2025 菊水賞レポート

2025年04月02日(水)

令和7年度最初の重賞は「菊水賞」。舞台は園田競馬場の1700m。新装されて2年目の兵庫三冠(菊水賞、兵庫優駿 、園田オータムトロフィー)クラシックの幕が開く。

今年の目玉は前哨戦の兵庫若駒賞(姫路)を大差勝ちした「オケマル」。ここまで5戦無敗で重賞3連勝中。兵庫三冠馬への期待が高まる。そのオケマルに待ったをかける新興勢力が出てくるのか?注目カードにフルゲート12頭がエントリーした。

ここまで無敗のオケマルは単勝1番人気の1.0倍。
デビューから4連勝で園田ジュニアカップを制して兵庫の2歳王者に輝いた。年明け初戦の兵庫若駒賞は2番手追走でベラジオドリームを徹底マーク。直線では異次元の末脚を発揮しての圧勝。仕上がり途上の段階でも圧巻のパフォーマンスを披露した。兵庫三冠、さらに上のステージに進むためには落とせない戦いだ。発売開始から締め切りまで単勝元返しのまま微動だにせず。ファンから絶大な信頼を得た。

2番人気はベラジオドリームで単勝6.6倍。
兵庫ジュニアグランプリ6着後に道営から転入。兵庫では持ち前の速力を活かして3連勝をマーク。前走の兵庫若駒賞は逃げの手に出たが、オケマルに徹底マークされる厳しい展開。最後は力尽きたものの馬券圏内(3着)は確保した。今回は輸送のない地元園田でのレース。ここも真っ向勝負で土つかずの王者に挑む。

3番人気以降は大きく離れてジーニアスレノンが19.9倍、ウイングスオールが30.9倍で続く。2連勝式、3連勝式ともにオケマルからの馬券が圧倒的な支持を集めた。

出走馬

1番  エロイムエッサイム 松木大地騎手
2番 オケマル 下原理騎手
3番 アップップ 竹村達也騎手
4番 リジェネレーション 井上幹太騎手
5番 ウイングスオール 笹田知宏騎手
6番 チョッパスニー 山本屋太三騎手
7番 イザグリーンライト 山本咲希到騎手
8番 ジーニアスレノン 廣瀬航騎手
9番 セイノスケ 田野豊三騎手
10番 ベラジオドリーム 小牧太騎手
11番 タンバブショウ 吉村智洋騎手
12番 ドリタル 永井孝典騎手

レース

スタート

1周目コーナー手前

1周目3~4コーナー

1周目スタンド前①

1周目スタンド前②

2コーナー~向正面

2周目3コーナー手前

2周目3~4コーナー

4コーナー~最後の直線

最後の直線①

最後の直線②

ゴールイン

令和7年度最初の3日間シリーズの2日目。お昼を過ぎて小雨が降る時間帯があったものの徐々に天気は回復。菊水賞発走前には日差しが出てくるようになった。馬場状態は「良」と最高のコンディションでゲートが開く。

ほぼ揃ったスタートから飛び出したのはオケマル。課題の発馬を決めてそのまま先頭に出る。園田ジュニアカップと同じ逃げの手に出た。外からじわっと浮上してきたベラジオドリームだが、無理せず2番手で折り合う。リジェネレーションは3番手のインを確保。差が無くドリタルが続く。ジーニアスレノンは5番手。先行集団を見る位置につけた。直後にアップップ、イザグリーンライト、ウイングスオールが追走。後方にはタンバブショウ、チョッパスニー、セイノスケ、エロイムエッサイムの順で最初の4コーナーを通過した。

馬群全長は14馬身前後。すんなりと隊列が決まり落ち着いた流れでスタンド前に入った。ライバル達を引き連れるオケマル。自分のリズムを刻みながら1コーナーへと向かっていく。並びに大きな変化がないまま向正面へと入ると徐々にペースアップ。後続馬も必死についていくがオケマルとの差が詰まらない。

オケマルが先頭のまま3コーナーに差し掛かる。その後ろは外にべラジオドリーム。内ラチ沿いを通るリジェネレーションが併走。ドリタルが後退するとジーニアスレノンが4番手に浮上した。道中はじっくり脚をためていたウイングスオール、タンバブショウも浮上を開始するが先頭との差は8馬身。逃げるオケマルは楽な手応えのまま最後の直線コースに入った。


乾いた馬場を軽快に駆け抜けるオケマル。鞍上の下原理騎手は直線に向いても追うことなく後続を突き放す。影も踏ませない逃走劇で8馬身差の勝利、一冠目を獲得した。まさに完勝と言える内容だった。

2番手からの競馬となったべラジオドリームが2着。勝ち馬には離されたが3着馬には5馬身差をつけて次位は死守。長く良い脚を使ったジーニアスレノンが3着で人気上位の3頭で決まった。重賞初挑戦のタンバブショウが4着、最後までしぶとく伸びたウイングスオールが5着に入った。

