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クローズアップ ホースマン達の勝負に懸ける熱き想い

羽ばたけ、ヤングジョッキーズ!

 

羽ばたけ、ヤングジョッキーズ!

 全国の若き騎手たちが所属を超えて覇を競うヤングジョッキーズ・シリーズ(以下YJS)。
6月の船橋競馬からスタートしたトライアルラウンドも11月の最終戦(浦和競馬)を終え、
ファイナルラウンド進出の全14騎手が出揃った。
兵庫県からは長谷部駿弥、石堂響、田村直也の3騎手がエントリー。
石堂と田村は惜しくも合計得点で届かず、長谷部だけが進出を決めた。
加えて、高知競馬から武者修行に来ている松木大地も進出を決め、12月27日(大井競馬場)、
28日(中山競馬場)に行われるファイナルラウンド(4競走)で雌雄を決する。
長谷部、石堂、松木の3騎手がそれぞれの思いを語った。
 
 

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長谷部駿弥(はせべ しゅんや) 
 
1999年4月21日生まれ 大阪府大阪市出身
2017年4月18日デビュー。
地方通算 556戦33勝
 
スタート勘の良さがウリ。
不思議とナイター競馬開催となる金曜日に好成績を挙げるミスターフライデー!
 

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ファイナルは悔いなく、
カラダ全体で楽しみたい。

「去年よりはいい感じでここまで来れてると思います。
乗り鞍がふえたこともありますし、技術面も少しは伸びてるんじゃないかと…」
 
デビュー1年目13勝、今年は20勝(11月22日現在)、
成績が示すとおり順調な成長ぶりをみせている。
安定した走りがキープできている要因を
「まわりをよく見て、落ち着いて乗れていることが大きい」と冷静に自己評価する。
勝てない時期がつづくと先輩騎手にアドバイスを求め、アセる気持を抑える工夫もしてきた。
「ひとつ勝つだけで気の持ちようがガラッと変わります。
そういう意味でガレットショコラ(JRAからの移籍馬)で3連勝できたことは大きかったです」
 
くりっとした特徴的な目を輝かせ、はにかみむような表情が印象的だ。
 
少年っぽさが抜けない細身の体型だが、
筋トレでは普段使わない筋肉の強化につとめているという。
 
「馬に乗ってると背筋や腰まわりの筋肉は自然とつくんですけど、
腹筋とか胸筋はつかないので筋肉バランスがおかしくなるんです」。
騎乗時に使わない筋肉の鍛練法は、
もともとあった知識とネットで得た情報を合わせた自己流だそうで、
探究心もなかなか旺盛である。
 
YJSへのエントリーは、最下位に終わった昨年につづき二度目の挑戦。
序盤の笠松(6月)と高知(7月)で得点を稼いだのが有効なアドバンテージになった。
 
「出だしがよかったんで年末いけるんじゃないかと、序盤から中山(競馬場)を狙ってました」
 
トライアル最終ラウンド、地元園田のレースではタンバコージンに騎乗し狙いどおり差し切った。
「馬の脚質は把握してたので、
どういう展開になろうとラスト七百(メートル)ぐらいから追い出そうと考えてました」
と、ファイナル進出のかかった大一番でも沈着冷静なレース運びで勝利をもぎとった。
 
ファイナルラウンドは4レースの合計獲得ポイントで上位3位までが表彰される。
「はじめて行く競馬場で、はじめて乗る馬なので、
まず、落ち着いて乗ることが大事だと自分に言い聞かせてます。
こんな機会めったにないんで楽しみたいですね。
あれこれ考えるとそれがプレッシャーになるんで、とにかく落ち着いて楽しく騎乗したい。
いい結果が出れば、それはラッキーかなと」。
平常心で乗れば結果はあとからついてくる。気負いはない。
気になるジョッキーはいるのかと聞くと、
「馬が主役ですし技術の差もそんなに変わりないと思うんですけど…」
と前置きし「しいてあげるなら櫻井光輔(川崎)」をあげた。
「トライアルで3勝してるんです。今回のシリーズ、運を持ってるんかなと…」
 
ともかくも、中山競馬場で走れる貴重な経験を悔いなく、
カラダ全体で楽しみたいという思いが伝わってくる。
 
デビュー2年を経てまだまだ足りないものは多いが、
「勝ち負けを左右する瞬時の判断力を身につけたい」と長谷部は言う。
「レース前のシミュレーションどおりいくわけないんで。
大事なのは状況に応じて柔軟に対応できる一瞬の判断です」
 
目標にしていた20勝をクリアできたことで「自信がついた」と胸を張る。
それは数字を残せたことによる自信ではなく、
技術やメンタル面を伴った内容の充実からくる自信だという。
心技体ともにステップアップした長谷部駿弥がどんな活躍をみせてくれるか楽しみである。
YJSファイナルでのハイレベルな闘いに期待したい。
 

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