躍の場が増えてきた。
他競技ではボートレースの遠藤エミ選手(滋賀支部)が
最高ランクのグレードレースで優勝するなど、
女性アスリートの偉業達成が続いている。
地道に努力を積み重ねればチャンスも必ず巡ってくる。
競馬界の歴史に新たな1ページを刻む日もそう遠くない。