◆オケマルは6戦無敗で重賞4勝目。
無敗での菊水賞制覇は、2012年のポアゾンブラック、2015年のインディウム、2017年のマジックカーペット、2024年のオーシンロクゼロに続き、サラブレッド導入後では史上5頭目。2年連続で無敗の菊水賞馬が誕生した。


獲得タイトル

2024 ネクストスター園田、園田ジュニアカップ
2025 兵庫若駒賞、菊水賞

◆下原理騎手は重賞97勝目(今年3勝目)。
 菊水賞は2021年(ベルレフォーン)で勝って以来、7度目の制覇。

◆盛本信春厩舎は重賞13勝目(今年2勝目)。
 菊水賞は初制覇。
 

◆下原理騎手 優勝インタビュー◆
 (そのだけいば・ひめじけいば 公式YouTubeより)

「いつもと一緒の気持ちで乗るように心掛けました」と、下原理騎手。重圧の掛かる一戦でも冷静に勝利を掴むところはさすがの一言だ。

続けて「単勝元返し(100円)ですみませんでした」と、西ウイナーズサークルに集まったファンを笑わせるユニークな言葉が飛び出した。

「ゲートだけが課題でしたが、五分に出てくれたらいい勝負ができると思っていました。最近は落ち着きが出てきてくれて凄く安心していましたね」

今回はフルゲートで内枠。後手を踏むと思い描いた位置を取れなくなる可能性があったが、オケマルは発馬を決めて前へ前へと進んでいく。

「初めてしっかり出していってハミを取ったが、これなら大丈夫だろうと感じましたね。オーバーペースかと思いましたが馬の力を信じて乗りましたよ」

道中も自分のリズムを守り最後まで1度も先頭を譲ることなくゴールを駆け抜ける。地元の同世代では敵なしという所をみせつけた。

「このまま無事に走ってくれたら兵庫だけでなく遠征の重賞でも通用する馬だと思います。ただ、まだ他地区と戦っていないので何とも言えませんね」

これまで6戦しているが、遠征馬と戦った経験はまだ無い。各地の強者と激突した際にどんなパフォーマンスを見せてくれるのか注目だ。

「チャンストウライやオオエライジンのような馬、それ以上になる可能性がある逸材です。将来が楽しみですね」と、名馬の背中を知る名手がオケマルへ期待を寄せている。

「次は兵庫優駿になると聞いています。三冠に向けてとにかく無事にいってくれたら。勝ちたいですね」

インタビューや後取材でも『無事に』というワードが繰り返し出てきた。菊水賞を獲って兵庫三冠馬への挑戦権を獲得。2001年のロードバクシン以来の偉業へ順調に成長を続けてほしい。

下原理騎手はこの勝利で重賞97勝目。今年早くも3つ目のタイトルを獲得。重賞100勝へ順調に歩みを進めている。

「地元戦、遠征騎乗でもたくさんの有力馬に乗せていただいているので、今年中に100勝できたらいいなと思います」

節目の大台に到達はそう遠くはないだろう。ただ、他地区の重賞に騎乗する機会が多い下原騎手。他地区の重賞で決める可能性があるだけに今後の遠征情報に注視が必要だ。兵庫の優勝請負人から目が離せない。

総評

「勝って当たり前の雰囲気だったのでプレッシャーを感じていました」と、盛本師はホッとした表情だった。
「ここまで順調にきていたので発馬だけかなと思っていましたよ。中間も1度だけゲート練習をして本番へ向かいましたけど、今回は少しテンションが高めでした。内枠が当たって心配していましたけど全く問題なかったです。逃げられたので最後まで安心して見ていられました」と振り返る。
兵庫三冠クラシックの第一関門を難なく突破したオケマル。今後の目標については「6月26日の兵庫優駿へ直行する予定です」と明言した。

「西日本クラシックなど使えるレースもありますけど、この馬は使っていくと気が入るので一度牧場でリフレッシュさせます」と二冠目に向けて短い充電期間に入る。
「去年の感じだと暑さは強くない感じがするので、無事に夏を越せるように対策をしないとですね。これからさらに良くなると思うので今後も気を引き締めて育てていきたいです。楽しみですよ」と、進化を続けるオケマルに期待している様子だ。

兵庫若駒賞に続いてあっさりと快勝したオケマルが1冠目を獲得。次は梅雨時期に行われる兵庫優駿でも同様に支持を集めることになるだろう。

今回は2番手からの競馬となったベラジオドリームも最後まで次位は確保して意地をみせた。今後はクラシック路線、短距離路線へ向かうのかは未定も将来が期待される1頭だ。

ジーニアスレノンも持ち前の長く良い脚を使って力を示した。3歳中距離路線を賑わす存在になっていくであろう。

菊水賞に登場していない高素材馬の台頭にも期待したい。3歳の重賞レースが増加したことにより選択肢が増加。別路線組からオケマルを脅かす馬が出現する可能性もある。兵庫3歳路線から目が離せない。


 文:鈴木セイヤ  
写真:齋藤寿一  

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