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クローズアップ ホースマン達の勝負に懸ける熱き想い

歓声が消えた競馬場

史上初の無観客競馬

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 『新型コロナウイルス感染拡大防止のため当面の間、
お客様のご入場をお断りしての無観客にて競馬開催いたします』と
兵庫県競馬組合から発表があった。
 
それは2月28日のもので、
当面の間というのは3月12日までの開催日7日間のことだった。
 
その後にも無観客期間が延長され、
現在のところ年度をまたぐ3月31日から4月2日までの週は無観客が確定している。
都合、開催日16日間にまで及んでいる。
 
さらにこの先の見通しも悪く、果たしてどこまで続くかは誰にもわからない。
ただ、無観客であっても競馬が無事に開催されていることをありがたく思う。
 

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 インターネット投票のみの発売という苦肉の策だが、
売り上げが大きく落ち込むこともなかった。
以前のように、競馬場や場外発売所などの売り上げが中心であれば、
競馬自体が中止に追い込まれていたかも知れない。
 
2009年に新型インフルエンザの感染者が神戸で見つかり、
閉鎖的空間の神戸場外発売所(ウインズ神戸B館)が発売中止になったことがあった。
そのときは3日間の閉鎖だけで事態は収まり、
大きく売り上げを減らすことはなかった。
 
当時は、インターネット投票が地方競馬ではまだまだ十分に確立されておらず、
占める割合は(兵庫県競馬の場合)およそ23%でしかなかった。
ところが今年(平成31年4月~令和2年2月)はというと、
売り上げの79%超に至る。完全に反転した格好だ。
2009年にもし、無観客競馬が行われていたとしたら、
競馬界自体も大きく打撃を受けたことだろう。
 
それより何より、感染が拡大することなく終息したことに
安堵したことを覚えている。
当時もマスクが巷からなくなり、品薄の状態が続いたが、
それもしばらくの間だけだった。
このたびのコロナ禍は、
比べ物にならないくらい甚大な被害を世界中にもたらしている。

 

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井上幹太騎手が再デビュー

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無観客競馬でメインレースの表彰式やインタビューは屋内で行われ、
その模様を映像でお届けするかたちをとった。
ただ、無観客初日だけは準備が整わず、
場内で表彰やセレモニーが行われた。
そんな折り、ホッカイドウ競馬から移籍し再デビューを果たす、
井上幹太騎手の騎手紹介セレモニーが行われた。
 
 2013年、門別競馬場でデビューし、
その初戦を勝つという華々しく騎手人生をスタートさせた井上幹太騎手。
6年半のホッカイドウ競馬所属時代の成績は2574戦211勝。
重賞3勝を挙げていた。
 
 当初、期間限定騎乗で兵庫に来る予定だったが、
師匠の堂山芳則調教師と高知の雑賀正光調教師が同期という繋がりがあり、
その息子の雑賀伸一郎厩舎へ移籍する話が進んだ。
 
 移籍となると、兵庫県の規定で3ヶ月間の研修(移籍準備期間)を
受けなければならない。
 
 それでも、兵庫県(香美町)出身だったことと、
元来持っている明るいキャラクターで
すぐにこちらのジョッキーや関係者と馴染んで、
しっかり存在感を示し、この期間を無事に乗り切った。
 

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 迎えた騎手再デビューの日は、皮肉にも無観客競馬の初日。
ファンのいない西ウイナーズサークルで紹介セレモニーが行われたが、
いつもの明るいキャラクターは鳴りを潜め、ガチガチに緊張していた。
のちに「自分が自分じゃないみたいでした」と井上騎手は振り返った。
 
 「あのときは騎手として4ヶ月ほどレースに乗っていなかったので、
感覚が戻っていなかって、フワフワしていました。
競馬ってこんなんだったかなって感じでした(笑)。
今度、ファンの皆さんの前に出るときは、もう緊張しないと思いますよ」
と次は明るく堂々としたいつもの姿を見せてくれるようだ。
楽しみにしよう。
 

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