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クローズアップ ホースマン達の勝負に懸ける熱き想い

石堂響騎手が戻ってきた

 

園田競馬場に石堂響騎手が戻ってきた。
ホッカイドウ競馬で3ヶ月間騎乗し8勝をマーク。
代打騎乗での重賞初制覇は記憶に新しい。
 
ファンや関係者に衝撃を与えた重賞初制覇から4ヶ月が経過。
石堂騎手に北海道遠征を振り返って頂いた。
 

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突然訪れた千載一遇のチャンス

期間限定初日の昼、調教が終わり部屋で仮眠していると
職員から連絡が入る。
それは当日のメインに行われる栄冠賞の騎乗依頼だった。
 
「急な連絡だったので驚きましたよ。
調教で跨っていない馬だったので、
ぶっつけ本番でレースを迎えました。」
 
騎乗したコルドゥアンは
5月のJRA認定フレッシュチャレンジ(新馬戦)を勝利。
2戦目以降はスタートで出負けするなど力を出せずにいた。
単勝は310.1倍。最低人気14番人気の評価だった。
 
栄冠賞はゲート内で煩い面をみせること無く、
まずまずのスタートを決めた。
繊細な気性を考え道中は無理せず最後方追走なった。
 
「陣営からはゲート内で煩くて危ない馬だから
無事に回ってきてほしいと言われました。
レースは馬群には突っ込まないようにしようと意識しました。」
 
レースは逃げたポリゴンウェイブ、
好位につけたライトニングブルーが渋とく粘る。
2頭の一騎打ちかと思われたが、
大外から矢のように飛んできた馬がいた。
石堂響騎手が跨るコルドゥアンだ。
 
「結果的に最後方からとなりましたが、
それが良い方に出ましたね。
重賞前のレースで直線外に持ち出した時に
伸びるなと感じていました。
直線までにうまく前を捌けたのでスムーズに外へと出せました。
馬群から離していた分、気分よく走ってくれたのかなと思います。
ただ外に行きすぎましたね(笑)。」
 
ゴールした瞬間は勝った自信が無かったそうだ。
内側にいた2頭とは大きく離れた外を走っていた。
 
「ゴールした後にターフビジョンを確認したら
赤岡修次さんをアップで映していたので、
届かなかったのかなと思いました。
検量に引き上げる時に発走委員の方から
届いていると聞きました。」
 
着順掲示板は写真判定と表示されていたが
微差で栄光を掴んだ。非常に大きいハナ差だ。
検量に引き上げると馬上でガッツポーズ。
 
「ゴールの時に出来なかったので、
初重賞制覇なのでやらないといけないなと
思ってやりました(笑)」
 
単勝は31,010円。
3連単は3,893,250円の大波乱。
急遽の代打騎乗で結果を残し、
デビュー5年目で嬉しい重賞初制覇。
ファンにも関係者にも衝撃を与えた一戦となった。
 
「乗っていた自分が一番ビックリしました。
一生忘れられない勝利になりましたね。
来て初日チャンスを下さった米川先生に感謝しています。」
 
石堂騎手の勝負服は「胴緑、黄色襷、袖緑、黄色一本輪」。
勝負服には母の緑子(みどりこ)さん、
妹の浅黄(あさぎ)さんの色が入っている。
 
「勝負服を決める時に思い付いたのが母と妹の名前でした。
それを使おうと思いました。」
 
家族の思いが詰まった勝負服で初の重賞タイトルを掴んだ。
23歳の誕生日前日。1日早い前祝いとなった。

 

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デビューから快進撃 夢も叶えた‬

‪「母が競馬好きで子供の時から一緒に
中継を観ていましたので、騎手に憧れました。」
中央の競馬学校は2度挑戦したが吉報は届かなかった。
高校1年の時に地方競馬教養センターの試験に合格。
第96期の騎手候補生として2年間厳しい訓練を受ける。
同期の落合玄太騎手、岩本玲騎手、出水拓人騎手、
吉井章騎手らと共に切磋琢磨。
2018年3月に教養センター卒業。
 
長南和宏厩舎所属で2018年4月17日にデビューを迎える。
デビュー戦の1Rは出遅れて後方追走。
道中早めに動くが、勝負どころで力尽き9着。
 
ほろ苦いデビューとなったが、2戦目の4Rで初勝利を挙げる。
 
「なんと!7番ナリタクローネ。石堂騎手。今日デビュー2戦目。」
実況していたのは憧れの吉田勝彦アナウンサー。
 
「親に録画してもらった園田競馬ダイジェストで
吉田アナの実況をよく聞いていたのを覚えています。
レースを見ながら「ゴ~ルイン」を真似した時もありました。」
2015年の9月末までサンテレビで放送されていた
園田競馬ダイジェスト。
子供の頃から聴いて真似した憧れのアナウンサーでの
初勝利を挙げた。
 
「自分が初勝利するときは吉田アナウンサーの実況で
決めたいと思います。」
デビュー前のセレモニーでの宣言を翌週に見事有言実行。
 
「ゴールした瞬間はひとつ夢が叶ったと思い嬉しかったです。」
勝利直後のインタビューで喜びを爆発させた。
 
石堂騎手がデビューした2018年から
兵庫県競馬の減量騎手規定が変わった。
一定の勝利数を超えると減量の数が減っていくが、
通算101勝に到達するまでは減量の恩恵が受けられる。
 
減量特典を活かした騎乗でデビューから開催4日間
連続勝利を記録。
順調に勝ち星を積み重ねていくと、
2018年8月30日には永井孝典騎手が持つ、
当時の兵庫新人最多勝記録を更新。
1年目に44勝を挙げ、猛者の集う兵庫で
リーディング12位につける。
 
デビュー2年目の2019年はキャリアハイに迫る
40勝をマーク。
10月13日にはJRA初騎乗。
京都競馬の第9R、紫菊賞(芝2000m)。
所属する長南和宏厩舎のガミラスジャクソンで挑んだ。
3年経過した今でも返し馬やレース映像を観ているという。
 
「確か実況は小塚歩アナウンサー(ラジオNIKKEI)
でしたね。騎手の顔触れをみたらJRAのトップ騎手だらけで、
その中に入ってレースが出来て感極まりました。」
 
G1秋華賞当日という事で現地には多くの競馬ファンが
詰めかけていた。
そのレースには小学4年生の時に対談した武豊騎手がいた。
 
「新聞の連載企画で子供が将来なりたい仕事の
プロに話を聞くコーナーがあり、
それに騎手になりたいと応募したら当選しました。
質問相手が武豊騎手と聞かされて驚きました。
緊張していて取材中は武豊騎手の目を見られなかったです(笑)。」
 
結果は大差の殿負けだったが、幼い頃からの夢を一つ叶えた。
 
ヤングジョッキーズシリーズ2019は
地方競馬西日本ラウンドを2位で予選通過。
年末のファイナルラウンドに進出し大井競馬場、
中山競馬場で騎乗した。
 
最終成績は9位だったが、大井の2戦目は伏兵馬で3着に入った。
 
「ファイナルは9位でしたね(笑)。
JRAで活躍している坂井瑠星騎手や菅原明良騎手と
一緒に乗れて嬉しかったですね。」
 
特技の「競馬実況」だけでなく、
本業の競馬でも全国に存在感をアピールした。

 

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