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クローズアップ ホースマン達の勝負に懸ける熱き想い

令和4年度優秀競走馬表彰

 
 

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田中学騎手
インタビュー

「(年度代表馬という)賞をいただける馬に
巡り会えたことと、そして賞を取れる少しの手助けが
できたことに感謝したいと思います。
 
(印象に残るレースは)南部杯が僕の中で
不本意なレースだったと思うので、
すごく印象に残っているのと、
これからの課題に繋がるレースだったと思っています。
良い位置を取れて、4コーナーを回った時に
インを突いたことが結果的にはああいう結果(4着)
になったと思っているので、決して力負けではない
と思っています。競馬に“たられば”はないんですが、
4コーナーで一つでも外に出ていれば結果は変わって
いたかなと思う、そこが反省点ですね。
 
はじめて乗った時はすごく行きたがる操作の難しい子
だなというのが印象的だったんですけど、
高知・名古屋と行くにつれて、すごくレースが上手に
なったのと自分で息を入れるが上手になって、
そこが成長したところだと思います。
 
(今年の)出るレースは年度代表馬として勝ちたいと思います。
ただ去年暮れの園田でのグレード(兵庫ゴールドトロフィー)
で不本意な結果になったので、
(前走の)高知の黒潮スプリントカップも不安だったのですが、
騎手が弱気になったのが情けないくらい強かったです。
これからは去年以上に結果を残す競馬ができると思います。
どこのレースも全力で戦いたいですが、
やはり地元でJRAの馬に勝ちたいという強い思いがあります。
 
(ファンへ向けて) イグナイターが勝ったら
良い評価をしていただくのはありがたいですけれど、
負けた時に少し残念なコメント等があるので
そういうのは色んな人が傷つきます。
競馬関係者も精一杯頑張っているので、
温かい目で応援していただければ有難いと思います。」

 
 

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新子雅司調教師
インタビュー

「(NAR年度代表馬は)ずっと取りたかった賞なので、
非常に嬉しく思っています。
1年を通してJRAの馬とずっと戦って、
力がついたかなと思います。
勝ったレースは嬉しかったですし、
負けはしましたけど南部杯でも0.2秒まで迫れたというのは、
『勝つチャンスが来たのかな』と少し嬉しかったです。
(1年を通してのイグナイターの変化は)
トモの緩いところがしっかりしたのと、
精神的に落ち着きが出たところです。
(管理する上で)気を付けているところは、体重と疲れです。
 
今年はかしわ記念を考えていますし、
もう一度南部杯にチャレンジして、
そこできっちり勝ちたいと思います。
(中央への挑戦は)今年はあまり考えていないです。
挑戦するとしたら来年かなと思います。
次走は黒船賞です。前哨戦が去年よりも良い
パフォーマンスができたので本番も楽しみです。
今年の大目標ははっきりとは定まっていませんが、
(秋には)南部杯なのかJBCスプリントなのか
どちらかを決めて取りにいきたいと思います。
 
今年も皆さんとともに喜べるようなレースが
できたらと思いますので、応援のほど宜しくお願い致します。」

 
 

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最優秀勝利回数騎手賞
吉村智洋騎手

2022年は349勝を挙げ、5年連続となる
兵庫リーディングに輝いた吉村智洋騎手。
2018年に296勝で自身初の兵庫リーディングに
輝いたその年に最優秀勝利回数騎手賞も受賞しており、
その時以来となる2度目の全国リーディング獲得となった。
 
9月末の時点では森泰斗騎手(船橋)と
19勝差をつけられる厳しい展開も、
10月の開催12日間で41勝と猛烈な勢いで勝ち鞍を伸ばして、
11月に逆転でトップに。
見事に2度目の全国トップの座を手にした。
 
表彰式当日も第6レースまで騎乗し、
姫路から新幹線で東京に向かう強行軍。
それでも表彰式開始ギリギリに会場入りできる予定だったが、
先行する新幹線に車両トラブルが発生したため、
吉村騎手の乗る新幹線もストップ。
約2時間もの間、静岡の浜松駅で足止めを食ってしまった。
 
それでもなんとか式典が終了する直前に会場入り。
時間の都合でステージに上がることは叶わなかったが、
座席でスポットライトを浴び、たくさん賞賛の拍手を受けた。
 
式典だから1日全てを休みにするのではなく、
この日は前半戦だけの騎乗にも関わらず5戦3勝。
乗れるものなら一つでも多く乗って勝とうという
この姿勢が全国リーディングを手繰り寄せるのだろう。
(前日から東京入りしてのんびりしていた筆者とは大違いだ・・・
さすがの一言である。)

