2023 兵庫サマークイーン賞 レポート

2023年07月14日(金)

今年最初のナイター重賞として行われた牝馬限定戦、グランダムジャパン古馬シーズンの第4戦「兵庫サマークイーン賞」。
ここまで金沢重賞17勝を挙げている“金沢の女傑”ハクサンアマゾネスがついに初の長距離遠征を敢行。他にも、船橋のティーズハクア、前走佐賀ヴィーナスカップを勝った大井のジュランビルなど4頭が遠征してきた。
これらをグランダムジャパン3歳シーズン優勝のマルグリッド、新春賞優勝馬アキュートガールなどの地元馬7頭が迎え撃った。

1番人気は単勝1.5倍で金沢のハクサンアマゾネス。
デビューは3歳の4月と遅かったが、4連勝で石川ダービーを制して3歳No.1の称号を得ると、その後は1400~2100mの長短問わず数々のタイトルを総舐めに。
30戦20勝で重賞17勝を誇り、「金沢の女傑」と呼ばれる存在だ。
4歳の初めに一時船橋に在籍時期はあったもののそれ以降はずっと金沢でレースをしてきた。6歳夏にして遂に初の長距離遠征、そして初のナイター競馬に挑んだ。

船橋のティーズハクアが単勝5.8倍の離れた2番人気。ここまでノンタイトルだが、NARグランプリの2歳最優秀牝馬、3歳最優秀牝馬に2年連続選出されたスピーディキック相手に重賞で2度の2着がある実力馬。初の園田遠征となった。

地元勢では、3歳馬マルグリッドが単勝6.0倍の3番人気を支持を集めた。
ル・プランタン賞で重賞初制覇を飾ると、のじぎく賞はのちの兵庫ダービー馬スマイルミーシャの2着。関東オークスで5着に健闘し、グランダムジャパン3歳シーズンを兵庫勢としては8年ぶりに優勝。その実績を引っさげて初の古馬挑戦となった。なお、3歳馬の兵庫サマークイーン賞参戦は5年ぶり。兵庫勢としてはトーコーニーケ以来9年ぶり。

4番人気に5連勝で新春賞を制したアキュートガール、さらに前走グランダム初戦の佐賀ヴィーナスカップで重賞初制覇を果たしたジュランビル(大井)が5番人気で続いた。

出走馬

1番  アキュートガール 吉村智洋騎手 
2番 クリノメガミエース (高)赤岡修次騎手
3番 (大)ジュランビル 下原理騎手
4番 フローラルドレス 山本咲希到騎手
5番 (金)ハクサンアマゾネス 吉原寛人騎手
6番 マルグリッド 笹田知宏騎手
7番 (川)トップザビル 町田直希騎手
8番 ニネンビーグミ 田中学騎手
9番 セントクリーガー 廣瀬航騎手
10番 (船)ティーズハクア (名)岡部誠騎手
11番 セトノダイヤモンド 長谷部駿弥騎手

レース

スタート

1周目3コーナー

1周目スタンド前①

1周目スタンド前

2周目2コーナー

2周目向正面

2周目3コーナー

2周目4コーナー

4コーナー~最後の直線

最後の直線①

最後の直線②

最後の直線③

最後の直線④

ゴールイン

昼間は32℃を超える真夏日だったこの日、夜の帳が下りたとはいえまだまだ暑さの残る19時55分、今年初めて園田の夜空に重賞ファンファーレが鳴り響いた。馬場状態は前日の雨の影響が残って稍重馬場だった。

スタートではほぼ横一線だったが、ここから重賞2勝馬ニネンビーグミが一気に飛び出してハナへ。大外枠から一番のスタートを決めたセトノダイヤモンドがその外2番手につけた。ジュランビルが3番手インで、圧倒的人気のハクサンアマゾネスはその外。さらに外にティーズハクアが5番手でここまでが好位勢。
揉まれず先行したかったアキュートガールは中団のインとなってしまい、外にフローラルドレス。マルグリッドも中団で、クリノメガミエースは後方3番手。後ろはトップザビル、セントクリーガーという隊列となった。

馬群は10馬身圏内で落ち着いた展開に。向正面に入ったところが徐々にペースが上がり始めたが、好位のハクサンアマゾネスが抜群の手応えで上昇開始。残り400mで逃げるニネンビーグミに馬体を併せると、持ったままでリードを広げながら直線へ。
追い出されるとスッと後続を突き放し、最後は流す余裕もありながら3馬身差の完勝劇。これぞハクサンアマゾネスの走り、“金沢の女傑”には初の長距離輸送も初のナイターも全く関係なかった。

