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クローズアップ ホースマン達の勝負に懸ける熱き想い

お盆シリーズ『摂津盃』に酔う!

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競馬場がテーマパークに変貌

 お盆を襲った台風10号が広島呉市付近に上陸したのは
8月15日午後のことである。
台風はまっすぐ北上し、夜には日本海にぬけたが、
関西地方では終日交通機関に乱れが出た。
そのため園田競馬はお盆シリーズの中日(なかび)が開催中止になり
水を差された格好になった。
 
 翌16日はナイター競馬の金曜であって、摂津盃が行われる。
前回この欄で紹介した11連勝中のヒダルマが出走する。
これまでずっと千四で使われてきて、今回はじめての千七。
しかも初の重賞挑戦なのだ。
 
「千七で折り合いのつく馬だから距離が延びても大丈夫」。
柏原調教師がそう断言していたのを思い出す。
ヒダルマの12連勝はあるのか。千七を逃げきれるか。
園田のファンもその一点に注目しているはずだ。
 

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 8月16日午後4時。前日が開催中止だったということもあって
場内は程よく混み合っている。
お盆休みで子ども連れのファミリー客が目立つ。
台風一過で少しは涼しくなるかと思っていたが、相変わらずの暑さ。
 
 5レースが終わったところで場内ステージに向かった。
大勢の子どもたちがステージ最前列に座って見上げているのは
猿まわしのショーである。
衣裳をまとった日本猿(パートナーのお兄さんは蘭丸と呼んでいた)が逆立ち、
バック宙、竹馬乗りと、体操選手も顔負けの
アクロバティックな演技をつぎつぎと披露する。
子どもたちからヤンヤの喝采。終始、無表情の蘭丸がなんともおかしい。
人間と猿との軽妙な掛け合いが観客の笑いを誘う。
最後の大技を成功させた蘭丸くん、少しは表情をくずすかと思ったが、
そういうこともなくショーは終わった。
 

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 つづいて登場したトム・ブラウンのお笑いライブには
100人近い観客が集まった。
このコンビ、自分たちの笑いは正統派じゃないなんて言いながら、
生のパイナップルを持ちだしてきて素手でジュースを絞り出したりする。
そんな特技をまじえ30分ほどシュールなネタで盛り上げていた。
 
 6時をすぎて、ようやく涼しい風が吹きはじめる。
観客もぞくぞく詰めかけている。
まだ陽は西の空に居座っているが、
人がふえて場内は夏まつりの様相に変わってきた。
サンバがはじまった。
女性ダンサー5人、リズムに乗って軽快にステップを踏む。
赤・白・茶・緑・紺の5色のボリュームたっぷりの羽根衣裳が乱舞する。
サンバは園田のサマーイベントに欠かせない存在になっている。
 

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 フードコートではビールと唐揚げ組がワイワイやっている。
職場の仲間とおぼしき数人が席に陣どり、乾杯がはじまった。
隣の席ではまぐろ丼、おでん、かき氷…。
若いカップルが顔を寄せ合って次のレースを検討している姿なんてものも、
見ていてほほえましい。
それぞれのグループが思い思いの場所で、
飲み食いしながら陽気に競馬をたのしんでいる。
この日ばかりは競馬場がテーマパークに変貌した感がある。
 

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わが町の競馬場を愛す

 お盆シリーズ初日の14日は入場者は3572人だった。
きょうは金曜ナイターとあって大勢の来場者が見込まれる
(この日の来場者は4521人だった)。
なかには朝8時から正入場門の前で待ったという熱心なファンもいる。
なぜ開門の4時間も前に並んだかというと、お気に入りの個室を確保したいから。
その一心で一番乗りをめざしたという尼崎在住のご夫婦に話が聞けた。
きょうは息子さん夫婦とお孫さん、三世代6人で競馬場で一日を過ごすのだという。
 
 「競馬も面白いけど、ここで一日家族とゆっくり過ごせるのがたのしい」
とご主人は話す。
 
 園田の個室が一家団らん、ホームパーティの場になっている。
こういう楽しみ方ができるのが個室のよさである。
園田ならではのインティメイト(親近感)な感じ、
わが町の競馬場を愛す、という考え方がなんとも素敵だ。
 
 朝一番に並んだという奥さんは予想紙の印を重視する本命党であるらしく、
荒れたレースが多い日はガッカリするという。
「◎のグリグリの本命が飛んだときは、もうやめてほしいわ(笑)。
まあね、馬の体調もあるしね。騎手の皆さんがケガせずに、
頑張ってくれたらと思います」と”園田愛”を語ってくれた。

 

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