 
 

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吉村智洋騎手
インタビュー

「素直に嬉しいです。
(349勝について)もうちょっと勝てたかなと思います。
いつも通り変わらないペースで勝っていたと思いますが、
後半になって勝ち鞍もいつもより上がったかな
と思っていたので(全国リーディングの)チャンスも
あるかなと思っていました。
取れるものは取っておかないと
次いつ来るかも分からないので、
そういう気持ちだけはありました。
 
(今年1/11の1日7勝について)たくさん良い馬に
乗せて貰っているというのもありますし、
運とタイミングがうまく重なったのかなと思います。
 
(通算3000勝について)怪我なくやっていれば、
3000はすぐに来るのかなと思っていたので、
特に意識はしていなかったです。
 
(長男・誠之助君が現在JRA競馬学校に在学中である
ことについて)同じ職業ということなので、
良い背中を見せてあげられたらという気持ちで
日々努力しながら頑張っています。
 
目標は毎年決まってなんですが、
怪我なく1年無事に乗り続けること、
これが一番勝ち星に繋がるんじゃないかなと思っているので。
毎年目標はそれです。」

 
 

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兵庫における
NARグランプリ受賞一覧

 
2022年
年度代表馬 — イグナイター
4歳以上最優秀牡馬 — イグナイター
最優秀短距離馬 — イグナイター
最優秀勝率調教師賞 — 保利良平
最優秀勝利回数騎手賞 — 吉村智洋
 
2021年
優秀女性騎手賞 — 佐々木世麗
 
2020年
特別賞 — 下原理
 
2018年
最優秀勝利回数騎手賞 — 吉村智洋
 
2017年
最優秀勝利回数騎手賞 — 下原理
 
2016年
4歳以上最優秀牝馬 — トーコーヴィーナス
 
2015年
最優秀勝率調教師賞 — 柏原誠路
特別賞 — 田中学
 
2014年
3歳最優秀牝馬 — トーコーニーケ
最優秀勝利回数騎手賞 — 田中学
ベストフェアプレイ賞 — 木村健
特別賞 — 木村健
特別賞 — 吉田勝彦 (実況アナ)
 
2013年
最優秀勝率調教師賞 — 柏原誠路
最優秀勝利回数騎手賞 — 川原正一
ベストフェアプレイ賞 — 木村健
 
2011年
3歳最優秀牡馬 — オオエライジン
最優秀勝率調教師賞 — 柏原誠路
 
2010年
ベストフェアプレイ賞 — 田中学
 
2006年
特別賞 — 川原正一
 
2005年
特別賞 — 岩田康誠
 
2002年
アラブ系3歳最優秀馬 — ミスターサックス
アラブ系2歳最優秀馬 — クールフォーチュン
 
2001年
アラブ系4歳以上最優秀馬 — ワシュウジョージ
最優秀調教師賞 — 曾和直榮
 
2000年
アラブ系4歳以上最優秀馬 — ワシュウジョージ
アラブ系2歳最優秀馬 — クールテツオー
 
1999年
アラブ系4歳以上最優秀馬 — エイランボーイ
アラブ系2歳最優秀馬 — ハッコーディオス
 
1998年
アラブ系4歳以上最優秀馬 — ニホンカイユーノス
アラブ系2歳最優秀馬 — ミスターオリビエ
 
1996年
年度代表馬 — ケイエスヨシゼン
アラブ系4歳以上最優秀馬 — ヒカサクィーン
アラブ系3歳最優秀馬 — ケイエスヨシゼン
 
1993年
特別賞 — 田中道夫
 
 
1990年のNARグランプリ創設以降、
数々の表彰を受けてきた兵庫県競馬の人馬たち。
一度に5部門で表彰を受けたのは2014年
(場内実況の吉田勝彦アナウンサーの特別賞を含む)以来
2度目のこととなる。
2022年は地方競馬の中で“兵庫”が存在感を示した1年だった。
 
他地区ヘの遠征も盛んに行われる中、
そこで培われた経験によりダートグレードを勝つことが
当たり前になってきた。
次はジーワンの頂を目指すイグナイターをはじめ、
たくさんの役者が兵庫には揃っている。
そんな役者たちが魅せてくれる2023年の競馬を大いに楽しみたい。
そして、来年の表彰式典には、
さらに多くの兵庫の関係者が集うことを期待しよう。

 
 

 

文・写真:三宅きみひと

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