2着には好位インを立ち回った大井のジュランビル。3着には今回は後方待機策を取ったクリノメガミエースが追い込んだ。逃げたニネンビーグミがハナ差の4着。ずっと外を回る形となった船橋のティーズハクアは伸びきれず5着まで。
新子厩舎の重賞ホース2頭は、アキュートガールが6着、グランダム3歳女王のマルグリッドが見せ場なく8着と、共に着外に終わった。

グランダムジャパンの一戦として交流戦となった2010年以降、地方他地区9勝、地元馬5勝に。他地区馬が3連勝、金沢所属馬の当レース勝利は2012年のロッソトウショウ以来11年ぶり。

◆ハクサンアマゾネスはこれで31戦21勝、重賞18勝目となった。


獲得タイトル

2020 ノトキリシマ賞、石川ダービー、加賀友禅賞、お松の方賞、中日杯
2021 JBCイヤー記念、利家盃、百万石賞、北國王冠、読売レディス杯、中日杯
2022 利家盃、百万石賞、お松の方賞
2023 金沢競馬移転50周年記念、利家盃、百万石賞、兵庫サマークイーン賞

◆吉原寛人騎手は、地方重賞通算139勝目。今年重賞11勝目。 兵庫の重賞は、2022兵庫クイーンカップ(ベニスビーチ)に続く5勝目。

◆加藤和義厩舎は重賞通算25勝目(今年4勝目)で、他地区の重賞は初勝利。

◆吉原寛人騎手 優勝インタビュー◆
 (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

吉原騎手はインタビューで開口一番「いや~痺れましたね!」と満面の笑顔を見せた。

「(好位3番手の外というポジションは)自分の動きたい時に動ける位置で最高の展開でした。外からのプレッシャーもありましたが、しっかりと反応良く伸びてくれたし、4コーナーを回ってからの手応えも良かった。アマゾネスはすごいなと改めて思いました。金沢代表として、恥じない走りができたことを誇りに思います」とパートナーを讃えた。

今回、初めて長距離輸送とナイター競馬という大きな2つのハードルがあったが、全くの杞憂に終わった。

「馬体重を気にしていたんですが、プラスマイナスゼロということでばっちりの調整で挑めました。返し馬の雰囲気もすごく良かったので、自信持って乗れました」と戦前の不安はレース前の段階で払拭されていたようだ。

レースの強さだけではなく、環境の変化にも動じない精神力の強さも示しての勝利だった。

管理する加藤師は「ゲートに行っていたのでレースはほとんど見られなかったです。残り50mくらいで先頭に立っているのが分かりました。レースはあとでゆっくり見ます」とレース後、記者達の囲み取材で答えた。

「輸送もスムーズで落ち着いていた。いい状態だったし、ナイターもこなしてくれた。勝ててホッとしました」

6歳夏にして初めて遠征に出たのは、「今年に入って馬体が減らなくなって安定してきたから」だという。

過去に金沢の重賞を総なめにしていながら、「良い状態で走れたのは数少なかった」というから驚きだ。
体調が安定してきたということは、さらに高いパフォーマンスを見せられる可能性があるということ。今後がさらに楽しみだ。

総評

これまで積み上げた17の重賞タイトルは全て金沢競馬場でのもの。地元金沢ではダートグレードに出走するなど強豪との戦いも経験しているが、今回の初遠征は全国に飛び立つための試金石。
それを難なくクリアして見せ、いよいよ準備は整った。
「今日の一戦でまた自信にもなりましたし、また挑戦できるレースがあれば、頑張って行きたいなと思います」と吉原騎手も次なる戦いを見据えていた。
次走は、8/8(火)に地元金沢で行われるグランダム第5戦「読売レディス杯」も視野に入るが、「地元の1500mはスタートで遅れるので…」と加藤師は慎重な姿勢を見せていた。

今年金沢では、デビュー11連勝のダービー馬ショウガタップリという3歳牝馬が一躍脚光を浴びている。いずれ来るであろう金沢最強馬対決にも全国からの注目が集まる!
昨年は、西日本ダービーをスーパーバンタムが、兵庫クイーンカップをベニスビーチが勝利し、金沢勢が園田で2勝。そして今回、金沢総大将のハクサンアマゾネスも園田で輝いた。

近年、地元馬は古馬牝馬重賞をなかなか勝てないが、兵庫には来年4月に「兵庫女王盃(Jpn3)」が誕生する。それに伴い、秋の兵庫クイーンカップは今年から1870mと舞台が変わる。牝馬の路線が確立される中、迎え撃つ地元牝馬の秋のリベンジに期待したい。


 文:三宅きみひと
写真:齋藤寿一

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